乙女ゲー的な

※乙女ゲーなら崖から落とされて助けてくれるキャラは好感度によって変わりそうというお遊びネタ。(A組+α)


 ♡爆豪勝己♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「チッ」

 ――その時、爆発音が響いたと思ったら、宙で体を受け止められた。

「……っ!」

 ……――ばっ、爆豪くん!?
 驚いていると、至近距離でその赤い瞳と目が合う。

「アホか、てめェは」

 爆破で飛んで来た爆豪くんは、私を横抱きにしたまま地面に着地した。

「爆豪が結月を助けた……!?」
「マジか……!」

 驚きとざわめきが周囲に起こる。助けてって言っておいて何だけど、たぶん張本人の私が一番驚いている。

「……てめェが、ヒーローって呼ぶからだろうが」

 そして、ぱっと手を離す爆豪くん。
「っ!?」地面に落とされ咄嗟にテレポートした私の反射神経すごい!

「爆豪くん、助けるなら最後まで助けてよ!」

 もうちょっと優しく降ろして!

「知るか」
「ま、まあ、助けてもらって良かったな!結月。最後はあれだけど……」

 切島くんがフォローするように言ったけど、当の本人は知らん顔。(……本当になんなの)

 思えば……なんだかんだ、爆豪くんに助けられたのはこれが初めてじゃなくて……――


 ♡轟焦凍♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「結月!」

 ――その時、体を受け止められた。

「……っ!?焦凍くん……っ」

 驚いて目が合うと、オッドアイの瞳が笑うように少し柔らかくなる。
 私を横抱きに受け止めた焦凍くんは、氷結の上から軽やかに下に降りて行った。

「王子様や……!」
「轟王子……!」

 女の子たちから黄色に近い声。確かに王子……その端整な横顔を思わずぽー……と見上げていたら、視線に気づいた彼と再び目が合った。

「……なんだ?俺の顔に何か付いてるか」

 ……天然の王子サマ。

 焦凍くんは地面に足が着くと、ゆっくり降ろしてくれた。

「えっと……助けてくれてありがとう、焦凍くん」
「どうってことねえ」
「よく助けてくれたね……」

 助けてって言った私が言うのもなんだけど。

「結月が、呼んだからな……」

 焦凍くんはそうぽつりと言いながら、氷を左手で溶かしている。(この気温なら自然と溶けるのに……)

 あれ……

(焦凍くんの耳が、ほんのり赤い……?)


 ♡飯田天哉♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「まったく、君って子は!」

 ――その時、宙で体が受け止められた。

「……っ!?天哉くん……っ」

 驚いてると、眼鏡の奥の目と合う。優しく細められたその瞳に、思いがけず心臓が高鳴る。(……天哉くんって、そんな笑い方もするんだ……)

 飛び上がった天哉くんは、私を横抱きにしたまま地面に着地した。

「飯田くんがかっこいいなんて……!」
「さすが委員長だな」

 お茶子ちゃんと常闇くんが感動している。

「あ、ありがとう……天哉くん」

 ゆっくり降ろしてくれる天哉くんに言う。

「いや、君に怪我がないなら良かった」

 それに、これは委員長の務めでもある――そう言う天哉くんはいつもの天哉くんで。

「……僕はもう、君には傷ついてほしくないから……助けるさ」

 ……そうだ、天哉くんはいつだって、私が怪我をすると一番に心配してくれた。

「じゃあ、またピンチになったら天哉くんを呼ぶね」
「まかせてくれ!いつだって、どこにいたって、この足で駆けつける!!」

 そうまっすぐと見つめられて言われると、ちょっと照れてしまう。(なんか、まるで、告白みたい……)


 ♡切島鋭児郎♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「結月……!」

 ――その時、下から大きく声が響く。

「結月!安心しろ!!」

 熱くて、頼もしい声が……

「……っ!切島くん……?」
「俺が、ちゃんと受け止めてやる!!」

 下を見ると、手を広げる切島くんの姿。

「だから!安心して落ちてこい!!」

 ――俺のところに!

 笑顔で言う切島くんに――私は、"個性"を使わないと決める。

「っ!」

 思わずその瞬間、目を閉じちゃったけど……しっかり切島くんは受け止めてくれた。

「な?だから言っただろ」

 目を開けると、にかっと笑う切島くんの笑顔が飛び込んだ。

「あ、ありがとう……」

 そして、ゆっくり地面に降ろしてくれる。

「やるじゃん!切島ー!」
「かっこよかったぜ、切島!」

 三奈ちゃんと瀬呂くんの言葉に、切島くんは照れ臭そうに笑った。その横顔に――今、私の心臓はドキドキしている。

(こ……これはつり橋効果だ、きっと……)


 ♡常闇踏陰♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「仕方のないやつだ……ダークシャドウ!」
「アイヨ!」

 ――その時、宙で体がふわりと受け止められた。

「ダークシャドウくん……!」
「理世、大丈夫カ?」

 ダークシャドウは私を横抱きに、そのまま常闇くんに戻るように地上に近づく。

「さすが常闇くんとダークシャドウだな!」
「うん!万能な"個性"だ!」

 天哉くんとでっくんが話す横で、私はダークシャドウから地面に降り立つ。

「ありがとう、常闇くん!」
「俺とダークシャドウなら造作もないこと」
「ありがとう、ダークシャドウくんも」
「「!?」」

 チュっ、とダークシャドウの頬にお礼をすると……

「キャ」
「〜〜っ!結月っ……!」

 ?ハズカシイと照れるダークシャドウくんは分かるけど……

「なんで常闇くんもそんなに照れてるの?」
「俺とダークシャドウは一心同体だ……!!」
(な、なるほど……)

 照れてる常闇くんに、私までもが照れてきた。


 ♡峰田実♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「………結月ーー!!(オイラだって……っ!)」

 ――目に映るは、ものすごい勢いで頭からもぎもぎを取っている峰田くんの姿。

「どんと落ちてこい!!」
「峰田くん!」

 そこにはもぎもぎで作られたクッション。私の体は柔らかく沈むように受け止められた。

「すごいよ、峰田くん!もぎもぎは衝撃も吸収できるんだ!これを応用すれば……ブツブツ」
「理世なら大丈夫だけど、くっついて離れないっていう欠点があるけどね……」

 考察し始めたでっくんに、耳郎ちゃんが冷静に言う。

 確かに超くっついて離れない……!
 大人しくテレポートで脱出した。

「まさか、峰田くんに助けられるなんてね」

 何はともあれ助けてくれてありがとう、と笑顔でお礼だけ言っておくと……

「礼なら体で………」
「「下心満載かよ!!!」」
「私のお礼の言葉、返して」

 切実に。


 ♡上鳴電気♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「お、おしっ……!(俺が結月を……!)」

 ――チャンスは一度。"個性"を使うタイミングを伺っていると……

「結月!俺にまかせろ!!」

 下から張り上げた声は、まさかの……

「……っ上鳴くん……!?」
「俺が受け止めてやるから……!!」
「ええええ!?」

 突然、そこに滑り込んで来た予期せぬ存在。
 ――っあう!
 そのまま上鳴くんの上に落っこちた。

「いたた……、だ、大丈夫、上鳴くん!?」

 上鳴くんがクッションになってくれたおかげで、こっちの怪我はないけど……!

「(うおお……!結月が俺の上に……!む、胸が当たっ……――!!)」
「…………上鳴くん?」
「俺……もう死んでいい……」ちーん
「いやいや!今死なれたら私が困るよ!!」
「いいよ、理世。死なせておいて」
「幸せそうな顔で逝きやがって……!!」
「置いてこうぜ」


 ♡瀬呂範太♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「ったく……しょうがねえ姫さまだな!」

 ――その時、体に白いテープが巻き付く。

「瀬呂くん!」
「おっと、大丈夫か?」

 瀬呂くんに引き寄せられ、抱き留められた。そのまま地面に降ろしてくれる。

「ありがとう、瀬呂くん」
「ま、こんぐらい良いってことよ」

 そう得意気に笑う瀬呂くんは「あーでも……」と、頬をかきながら。

「まあ、お礼なら?ほっぺにチュウぐらいで……」
「……え?ほっぺにピンタ?」

 頬が少しだけ熱くなるのを感じながら、照れくさそうに拳を握る。

「待て待て、表情と発言と動作も合ってねえ!」

 焦る瀬呂くんにくすくす笑う。

「だって、みんなの前では恥ずかしいし……」
「!ちょ、待て。つーことは、人前じゃなかったら……」


 ♡青山優雅♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「……フフ!僕が助けてあげるよ!」

 ――その時、お腹を下に向け、ネビルレーザーによって青山くんが昇ってくる。

「青山くん……!?」
「さあ、結月さん!僕に手を伸ばして!」

 落ちながら私は、言われた通りこちらに飛んでくる青山くんに手を伸ば……

「「あ」」

 ――すかっ。

「青山くーーーん!!」
「「…………!?」」

 そのまま空に上昇する青山くん。
 思わず相澤先生も見上げている。その隙に私は地面にテレポートして無事に着地した。

 再び空を見上げる。

「青山くん……着地、大丈夫かな……」
「あ!青山が戻って来たよ!」
「戻って来たと言うより落っこちてへん!?」
「腹抱えてるぞ!!」

 ……だよねぇ。助けにいくのにテレポートすると、お腹が痛くなってる青山くんを空中で捕まえ「メ……メルシー☆」再び地面に降り立った。

「………………きらめいてる僕に相澤先生の視線を釘付けにして、見事君を助けたよね?」
「……。そうだね。助けてくれてありがとう、青山くん」

 いや、つっこみたい事はあるけど……。まあ一応、助けようとしてくれたから。

「青山くん……本当になんなん……」
「(読めないぞ、青山くん……!!)」


 ♡障子目蔵♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「………!(結月……!)」

 ――その時、宙で体ががしっと受け止められた。

「……っ!?障子くん……っ!」

 障子くんは無言のまま、私を横抱きに、そのまま地面に着地。ゆっくり降ろしてくれる。

「さすが、障子くんだな!」
「理世ちゃん、大丈夫?」

 お茶子ちゃんの言葉に「大丈夫」と答えてから、障子くんに向き合う。

「障子くん、助けてくれてありがとう」

 いつも障子くんには助けてもらってばかりだね、とつけ加えて。

「いや……大したことはしていない」

 当然のことをしたまで、と静かに返す言葉は、障子くんらしい。

「……それに……」
「?」
「………いや、なんでもない」


 ♡尾白猿夫♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「俺が……!」

 ――その時、宙で体がしっかりと受け止められた。

「……っ!?尾白くん……っ?」

 意外な存在に驚いていると、尾白くんはふっと笑う。

「たまには俺にもかっこつけさせてほしい」

 ――君の前でさ。

「っ!」

 飛び上がった尾白くんは私を横抱きに、そのまんま地面に尻尾をクッションにして着地した。

「尾白くん!すごいよ!かっこよかったよ!」

 興奮してシャツの袖を上下に揺らす透ちゃんに、ははっと尾白くんは笑う。

「ありがとう、尾白くん。助けてくれて……」
「どういたしまして」
「えっと、さっきの尾白くん、かっ」
「……か?」
「か……」

 なんでかあぁと顔が熱くなってるの私……!?

「ええと……また今度言うね」
「え!?いや、今!」

 ――今、聞かせてくれ……!


 ♡砂藤力道♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「待ってろ、結月!!」

 スティックシュガー!

 ――その時、うおおと雄叫びと共に、宙で力強く体を受け止められた。

「砂藤くん……!」
「大丈夫か?結月」

 そうにっと笑う砂藤くん。なんだろう、砂糖くんがキラキラ輝いて見えるよ……!
 砂藤くんは私を横抱きにしたまま、地面へと着地した。

 そして、

「うおおお!!」
「「お……おぉ!!」」

 砂藤くんは私を高く持ち上げる。
 ウェイトリフティング!私はバーベルか!
(ていうか、恥ずかしいよこれ!)
 直接つっこみたいけど「助けてくれてありがとう」と、砂藤くんにお礼を言うだけにした。

「貴重な砂糖も使わせちゃって……」
「いや、まだいっぱい持っているから気にするな!」

 どこからか取り出した、たくさんのスティックシュガー。(一体どこに……でもこれだけあるなら安心だ)

「でも、あんまり取り過ぎると良くないんでしょ?」
「ああ!だが、そうも言ってられねえみたいだぜ……!」


 ♡口田甲司♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「……っ!(大変だ、結月さん!)」

 ――"個性"を使う機会を窺っていると……

「鳥たちよ……!落ちる少女を救うのです……!あの男の視界を遮りなさい――」

 レアな口田くんの声が聞こえたと思ったら、どこからともなく鳥が相澤先生の方に向かう。
 その隙にテレポートして、地面に降り立った。

「口田くん、ありがとう!助かったよ〜」
「……っっ」

 口田くんは再び口を閉ざし、とんでもないと言うように首を横に振る。

「見て!今度は理世ちゃんの頭に小鳥が乗ってる」

 そう言って、透ちゃんは私の頭を指差しているようだ。(見えないけど)

「可愛いですわね」
「やっぱりおまえ、動物に好かれる体質なんじゃねえか?」

 焦凍くんの言葉に、そうかなぁ?と返す。今まで好かれるようなエピソードはなかったけど。

「なんか、りっちゃん思い出すなぁ」

 手のひらを向けると、乗ってきた小鳥に。
 勇学園との合同授業で出会ったリスだ。
 元気かなぁ、りっちゃんと呟く。

「この前、僕……会ったけど、元気だったよ」

 口田くんはそう言って、にっこり笑った。


 ♡麗日お茶子♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「理世ちゃんっ、私が助ける!」

 ――お茶子ちゃん!

 お茶子ちゃんは自分を浮かせると、私に手を伸ばす。ぽんっと、頬に柔らかい肉球が触れた。

「解除!」

 今度は指同士を合わせ、無重力状態が解かれると、無事に地面に着地する。

「ありがとう、お茶子ちゃん!」
「エヘヘ……いつも理世ちゃんには助けてもらってるから……」
「(あれ……僕の時は思いっきり平手打ちされたのに……麗日さんん!?)」


 ♡蛙吹梅雨♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「大丈夫よ、理世ちゃん」

 その時、ケロッと梅雨ちゃんの舌が体に巻き付いた。遠心力で力を逃がしながら、引き寄せられる。

 無事、私は地面に足を着けた。

「ありがとう!梅雨ちゃん」
「理世ちゃんを助けられて良かったわ」


 ♡八百万百♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「理世さんは私が助けますわ!」

 ――百ちん!

 百ちんは今まで見たことのない驚異的な速さで創造する。
 現れたのはマットだ。
 その上に落っこちれば衝撃は吸収され、無事に私は地面に降り立った。

「理世さん、お怪我はありませんか?」
「うん、大丈夫!ありがとう、百ちん」
「いえ……これぐらいどうってことありませんわ!」


 ♡耳郎響香♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「もう……仕方ないね!」

 要は相澤先生の視線を理世から外せばいいから……。
 
 ――その時、後ろの崖にヒビが走る。耳郎ちゃんのイヤホンジャックによるものらしい。

「理世!先生の気を引いてる今のうちに!」
「分かった!」

 耳郎ちゃんの言葉に、すぐさま"個性"を使う。無事にテレポートできて、地面に降り立った。

「ありがとう、耳郎ちゃん!助かったよ〜」
「はあ……。理世ってどこかほっとけないとこあるよね」
「え〜」


 ♡芦戸三奈♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「まかせて、結月!」

 その時、下から元気よく響く声。
 ――三奈ちゃん!?

「結月ー!アタシが受け止めてあげるから安心してー!!」

 そこには手を広げる三奈ちゃんの姿。
 いやいやいや!

「大丈夫だってー!」

 からからと無邪気に三奈ちゃんは笑う。
 そうこうしているうちに、そのまま落ちる――!(テレポー……!!)

「おっとと……ほら!」

 "個性"を使う前に、私の体は三奈ちゃんに受け止められた。

「…………三奈ちゃん、すごいね」

 ありがとうと言って、今度こそ"個性"を使って降りる。

「だって結月と違って鍛えてるもん」
「……………………」


 ♡葉隠透♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

「理世ちゃん大変!どうしよう……どうにか相澤先生の気を引くには――……!!」

 その時、目映い光がどこからか放たれた。

「……!?」

 何がなんだか分からないけど、今がチャンスかも知れない――!
 "個性"を使うと、無事にテレポートが発動し、地面に降り立つ事ができた。

「理世さん、大丈夫ですか……!?」
「うん……でも、今の光は……」
「透ちゃんから出た気がするわ」
「ああ、俺も……」

 梅雨ちゃんと尾白くんの言葉に、私を含めて皆の視線が透ちゃんに集まる。

「私も……自分から出た気がする……!」
「……!?」
「理世ちゃんを助けたいって必死になってて!!」

 透ちゃん自身も何がなんだか分からないようだ。みんなで首を傾げる中「友情パワーだ!!」と、三奈ちゃんが言った。

「あはは!じゃあ、私は透ちゃんに助けられたんだね。ありがとう、透ちゃん!」
「エヘヘ……わかんないけど、理世ちゃん助けられたなら良かったよ!!」


 ♡相澤消太♡


「――?ねえ、悲鳴聞こえない?」
「……っあれ!理世ちゃんっ!?」
「「はっ……!!?」」

 〜以下略〜

 "個性"を使うタイミングを伺っていると、不意に体に絡まる操縛布。

「へ?」

 一転して、私の体は上から支えられ、ゆっくり地面に降ろされていく。

「……?」

 足が着くと、しゅるりと操縛布は回収されていった。
 不思議に思っていると、相澤先生は「さっさと行け」それだけ言って先生は首を引っ込める。

「相澤先生、助けてくれた……?」
「理世ちゃん、落としたと思ったら助けたり……何がしたかったんやろね……」


 お茶子ちゃんと一緒にうーんと頭を悩ませた。


「――ちょっとイレイザー!可愛い女子生徒だからって甘いんじゃないの」
「……ヒーローって呼ばれたからつい手が出ちまっただけです」
「(それでも甘いけど……)」


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