メダル女学園・後編

 エルシスが正式客員生徒なったので、堂々と校舎内を歩き回れる。

 熱心に掃除をしている女生徒もいて、室内が綺麗なのは彼女たちのおかげだろう。

「キレイ好きな私としてはこの学校の図書室はホコリっぽくってどうしても許せないのよね」
「図書室があるのね」

 興味津々に言ったユリに、彼女はええと頷く。

「なんでもこの学校に関する貴重な本がたくさん置いてあるらしいんだけど、古くてカビ臭くって汚い本ばかりなの。旅人さんみたいに探究心のある人には宝の山かもしれないけれどね」
「ねえ、見に行ってみない?」

 という本好きのユリの言葉に、三人はもちろんと同意した。

 図書室と名の通り、本棚にはぎっしりと隙間なく本が詰まっている。

「確かに歴史ある本が多いみたいだ……」
「こういう年季が入っいてる本に、案外宝の地図が挟まれてたりするぜ。……お、宝の地図じゃねえけど、レシピブック発見」

 ほらよとカミュはレシピブックをエルシスに渡す。

「勝手に持ってていいのかな……?」というエルシスの心配に「いいんだよ。まほうの鍛冶台がないと意味ねえんだから」と言ってのけた。

「あらやだ!」
「シルビアさん、どうしたの?」
「ここの制服はかの超人気デザイナー、カルバン・ジャンポルテがデザインしたって書いてあるわ!」
「すごい人が考えたデザインなんだ」
「ええ!アタシも憧れててね、一度でいいから衣装を作って欲しいのよね〜。ほら、ステキなデザインじゃない?」
「本当ね!清楚でハイソでハイクオリティー」

 二人の会話を聞いて「やけに語呂よく言ったなユリ」とエルシスは思いながら、自分も適当に本棚から本を取る。

 開いた本のページには、大きな文字で『大吉』と書いてあった。

 エルシスはすこしうれしくなった。

 その幸運かわからないが。興味本意で立ち寄った図書室で、彼らは思わぬオーブの手がかりを入手することとなる。

『怪鳥の宝玉 鳥類学者ベルタ 著』

 宝玉――と付いたタイトルに、エルシスは気になって、その本を手に取った。

 本にはこう書かれている――……

 メダチャット地方の東のはずれには、人の訪れを拒みつづける未踏の谷がある。
 それが、怪鳥の幽谷。
 おそるべき、巨大な鳥型の魔物。
 ごくらくちょうの知られざる棲みかである。
 彼らは他の鳥類と同じようにキラキラと光るものを好み、時には窃盗ともいえる手口で巣に集める。
 近年に報告されたもっとも大きな被害は『秘宝シルバーオーブ』が、とある大富豪の邸宅から一夜のうちに盗まれた事例だろう。
 ごくらくちょうに盗まれたシルバーオーブは、きっと怪鳥の幽谷に今もある。
 勇気ある者はその目で真実を見届けてほしい。

「ごくらくちょうに盗まれたシルバーオーブ……!」
「あの人魚の女王さんの助言は当たってたってわけか」
「次の目的地が決まったわね」

 三人が話すなか、シルバーオーブ……とユリは考える。何かが引っ掛かるように感じるのだ。

「ねえ、カミュ。シルバーオーブってどんなオーブかな」
「ん?シルバーオーブっていうぐらいだから、銀色に輝く宝玉だろ?」

 さも当然のように答えたカミュに、ユリはおかしなこと聞いたなと自分に不思議に思った。

 四人はベロニカとセーニャ、ロウとマルティナと合流し、シルバーオーブの手がかりの話をする。
 正式客員生徒になったエルシスは自由に空いてる学生寮に泊まれるので、明日出発しようとなった。

 おいしいと評判の食堂のご飯も食べたい。セーニャが言ってた通り、すでに近くではいいにおいがするのだ。

「じゃあ、僕。夕飯までに、ふしぎな鍛冶台でお願いされたものを作ってくるから」
「お前はホント、どこでもホイホイと頼みごとを引き受けるなぁ」
「それがエルシスの良いところよ、カミュ」

 ふしぎな鍛冶台での頼まれものが一番張り切って見えるエルシスに、マルティナはくすりと笑う。

 エルシスが引き受けたのは、ハンナという自称スケバンの女学生の頼みごとだ――……

「スケバンにとっていちばん大切なことは、目をかけてもらった義理ある人にけっして迷惑をかけないことなんだ」

 スケバンとは何かエルシスはわからないが、彼女が義理堅い性格なのは分かった。

「それなのにアタイときたら、ざまあないよ。担任のミチヨ先生が大切にしてた教鞭をうっかり捨てちまうなんてさ。ミチヨ先生は優しく見えるけど、怒るとものすごくおっかないんだ。バレたらどんなお仕置きが持ってるか……」

 エルシスはマリアンヌ先生を思い出した。
 確かに怒ったらおっかないぞと想像し、ハンナの話にうんうんと頷く。

「新しい教鞭を用意してケジメをつけたくても、あの教鞭はふしぎな鍛冶で作った特注品。スケバンのアタイにはとてもムリさ」
「なるほど……」
「……ねえ、旅人のアニさん。長い冒険をして、この学園にたどり着いたアンタなら、ふしぎな鍛冶ってのができるんじゃないかい?もしできるなら、ミチヨ先生の新しい教鞭になるような上等なムチをアタイの代わりに作ってくれないかい?」
「もちろん!ふしぎな鍛冶台を持ってるんだ。僕にまかせてよ!」

 エルシスは笑顔で二つ返事した。

「さすが頼りになるね、旅人のアニさん!図書館の本を調べて、ちょうどいいムチのレシピを見つけたんだ」

 エルシスはレシピブック『女王のムチの書』を受け取った。
 ふむふむ、素材もちょうどあるから作れるぞ。

「いろいろと注文をつけて悪いんだけど、女王のムチのふつうの出来以上を作っとくれ。先生に上等なムチを渡して誠意を見せるんだ」
「了解!」
「わかってるとは思うけど、女王のムチは先生のだからアニさんが装備してたらダメだからね!」

 いや、僕は装備できないから……シルビアなら出来るけど。

「それじゃあ頼んだよ、旅人のアニさん。アタイにケジメをつけさせとくれ!」

 ――という風に。ハンナのケジメのために、エルシスはトンカチを振るうのだ。

「クエストをこなすのもよいが、エルシスはガールハントをせんのか?わしがお前くらいの年じゃったら、生徒さんみんなとお友達になるがの〜」
「そう言わずに、ロウさまったらすでに何名かとお友達になってるわ……」

 さすが元国王の人心掌握術である。

「オレは夕飯まで学生寮で休んでるぜ」

 ここにいると視線がうるせえとカミュはぼやく。女生徒の熱い視線が今も一身に受けている。

「そうね。アタシもそうしようかしら」

 それはシルビアも同様だ。

「じゃあ、夕食の時刻になったら二人を迎えに行くよ」

 エルシスも同様だが、ぼんやりが入っている彼は気づいていない。

「では、マドンナ先生と茶でもしてくるかの!」

 ロウは昔はマドンナだったという、妙齢な先生と意気投合したらしい。

「ユリさまはいかがいたしますか?私たちは購買部があると聞いたので、そちらに行こうかと……」
「うん、行きたい!」
「私も一緒にいいかしら?」
「じゃあ決まりね!」

 彼女たちは食堂にあるという購買部へ向かった。
 途中、ベロニカとセーニャは、同じように双子の女生徒に会って仲良くなったという話をユリとマルティナにした。

「ああ、なんてことだ……!」

 そうオロオロして嘆いているのは、若い男性だ。メダ女学園に男性?と思ったが、ここの用務員らしい。

「あの、大丈夫ですか……?」

 声をかけたユリに、がっかりした表情を浮かべて彼は振り返る。

「ああ、君たちは旅の者だね。そうだ!君たち。ここで来るまでの旅の途中、指輪が落ちてなかったかい?」

 四人は顔を見合わせふるふると首を横に振る。

「やっぱり……あの怪鳥に盗られたんだ。僕の大事な指輪を……」
「大事な指輪って、なんなのよ?」
「ルージュ先生って知ってるかい?保健室の先生でとっても魅力的な女性なんだ。僕は勇気を出して、彼女に大粒パールの指輪と共に愛の告白をしようと思ってたんだよ……」

 用務員の男性の話を聞いて、セーニャは「まあっなんてことでしょう……!」と、早くも感情移入してショックを受けている。

「きっとこれは、神様から諦めろという啓示なんだ……」
「そんなことないと思うけど……。本当に彼女を愛しているなら貫くべきだわ」

 マルティナの言葉に「彼女を愛しているなら……」と反応を示す。

「あの、良かったらこれ、差し上げます」

 ユリが用務員の男性に渡したのは、ナギムナー村で女の子にもらった『大粒の真珠』だ。

「え!?これ……大粒真珠!しかもとても質がいい!本当にいいのかい?」
「はい、愛の告白頑張ってください」
「ありがとう!君は愛の天使さまだ!何かお礼をしなくちゃな……。そうだ!」

 用務員の男性はユリに小瓶を渡した。

「いい香りのするあの子が愛用している『かぐわしい香水』さ。ぜひもらってくれ」

 嗅いでみると、本当にいい香りがする。
 それもそのはず、これはくさった死体の女の子が、自分のニオイ消しで使っているからだ。

「あんたもエルシスと変わらないわね」
「でも、ステキな香水をもらえましたわ」
「あの人、上手くいくといいな」
「結果はどうあれ、思いは伝わるはずよ」

 そして、四人は食堂の購買部にやって来た。

「ぐるぐるメガネ!これかけたら頭よく見えるかな?」
「逆に見えるから止めときなさい」

 ユリはぐるぐるした丸レンズのメガネをかけてみたが、ぴしゃりとベロニカに却下された。
 結構可愛いと思うんだけど……。それに魅了を防ぐ効果もあるらしい。

「わたしゃ、給食委員長のメイジーだわさー!ドーソンさんの今晩の手作り給食のメニューをお姉さんたちも知りたいでしょう?」

 そわそわしてる少女の言葉に、四人は知りたいと答えた。

「うっふっふー!まかせてよ!メインディッシュはユグノア王国伝来、失われし伝説のソーセージ!バンデルフォン小麦のふわふわ白パンに挟めば、超高級ホットドッグの出来上がり!ドゥルダの高原レタスも忘れずにね!」

 おいしそう!これには全員、自然と顔が笑顔になる。

「スープは母ちゃんの味、ホワイトシチュー!デザートはダーハルーネ直送、極上ケーキとナギムナーの新鮮南国フルーツだわさ!」
「うわぁ、最高のメニュー!」
「……フフィーッ!考えただけでお腹すいてきちゃった!早く給食の時間にならないかなー!」

 うきうきするユリとメイジーだけでなく、残りの三人も心踊らせた。

「なんて魅力的なメニューなんでしょう……!」
「デザートまで食べれるなんて、ちょっとメダ女に入学したくなってきたわ!」
「夕食がとても楽しみね!」

 そう四人で盛り上がっていると「あら、あなた……」と、不意に声をかけられたのはマルティナだった。

「突然、話しかけてごめんなさいね。昔の親友によく似ていたものだから……」
「構いませんわ」
「わたくし、副校長のグレースと申します」

 グレースと名乗った彼女は眼鏡をかけ、髪をきちっとお団子にまとめた、聡明そうな女性だった。
 旅人の彼女たちにお願いしたいことがあると言う。

「先日、図書室の本を整理していたら、古い本の中に1冊の日記帳を見つけました」
「日記帳、ですか……」
「おそらく卒業生が残した日記なのですが、最後のページに書かれていた不思議な伝言がどうにも気になって仕方ないのです」

 グレースは懇願するように彼女たちを見て、口を開く。

「……旅人さん、もし、よろしければ日記に書かれた不思議な伝言についてちょっとした調べものを頼めないかしら?」

 マルティナは三人と顔を見合わせてから「私たちでよければ……」と、引き受けた。
 すがるような表情を見せた彼女のお願いを、無下にはできない。
 
「どうもありがとう、旅人さん。さっそくだけど、日記の最後にはこんなことが書かれていました……」

『私の青春をここに埋めるわ。夕方、思い出の木の影がのびる先へ。どうか、受け取って私の親友』

「ぐうぜんかもしれないけれど、まるでわたくしに宛てた伝言のようで気になって仕事も手につきません……。なんたってわたくしの青春にも、校庭に生えたブランコの木の下で親友と語り合った思い出があるんですもの」
「素敵な思い出ですわね」
「ええ……。ですから、メダル女学園の校庭に行って、日記帳の伝言が何をしめしているのか調べてきてください。本当は自分で調べたいけれど、放課後は副校長の仕事が忙しくって見にいくヒマがないの……。急なお願いで申し訳ないけれど、よろしくお願いしますね」


 グレースのお願いを聞き入れたマルティナたちは、夕刻まで待って校庭に探しに行くことにした。


 残照を浴びて、メダチャット地方の広大な景色は、朱と金を混ぜたような色に染まっている。
 美しい夕空に、三人はしばらく見入ってしまったが、グレースに頼まれた調べものが目的だ。

「グレースさまは、"思い出の木の影がのびる先へ"と、手紙に書かれてましたとおっしゃってましたわね」
「まずはその木がどれかよね」
「木はたくさんあるけど……」
「この木……学園のシンボルみたいな木ね」

 セーニャ、ベロニカ、ユリと続いて、辺りを見渡していたマルティナが一つの大きく立派な木に近づく。
 校舎の近く、ちょうど食堂の入口から出た所にあるこの木は、太い枝にブランコが取り付けられている。

 その場所で幼い二人の女生徒が、笑顔で仲良く語り合っている――マルティナの脳裏に、そんな光景が自然と浮かんだ。

「きっとこの木じゃないかしら?ちょうど西日の光で影ができるわ」
「影の先は花壇ですが……」
「……あ、影の先に花が植えられてない部分があるよ」
「きっとそこよ!掘り起こしてみましょう!」

 マルティナは花壇の手入れをする女性徒からスコップを借りて、不自然に花が植えられていないその場を掘り起こす。

「……何かあるわ」

 かつんとスコップが当たって、傷つけぬよう慎重に周囲から掘り起こしていった。
 土の中から顔を出したのは――

「箱……?」
「きっとこの箱の中に思い出の品が入っているんだわ」
「さっそくグレースさまにお渡ししましょう」
「ええ、いきましょう」

 マルティナは箱をそっと取りだし、丁寧に周りの土を払った。


「旅人さん、日記帳の伝言について、調べてきてくださったのね。それで……何かわかりましたか?」
「これが見つかりました――」

 マルティナは思い出のプレゼントをグレースに渡した。

「……この箱が埋まっていたの?いったい何が入っているのかしら?では、さっそく開けてみますね」

 グレースが開けた箱の中には、赤いリボンと一通の手紙が入っている。
 グレースは手紙を取りだし、読みはじめた……。

「この学園を卒業したら、私は遠い国に行きます。デルカダール王国の王子さまと結婚し、その妃として生きることになったのです」

 ……!デルカダール王国……!

 マルティナは口を手で覆い、驚く。
 他の三人も驚きに目を見開き、彼女を見た。

 デルカダール王国に嫁いだ――年齢から考えても、マルティナの亡き母のことだ。

(知らなかった……お母さまがメダル女学園に通っていたなんて……)

 病弱だったマルティナの母は、愛娘を産んですぐに流行り病で旅立ってしまったからだ。

 マルティナはグレースの口から代わりに語られる、母の言葉と思いに真剣に耳を傾ける――……


 妃となれば、今までのようには過ごせません。王国のため、人々のため、生きると思うと、自分が自分でなくなるようでこわいのです。
 この学園であなたと過ごした日々は、すばらしい思い出となるでしょう。
 私は絶対に忘れません。
 だから、お願いグレース。普通の少女だった私を覚えていて、これからも私の親友でいてください。
 友情の証として、私の赤いリボンをあなたにさしあげます。きっとよく似合うはずです――。


「……ああ、なんということでしょう。これは、わたくしに宛てた手紙です。間違いなく、わたくしの親友の物ですわ」

 手紙を持つグレースの手が微かに震えている。

「あの子は学園一の美少女で、真っ黒な長い髪につけた赤いリボンがとてもよく似合っていました」

 そして、今度はグレースが親友である彼女とのずっと閉まっていた思い出を語った。

「卒業式の日に、わたくしははじめてあの子が結婚することを知らされてね。大ゲンカをしてしまったのです」

 それは積年の後悔だった。彼女にひどいことを言ってしまって、謝ることもできず、最後になってしまったなんて。
 
「それ以来、すっかり疎遠になってしまい……。風のウワサで彼女は姫君を産んだ後、流行り病にかかり、亡くなったと聞いたわ……。あの時、ケンカなんかせず、ちゃんとおめでとうと言ってあげてたらと何度も何度も後悔していたの……」

 懺悔するようにグレースは話した。

 あの日記帳を見つけた時に、すぐに彼女の字だとわかった。
 でも、真実に向き合うのがこわくて、ずっと探しにいけなかったのだ。
 仕事が忙しいからなんて、自分に言い訳して。

「青春の日々はもう遠い昔だけれど、あの子のことを忘れたことなんて、一度だってなかったわ……」

 そんな時に、彼女が現れた。親友と瓜二つのあなたが――。

 静かに涙を流すマルティナを見るグレースの目は優しく、懐かしさが宿っている。
 本当にそっくり。初めて見かけたときは、持っていた教科書を落としてしまった。

 デルカダール王女は、16年前にユグノアの魔物襲撃に巻き込まれて亡くなったという。
 何故そのような話になったのかはグレースには分からないが、紛れもなく彼女はあの子の娘だと確信していた。

 だからこそ、彼女にお願いしたのだ。

「旅人さん、本当にありがとうございました。お礼と言ってはなんだけれど、赤いリボンはあなたが持っていてください」
「そんなっ、これは受け取れません!」

 母が親友に託した、大事なリボンを。

 グレースはゆっくり首を横に降り、優しくマルティナの手にリボンをのせて、自身の手で包む。

「このリボンはあの子の青春の形。わたくしみたいなおばさんが持っていても、何も意味がないものなのですよ」

 きっと、あなたなら似合います――。

 その言葉を聞いて、マルティナは再び流れ出しそうになった涙をぐっと堪えて。

「あの……私……わたしは……っ」
「大丈夫。何も言わなくても大丈夫ですよ。けれど、そうね……。良かったら、もう少し親友のあの子との思い出を聞いてくださらないかしら?」
「……っはい…はい……!」

 マルティナは何度も頷く。もう片方の手で流してしまった涙を拭うと、今度はしっかりした口調で言う。

「ぜひ、聞かせてください。……グレース先生」

 誰もが見惚れるその笑顔は、グレースをあの青春の日々に戻した。

 ――ユリとベロニカとセーニャは、そっと部屋を後にする。

 きっと話は長くなるから、仲間たちにも伝えなくてはと、潤んだ目で彼女たちは顔を見合わせた。





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マルティナ母が亡くなられた時期はゲームで曖昧なので、マルティナを産んですぐに亡くなられたと設定して書いてます。

ちなみにさり気なく夢主専用クエスト『わらしべ長者?』が進行中。

青いサンゴ→大粒の真珠→かぐわしい香水→?


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