これは先日のお話。 Behind the Scene それは、とある班が任務を終えて里へ戻ったときのことだった。 「やーっと戻って来れたってばよ」 「さすがに今回は疲れたわね。永遠に終わらないかと思ったわ」 「ホントだってばよ!なーカカシ先生?田植えなんかより俺はもっとスゲェ任務がやりたいんだってばよ!こう、なんつーか。もっとスゲーやつ!!」 「あーはいはい。言いたいことはわかったから」 自身の周りに纏わりつく部下を片手でいなすのは、第7班担当上忍のはたけカカシ。 ぴょんぴょんと彼の周りを飛び跳ねるのは、班員のひとりうずまきナルトだった。 そんな二人のやり取りを慣れたように横目で見る春野サクラは、先刻帰って来たばかりの里の道でため息を吐いている。 「コイツの言うことも一理ある」 「え?サ、サスケ君?」 「こんなくだらねェ任務いつまでやらせるつもりだ、カカシ」 そして、普段卑下しているナルトの言葉に珍しくも同意を示したのはうちはサスケだった。 そんな班員たちの言葉にカカシは顎に手を添える。 考えるような素振りのカカシにナルトは目を煌めかせていた。 「そーだなァ」 「おっカカシ先生ってば遂にっ!よーっしゃァア!!サクラちゃん遂にスゲー任務だってばよ!!」 「ナルト!何早とちりしてんのよって…ちょっと待って……あれってガイ先生かしら?」 「ん?ガイ先生??」 「ほら、あそこよ」と言いながらサクラが指差すのは道の先。 里内でガイの姿を見ることはそう珍しくもない。 だが、サクラの指す先を見遣った班員たちの眼は見開くくらいの衝撃を受けることとなった。 四人が四人、全員そこから目を逸らせない。 「なっ!ななななな!!!」 「えっ!うそでしょ?!あのガイ先生が?!っていうかアレ、ガイ先生?!」 「まじかよ…」 「あーら、珍しい」 四者四様の言葉を漏らす四人。 その顔には、カカシ以外吃驚の表情を浮かばせていた。 けれど、その反応も致し方のないことかもしれない。 「ありえないありえない。見間違いじゃないわよね」 「信じらんねーってばよ?!あのガイ先生が」 「…たしかに珍しいな」 「そうよねサスケ君。だってあのガイ先生よ!見間違いじゃない方がおかしいわよ!!」 「ホントだってばよ!だって、だって!!」 なぜなら――― 「「「まさかあのガイ先生が」」」 「「―――女の人と一緒にいるなんて!!」」 「―――ゲジ眉以外と一緒にいるなんて!!(ナルト)」 「「「……」」」 あのマイト・ガイが女性と並んで歩いていたからだ。 それも二人きりで、笑顔付きで。 「眉毛も全ても濃い」と有名なあのガイが。 「いやよ!いや!ワタシ絶対に信じないわ!だってあり得ないもの!!」 「…幻術か?」 「お前らねェ…」 カカシも同僚の見たことない姿に、瞬きと嘆息を連続させている。 だが、あまりの部下たちの反応にさすがのカカシも「さすがに失礼でしょ」と呆れの眼差しを送った。 ちなみに若干一名の勘違いは完ぺきに放置。 カカシ以外の三人は、物珍しいものを見つけたと言わんばかりに目を輝かせて互いに頷き合った。 そして、これ以上に面白いものはないと暗黙に了解すると、三人は任務帰りの疲れも忘れて一歩を踏み出したのだった。 「ちょーっと待った」 「きゃっ!」 「うおっ!ナニすんだってばよ!!」 「…くッ」 だが、踏み出した三人の足が進むことはない。 三人は苦しくなった呼吸に喘ぐと、不意に掴まれた首根っこに手を掛けた。 三人が向ける視線は背後だ。 「お前らねェ、人のプライベートなんだと思ってんの」 「だって、だってよォ!!」 「そうよ!いくらカカシ先生でも!!気にならないの?アレ?!」 「…手を放せカカシ」 「はぁ…だからって後をつけるのはだめでしょーよ」 三人の首根っこを慎重に放したカカシ。 だが、今にも飛び出しそうなナルトだけには服を掴んで再静止を掛けた。 サクラやサスケの言葉にカカシは首を振る。 だが、内心は彼らに百パーセント同意していた。 「(気になるけど…こいつらがいるしねェ)」 「カカシ先生!!」 「…」 声を上げるサクラ。 その横で静かに眼光を鋭くさせるのはサスケだ。 カカシはそんな三人に「うーん」と首を捻ると、にこりと笑って「やっぱダメ」と部下たちを諫めたのだった。 「そんなぁ」 「……」 「なんでだってばよー!!」 「はいはい。でもだめなものはだめ…「って!!カカシ先生!!」」 そして、そんな三人を大人しくさせようとカカシが疲れのため息を吐いたときだった。 カカシの言葉を遮ってサクラが大声を上げた。 全員がサクラの指差す場所に目を向ける。 「あー!もう!!カカシ先生のせいで見失っちゃったじゃない!!」 「……」 「もう」とサクラが残念そうに肩を落とす。 そう。彼らがバタバタとしている間に、当の噂の本人たちはその場から姿を消していたのだ。 その事実にサクラはカカシに睨みを利かせる。 意外にもかなりの興味を示していたサスケまでもが、カカシに鋭い眼光を突きつけていた。 さすがのカカシもそれには「まいったね」と深いため息を吐くしかなかった。 「だー!カカシ先生のせいだってばよ!!」 「もう、カカシ先生のバカ!!」 「…チッ」 「……はいはい」 そして、カカシはその場から逃げるように姿を消すと、再度、班員たちの行動に呆れのため息を吐いたのだった。 「あー!!カカシ先生逃げたわね!!」 「カカシ先生ってば!!こんちくしょー!!」 (その後、木の葉の忍びの間では数日ガイの噂が絶えなかったという) (知らぬは本人ばかりなりではあったが)