早いもので季節は巡って、桜舞う春がやってきた。
「あれ、廻、ちょっと見ないうちにまた身長伸びた?」
「それ、逆になまえが縮んだのかもよ?」
「縮んでないよっ廻が伸びたんだよ!」
「嘘嘘♪この間測った時は176センチだったかな?」
「やっぱり!廻、成長期だね」
廻となまえの二人は、高校二年生になった。
少しずつ身体も心も成長していくも、二人の仲の良さは昔と変わらない。
「サッカー的には身長もあった方が有利だけど、俺はこのぐらいの身長……てか、身長差がいいな♪」
「身長差?」
「うん、なまえとのね。だって、ほら――……。ね?キス、しやすいでしょ」
むしろ、昔より二人の仲は深まっているかも知れない。
◆◆◆
ブランドを象徴するような、白宝高校の制服もすっかり着慣れた。
学年が上がって、なまえは新しいクラスに登校する。
「おはっよーなまえ!」
「あ、なまえさん、おはようございます」
以前のクラスの見知った顔に、新しい友達もできた。
最初は学校選びを失敗したかもなんて思ったりもしたが、去年の夏休みは短期留学したりと、学校制度を存分に活用して充実している。
ただ、高校二年生という特別な学年での皆の張り切りようには、ちょっとついていけなくなる時がある。
「なにこれおまえの彼女?かわいいじゃん」
「人のスマホ勝手に見んなよ〜」
「うわ、もう新人戦来週じゃん!」
「がんばろ!絶対勝とう〜!」
中学二年の時もそうだったが、それ以上に高校三年は受験一色になる。
二年生のうちに思いっきり部活や恋愛、バイトなど、青春を謳歌しようと皆張り切っているのだ。
そしてなまえは、また同じような悩みを迎える。
――進路だ。理系か文系か決めて、コースを選択して、希望の大学を決めなければならないのだが……。
(理系?文系?私どっちなんだろう……)
まず、そこから。なまえは満遍なく勉強ができるので特に得意不得意の科目はない。好き嫌いもない。苦手な科目は体育。
でも、読書は好きだから文系かなぁと考える。
自分をよく知るであろう廻に聞いてみることにした。
休み時間にパックジュースを買ったあと、外のベンチに座って廻にメッセージを送る。
"私って理系と文系どっちだと思う?"
数分後、廻から返信がきた。
"文系!"
(やっぱり文系かぁ)
"いや、理系?"
(ん!?どっち……?)
"ハーフ&ハーフだと思う"
(……。なんかピザみたいな)
結局どっちの要素もあるという結論になった。
これからコースを選択しなくちゃならなくて、どっちに進むか悩んでいると送ると……
"どっちの分野で自分が成長したいかとかでもいいんじゃない?"
という先ほどのメッセージとは打って変わって、真面目なアドバイスがぽんっと画面に現れた。
普段はお気楽な廻だけど、悩んでる時には、はっとさせられるような刺さる言葉をくれる。
"ありがとう、廻!その方向で考えてみる"
澄みきった青空のように、なまえの心も軽くなった。まだ時間はあるので、しっかり考えよう。
ジュースを飲み終わり、ベンチを立った。
クラスに戻ろうと校舎内を歩いていると、見知った姿が目に入る。
階段の端に一人腰かけ、猫背になっていてもわかる背の高さ。
「凪くん、いつもここでゲームしてるの?」
なまえはその背中に声をかけた。凪とは学年が上がっても一緒のクラスになったが、席は遠く離れた。
会話はもちろん、こうして顔を合わせるのも久しぶりな気がする。
なまえの声に振り返った凪の顔は、何故かぽかーんという表情をしている。
「…………」
「…………?」
「……やべ。一瞬どう声を出すのか忘れた」
「!?」
どういうこと!?驚いていると「二週間ぶりに人と話したかも」という凪の言葉に「嘘でしょう……!?」と、さらになまえは驚いた。
「さすがに俺も人としてヤバいと思い始めてるよ」
「私も……控えめに言ってもヤバいと思う」
「なんだろう。名字さんにそう言われると、えらいマジな気がする……」
えらいマジだからだ。この社会で生きるなら最低限のコミュニケーションは必須である。挨拶とか凪くんに話しかけた方がいいのかなぁとなまえは思ったが、どうも人間関係がめんどくさいらしい。
「やっぱり今日、花屋に寄ろう」
「花屋?」
「うん。ペットとコミュニケーションを取ろうかと考えてて……」
それで一番世話が簡単な植物。コミュニケーションの相手はギリ生き物であればいいという究極的な発想だ。
「……凪くんって、進路はもう考えてたりする?」
次に純粋な疑問をなまえは聞いた。いつも無気力な凪の将来の展望が気になったのだ。
すでに決まっているというように、間を置かず凪は答える。
「高収入の会社に就職して、そこそこ稼いだら早期リタイアするのが俺のドリームプラン」
「早期リタイアして何するの?」
「ゲームだけして生きる」
「……なるほど」
そう言いながらさっそくゲームをする凪。ゲーム廃人……?目的はどうあれ、思ったよりしっかりした将来設計だ。少なくともやりたいことがない自分より、立派な夢を持っていると……なまえは思う。
「堅実的な夢だね。いいと思う」
「え、マジ?」
予想外の肯定の言葉に凪はちょっと驚いた。そんなこと言われたの初め……いや、自分の将来のことを誰かに話したこと自体初めてだっけ?
「私、やりたいこととか特別にないから……人生設計になるほど好きなことがあるっていいなぁって思うな」
好き……?なまえのその言葉に凪は考える。
確かにゲームはめんどくさくないし、楽しいからずっとやっている。だが、好きって言われるとちょっと違うような気もする。
だって、凪が想像している「好き」とは、熱量を感じるから。
「じゃあ私、先行くね」
「ん」
少しの沈黙に、あっさりと二人は別れる。
なまえが積極的な性格なら、もう少し会話が広がったかもしれないが。
「……あ、撃たれた」
凪が再びスマホに目を戻すと、画面にはGAME OVERの文字。
一息ついて、凪はスマホをポケットにしまう。飲み物でも買ってから教室に戻るかーと立ち上がった。
きっと、名字さんは優しいから好意的に解釈してくれたんだ。
自分はただめんどくさいことはしたくなくて、働くのがイヤで、だらだらして生きていきたいだけ。
(……進路、かあ……)
この時はまだ、凪はただの無自覚な天才である。
「名字さんはさ、才能と努力。どっちが重要だと思う?」
――なまえと凪の関係は高二になっても変わらないが、なまえと玲王の関係は少し変化した。
「才能と努力?」
「もちろんサッカーにおいて。名字さんの率直な意見が聞きたい」
玲王の相談役になっていた。いつの間にか。玲王とはまた別々のクラスだが、選択授業は一緒なので、毎回何かしらサッカー関係で話しかけられていた。
アドバイスできるほどの知識はないとなまえは言ったが「むしろこの学校で俺と同等にサッカー語れるの名字さんだけだから」と、きっぱり玲王に一蹴されて今の関係だ。
「両方」
率直な意見ということで、自分の思ったままの意見をなまえは言った。
高校サッカーで活躍するぐらいなら努力でなんとかなるかも知れないが『世界で戦うトッププレイヤー』になるなら、どっちかなんて生温くて、きっとどっちも欠かせない要素だ。
「だよなぁ」
玲王も同意見というように頷いた。ため息混じりで、どうやら御影レオW優勝計画は難航しているらしい。
白宝高校は進学校なので、運動部はめっきり弱い。当然サッカー部も。
まずは部のテコ入れと、話を聞く限りでも玲王の改革っぷりは凄まじかった。
まずはあの手この手でサッカー部員のモチベーションを上げたり――
「やっぱ名字さん、マネージャーやんね?(部員のモチベがさらに上がるぜ)」
「他にマネージャーやりたい子もいると思うし……(御影くんいるなら)」
玲王の戦術指導に加え、御影VRラボのリアル・バーチャル・サッカーゲームで特訓したり――
「ま、俺にとっちゃあポンコツVRだったけどな!」
「時代はハイテクなんだね」
疲労は御影家特注のスーパー酸素カプセルで超回復したり――
「これね。名字さんも試してみてよ。マジ効くよ」
「あ、ありがとう(そんな疲れることしてないけど……)」
そんなありとあらゆる御影御曹司パワーも使って、サッカー部のレベルはぐんぐん上がっていったらしいが、
「やっぱ努力だけじゃあ限界があるんだよな……」
玲王は机に頬杖をつきながら言った。
今のサッカー部のメンバーでは全国大会出場は厳しいと、玲王のずば抜けた頭脳だからこそわかってしまう。
「なあ、例の彼氏もその両方兼ね備えてるタイプ?」
例の彼氏とはもちろん廻のことだ。
廻は天性の才能は当然のこと、元々サッカーが好きというのが根本にあるので、努力というよりはいつも楽しそうに練習をしている。
「そこまでストイックなタイプではないけど……」
それでも"かいぶつ"の声によっては、追い込んで練習もするから、ちょっと心配になる時はあった。
「ふぅん。つーか、その彼氏の名前教えてよ」
なまえはしばし考えたあと、まあ教えない理由もないかと口を開く。
「……蜂楽廻」
蜂楽廻……?なまえの口から出てきた名前に、玲王は怪訝な顔をした。
頭に叩き込んだ同世代の選手の中に、その名前の覚えがない。
なまえの話しぶりから実力あるサッカー選手なら、有名になってそうだが……。
「廻は……まだ見つけられてない天才だから」
見つけられてない天才……?そう言ったなまえの顔は、口元は笑みを浮かべていても、どこか悲しそうに玲王には見えた。
◆◆◆
玲王がなまえの「見つけられてない天才」の意味を知るのは、案外早く訪れる。
何故なら――……
「あ。ゴメン……」
玲王自身が、そんな人物を見つけたから。
「お。セーフ。まだ生きてる」
(いるじゃんここに……。選ばれた人間……)
『天才』は見つける者がいて、初めてその輪郭を成す。
偶然の凪の超絶トラップを眼にして、玲王は確信した。
頭に鮮明に描かれる、W杯優勝の光景。
「おもしろい!おまえはそのままでいい!」
コイツとなら、獲れる……!
「サッカーやろうぜ!」
「サッカー?」
凪誠士郎が、見つけられた瞬間だった。
◆◆◆
なまえが廻のことを「見つけられてない天才」と玲王に言ったのは、まだ誰にも廻のすごさが理解されていないからだ。
そして、高校のサッカー部でも、廻が求める"かいぶつ"がいなかったのだと――練習試合を観にいって、なまえはすぐにわかった。
「……っ高え!」
味方の頭を大きく越えたパス。それは10番の彼へのパスじゃない。
廻の頭に描かれているのは、その先のディフェンダーの裏を突いて、そこから生まれる完璧なゴールだろう。
だが、そのインスピレーションは誰にも届かず、空いたスペースに落ちたボールは相手チームのものになる。
「蜂楽!取れるパスしろー!」
コート外からコーチが叫んだ。怒られる廻になまえは「違う」と叫びたくなる。
外野から観ている"素人の自分"にさえわかるのに、何故皆には伝わらないんだろう。
――廻が時々浮かない顔をしていたのは、きっと練習に疲れただけではない。
「……ねえ、廻。この間の練習試合の前半戦のパス。ディフェンダーの裏をついてからの、ダイレクトシュートでのゴールを描いてたでしょ」
「え、なんで知ってんの?」
ソファに座ったなまえの膝枕で、ウトウトしていた廻の眼が驚きに見開いた。
今日はなまえ母が仕事関係で高級シュークリームをもらったので、お裾分けと廻が部活から帰ってきた時間に合わせて、なまえは蜂楽家にやって来ていた。
二人でシュークリームを食べたあと、廻は「疲れたから膝枕してー」と、なまえが答える前に勝手に膝に頭を乗せてきて、今に至る。
「優さんに日程聞いて、こっそり試合観にきてたの」
廻は忙しいだろうとなまえに気を遣ってなのか、練習試合の日程を教えてくれないから。
「そっかぁー……なまえが観てるってわかったら、俺、もっと頑張ったのにな」
試合は波風高校が1−0と勝ったものの。蓋を開けてみれば、パスの中心となる廻とチームメイトの連携が取れておらず、ちぐはぐな試合だった。
「廻は頑張ってたよ」
「……なまえはわかってくれるのにね。みんなは……なんでわかってくれないんだろ」
天井を見上げてぽつりと言ったそれは、滅多に吐かない廻の弱音。
「にゃは、なーんてね♪」
「私が……」
「…………」
「……私が男だったら、一緒にサッカーして、廻のパスからスーパースペシャルなプレーしたのになっ」
一瞬、表情を歪ませたものの、すぐになまえは冗談っぽく笑う。
それに合わせるように、廻も笑って答える。
「運動がダメダメななまえには期待できないかな〜」
「私が男だったら、だからね。廻より天才かもしれないよ」
「マジか」
おかしそうに笑う廻。やがて、その眼がまっすぐと下からなまえを見つめる。
「なまえはさ、なまえのままでいてよ」
「……?」
「俺、なまえのことは――……」
……続く言葉を待つが、廻の眼はとろんとして、やがてゆっくり閉じた。
…………ええ、そこで寝ちゃうの!?
普通はこんな一瞬で眠れないが、廻は違う。どこでだって寝れるし、ましてやなまえの膝枕だ。安心感もあって一瞬で眠りについてしまう。
(……私、廻になんて言葉をかければよかったのかな……)
廻に一番必要な存在は、"かいぶつ"くんだ。
一緒にサッカーをしてくれる友達。
それは廻が一人でサッカーをし始めた頃から変わらない。
なまえではなれない存在。
ずっとわかっているからこそ、自分が他に廻にできることがわからなかった。
「――……んあ」
しばらくして廻は眼を覚ます。上半身をゆっくり起こし、気づいた。
……ありゃ、なまえも寝てる。
ソファの端にもたれるように体を傾け、すやすやと。
通ってる高校は東京だから、長い電車通学になまえも疲れてるんじゃないかと思う。
――廻がなまえに練習試合の日程を教えなかったのは、そんな気遣いからだけではないが。
(なまえ、俺のサッカー観てワクワクしたのかな)
廻は……してない。最近はサッカーがつまらなく感じていた。ただ楽しいサッカーがしたいだけなのに、それがちっとも周りに伝わらないから。
(なまえは、俺のサッカーを好きだって言ってくれた)
なまえの寝顔を見つめる廻の眼は優しい。
だが、その表情に陰りが生まれる。
『私……廻が楽しそうにサッカーしてる姿、好きだよ』
(楽しくないサッカーだったら、なまえは俺のこと、好きでなくなっちゃうのかな……)
もちろんなまえが、自分のことを好きなのはそれだけじゃないと廻はわかっている。これは理屈じゃない感情。
好きだからこそ、不安になる。
練習試合の日程を教えなかった理由の一つはそれだ。今のつまらないサッカーをしている自分を見せたくなかった。
がっかりさせたくない。さっき一瞬見せた、悲しそうな顔だってさせたくない。
なまえは今のなまえのままでいい。十分廻は支えられているから。幼い頃からずっと……
「――ただいま!なまえちゃん、来てるの?」
「ママ、おかえり。うん。ソファで寝ちゃってる」
優が帰ってきて、廻はなまえの寝顔から視線をそちらに向ける。
「珍しいね。廻じゃなくて、なまえちゃんがうたた寝してるなんて」
「俺もさっき寝ちゃったけど、なまえも疲れてるのかも」
「じゃあ、夕飯できるまで寝かせてあげて、うちで食べていってもらおっか」
「それいいね」
廻はなまえを起こさないよう静かに立ち上がると、自分の部屋へ向かった。
戻って来た手にはブランケットを持っており、そっとなまえにかける。
「今晩の夕飯なに?俺も手伝う」
「今晩の夕飯は廻でも作れる――……」
……ん。廻に起こされる前になまえは自然と眼が覚めた。
あれ、いつの間に眠って……?
傾けていた体を起こすと、何かが肩からずり落ちた。独特の柄のブランケット。廻がかけてくれたんだと気づく。
それに……食欲をそそるおいしそうなにおいがする。
「あ――なまえ起きた?」
「廻、ごめん。私も寝ちゃったみたいで……これ、ありがとう」
「ううん♪よく寝れた?」
「ちょうどなまえちゃん、夕飯できたところだよ」
「あ、優さん。おかえりなさい」
夕飯……?
「なまえちゃんのお母さんには連絡しといたから、夕飯うちで食べていって。メニューは普通のカレーだけど」
「わぁ、おいしそう!」
俺も手伝ったんだよと得意気に言う廻に「えらい!」と笑って、なまえは夕飯を蜂楽家でごちそうになることにした。
「――んっ、カレーおいしい!」
「よかった。おかわりあるからね」
「廻は人参を切ったんだね」
「えーなんでわかったの?」
「だって厚さバラバラだから」
不揃いな人参を見ながらなまえはおかしそうに言う。
片親である優の手伝いをしてたので、廻は家事はできないことはないが、とにかく大雑把だ。
「でも、すごくおいしいよ」
「でしょ?口に入っちゃえば一緒一緒♪」
「それ言うのは、なまえちゃんの立場だけどね」
調子のいい息子に笑う優。他愛ない会話と共に、三人で夕食の時間を過ごした。
「送ってくれてありがとう、廻」
「って言ってもすぐそこだけどね」
家が目と鼻の先でも。夜の時間帯には、廻はちゃんとなまえを自宅まで送り届ける。
「じゃあ、おやすみ♪」
「おやすみなさい」
すっかり高くなった背中を見送り、ただいまーと家に帰ったなまえは、あっと思い出した。
廻が言いかけてた言葉の続き、聞くの忘れちゃった。
◆◆◆
桜の花が葉桜に変わり、5月に入った頃。
白宝高校の弱小サッカー部が生まれ変わったという。
いや――
「名字さん!今度こそ本気でマネージャーやってくれ!俺たち新しいサッカー部の始動だ!」
「名字さん、諦めた方がいーよ。レオ、むちゃくちゃしつこいから」
どうやら、ここから生まれ変わるらしい。
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あでぃしょなる⚽たいむ!
#玲王の凪誠士郎調査
「超絶トラップ?」
「ああ!俺は確信したんだ。あのトラップは世界に通用する!んで、どうにか凪誠士郎をサッカーに引きずり込むのに……」
「(引きずり込む……)」
「今調査してんだけど、一年の時に近くの席で名字さんと仲良かったって情報を入手してさ」
「仲良いかなぁ?一年間で両手で数えられるぐらいしか話してないけど」
「……なるほど。むしろ仲良いレベルがそのラインだとわかった感じだな……。ちなみに名字さんから見た凪はどんなん?」
「うーん……いつも無気力だけど、好きなことをしたいっていう立派な夢を持ってるとか」
(立派な夢……!?あのぐーたらスローライフがか!?)
「……それちょっと好意的に解釈しすぎじゃね」
「そうかな?」