御車に揺られること早数時間。 でも、どうしてこうなってしまったんでしょう。 The Saviour out of the Blue 「金目のものは全部置いてきな」 「……」 どうやら、只今わたしの眼前に映るのは、夜を狙って襲いに来た盗賊の方たち。 その手にはキラキラと月の光を反射させた刃物を持っていました。 御車さんがわたしの横で身体を震わせている。 「嬢ちゃん、聞こえてんのかァ?」 「ひひひッ!怖くて動けもしねーってか?」 「おい男ォ!テメエも女の横に張りついてねーでちったァ勇ましくしたらどーよ?」 ゲラゲラとお腹を抱えて笑い転げる盗賊たちは、わたしと御車さんを貶して楽しんでいる様子。 わたしはどうしようかと思案しますが、なかなかに良い案が思いつかない。 最終的には盗賊さんたち全員がフライパンで煎る黒豆に見えてきた。 「おい、貴様らそこで何をしている」 「!」 そんな思考に陥るまで、若干焦っていたらしいわたし。 突如どこからか響いてきた声に、思い切り肩を震わせてしまった。 「誰だァ!!」 「どこにいやがる!」 「…っぐああああ!!!」 「ふん、この程度か」 そして、御車さんとわたしが肩を震わせるその一瞬。 それは本当に瞬きの内でした。 「―――――…」 眼前に埋め尽くされていたはずの盗賊さんたちの姿。 それがなぜかどこかに消え去ってしまっていた。 えっと…これはどういうことなんでしょう。 理解が追いつかないです、無理です。 「貴様、そんなとこで何をしている」 「え」 なのでこれまた、突如目の前に姿を現わした人影にわたしは驚きの声を上げてしまいました。 不可抗力だと思います。 「おい、御車の奴、貴様もわかっていたはずだろう。この辺りは盗賊が出やすい」 「す、すんません。自分新米でして…いや、お助けいただきありがとうございます」 「…ふん」 御車さんと二言三言かわした、突如現れた方。 会話を終えると、再びわたしをじろりとその目に捉えていました。 暗がりであまり見えない、…あ、そうでした。 「あの、助けていただきまして、ありがとうございます」 「……」 「大したものではないのですが…お礼に受け取って頂けますか」 そう言えばと、助けていただいたお礼に、カバンに詰められていた店のお菓子を差し出す。 なかなか手に取ってもらえないので、嫌いなのかと思ってしまった。 けれど、幾分かしてから手に取ってもらえたので、よかったとホッとして頬を緩めた。 「……お前は…」 「はい」 「お前たちはどこへ向かっているんだ」 「えっと、この先にある里だと、思います」 すみません。 日野さんに蹴り出されてきたもので、行先の情報を把握していませんでした。 「…風の国、か?」 「えっと、おそらくそうだと思います」 「おい、御車。お前たちは風の国へ行くのか」 「へい。そう仰せつかっております」 「…そうか」 その人はわたしに訊いても無駄だと判断したようで。 呆れた様子で、御車さんに行先を訊ねていました。 「仕方ない。俺も同行する」 「え」 「よろしいんで?」 突として落とされた申し出に御車さんはこれでもかと喜びの表情を浮かべる。 えっ、でもいいんでしょうか? わたしはきょとりと目の前の人に視線を向けた。 すると、その人はスッとこちらに近づいてきて、たき火の灯が当たる場所に足を踏み入れていました。 顔が見える。 「俺の名は砂漠のガーラだ」 (砂饅頭ってご存知ですか?) (……ああ)