メダル女学園・前編

 人魚の女王セレンの助言と、人魚の力を借りて、一行は新しい地域へと足を踏み入れた。

「おおっ!海の底からここメダチャット地方に出るとは。姫と一緒に世界中を巡ってきたが、この地を訪れるのはいつ以来かのう。これも何かの導きかもしれんな」
「ロウおじいちゃんとマルティナは来たことがあるんだね」

 エルシスが聞くと、マルティナは笑顔で頷いて答える。
 ロウとマルティナ。二人は16年間、身分を隠し、世界各地を旅してきたのだ。地理の知識は豊富だ。

「ええ、以前来た記憶があるわ。たしか、橋を渡って南側には有名な遺跡のある村があったはずよ」
「有名な遺跡の村……」

 遺跡という部分に気になるねとユリが言った。
 その村の名前は『プチャラオ村』というらしい。
 ちょうど桟橋を過ぎて道が二手に別れた所に、看板が立て掛けられていた。

「まずは女王さまの言っていたメダル女学園に行ってみましょう」
「うん。オーブの手がかりが見つかるかもしれない」

 ベロニカの言葉にエルシスは頷き、看板が示すメダル女学園への道に足を進める。

「それにしてもすごかったわね!マーメイドハープを使って海にもぐることで、海の下でつながってる別の場所にも行けるのね」
「ええ、素晴らしい体験でしたわね」

 シルビアの言葉に思い出したようにセーニャがうっとりした。
 人魚たちの力によって船は海流に乗り、海底にある光の航路を通って別の場所に行けるのだ。

「他にも行ける場所がありそうね。エルシスちゃん、アタシの船……シルビア号で世界中を巡ってみましょう」
「うん!光の柱の場所は他にもアリスさんが記してくれてたしね」


 この辺りの魔物は初めてみるが、今の彼らの敵ではなかった。
 小さな魔物群れにはベロニカ、ロウの魔法が一掃し、守備力ある魔物たちにはエルシス、マルティナがいる。
 奇襲をしかけようとした魔物たちには、素早さが高いカミュや俊敏なシルビアが返り討ちにした。

 それぞれ戦いのスタイルが違うので、魔物に合わせて戦闘メンバーを変えるのが、人数が増えた今の彼らの戦い方だ。

 ユリは回復兼の補助で、セーニャも回復役だが、彼女もバトルフォークを装備し、エルシスに続いて敵に攻撃し、とどめを刺す。

「ナイス、セーニャ!」
「はい、エルシスさま!」
「なかなか筋がいいわよ、セーニャ」
「ありがとうございます、マルティナさま!」

 そんな彼らでも少々手こずったのがドラゴンバゲージだ。

「この魔物、回復できるんだ!」

 エルシスがくやしげにもらした。

 小脇に抱えたツボに入った魔法の液体が強さの秘密で、飲めば元気100倍で、吹きかければ炎となる。
 複数で現れた際は厄介なことこの上ない。

「エルシス、強力な攻撃叩き込んで一気に片付けるぜ!」
「了解!」

 エルシスは最近覚えた大剣技の『フリーズブレード』を放つ。
 地面に生まれた氷の刃がドラゴンバゲージの足元を凍らせ、動きを止めた。

「上からも氷の刃を降らせるかのう――ヒャダルコ!」

 ベロニカもヒャダルコを唱えようしたがロウに先を越されたらしい。

「ユリちゃん!一緒にドラゴン斬りいけるかしら!」
「大丈夫!」

 シルビアとユリのドラゴン斬りに、とどめはエルシスとマルティナが刺した。

 ドラゴンバゲージは『ドラゴンの皮』を落として、エルシスは嬉しそうに回収する。

 辺りの魔物の気配もなくなり、ユリはふぅと短いため息をもらした。
 久々に剣を使ったけど、ちゃんと使えて良かった。
 自分が前線に出るまでなく、魔物は倒されてしまうので、必然的にユリは補助役に回る。

 それはそれでいいのだが、すべてが自分は中途半端だと、ユリは落胆していた。

 ベロニカやロウみたいに攻撃魔法に特化しているわけでもなく、セーニャの様に回復のエキスパートでもない。
 カミュのように素早さもなければ、マルティナのように力もない。
 剣技も実力不足だし、唯一の武器は弓でも、活躍場を見出だせなかった。

 考えてくると、どんどんマイナス思考に陥ってくる。ユリは振り払うように首を横に振った。

(皆の足手まといにはならないようにしないと――)


『王立メダル女学園。ちいさなメダルをお持ちの方大歓迎!この看板を左へどうぞ』

 ……という案内に従い左の道を行く。

 学園通りだからか、小さな滝が流れる隣の小道は、ちゃんと整備されて美しい並木通りだ。
 その道を奥に進むと、厳格な門に、山奥にあると思えない洒落た大きな建物が現れた。
 中央の道の左右は花壇では美しい花たちが咲き乱れている。
 生徒が水をやりをしており、きっと彼女たちが丹精を込めて育てているのだろう。

「ふーん、この学校の制服はステキじゃない。さりげないオシャレって感じがして、なかなかあたし好みだわ」

 彼女たちの制服を見てベロニカが言った。
 確かに今まで見たことない服装だが、いかにもお嬢様という雰囲気がする。

「びっくりするほど平和な場所だな。こういう所で勉強してるお嬢ちゃんたちはオレとは住む世界が違うぜ」

 学園内を眺めながら言ったカミュの言葉にエルシスも同感だ。
 ある意味、こんな世界もあるんだなと初めて知る。

「オレがおたずね者だと知ったら怖がって目も合わせてくれなそうだよな」
「いや、それはないんじゃない……?」

 その言葉には苦笑いを浮かべたエルシス。(それでもカミュならモテモテだと思うけど……)

「ようこそ、旅の方……。……ここは……王立メダル女学園。この学び舎に……集うのは……。……ステキなレディを目指す……少女たち。人はこの学校をメダ女と呼ぶぞ……」

 どこか覇気がない男が、彼らに話しかけてきた。門の管理人らしい。

「校舎は……男子禁制のため……男性の旅人さんが……見学できるのは……ここまでだ」

 校舎がどんな所か見学できないのは残念だが、仕方ない。エルシスは彼女たちにお願いした。

「アタシたちはお花見でもして待ってまましょうか」

 シルビアの言葉にとりあえず広場に入ると、生徒たちが集まっている。
「生徒って魔物もいるんだね……」
 ユリが驚いて呟いた。その中にはホイミスライムやくさった死体の姿もあって驚く。ピンクの髪色で可愛らしい雰囲気だが。

 そして、小さな丸眼鏡をかけたフサフサの白い髭のおじさんが現れた。

「エルシス。人魚の女王さんが言ってた"主"って、あのジイさんじゃねえか」
「ああ、そうかも!」 

 どこか愛嬌があるそのおじさんは、ぴょんっと台に乗ると、タクトを持って指揮をする。


 少女たちの澄んだ声の歌声が辺りに響く――……


 しらかばの森にー♪こもれびの花ー♪
 スズランのベルを 風が鳴らすよー♪

 ちいさなレディは 夢見るレディ♪
 大きな世界が わたしを待ってる♪
 ルルルールー♪

 歩こう ザ・ワールド♪
 集めよう トレジャー♪

 ラララーラー♪
 メダル メダル ちいさなメダル♪
 王立メダル女学園ーーっ♪


 すたっとおじさんが台から降りて、そこで歌が終わる。「あれがメダル女学園の校歌なのね」マルティナが小さく言った。

「はい、皆さん。よくできましたな。今日も1日、ステキなレディを目指してがんばるのですな」
「きをつけ――ごきげんよう」
「「ごきげんよう!」」

 少女たちは声を合わせて、上品にお辞儀する。

「はい、ごきげんよう」

 同じようにおじさんがお辞儀すると、先ほどの淑やかな雰囲気と一転、きゃきゃっと彼女たちは駆けていった。
 年頃らしい雰囲気に、くすりと笑うマルティナ。

「私がこの学校の生徒さんくらいの頃は、ロウさまに教えてもらったばかりのまわし蹴りの取得に夢中だったの」
「すごいな。マルティナはずっと修行してたんだ」

 幼い頃から武術の稽古をしていたのが、マルティナの強さの秘訣だろう。

「はじめて石の壁を蹴りやぶった時は、とても気分がよかったわ」

 そのときの気分を思い出したように、清々しく言うマルティナ。
 石の壁……エルシスは思わず隣のユリと顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。

「やあやあ。お客さんとはめずらしい。何かご用ですかな?」

 彼らの存在に気づいて声をかけるおじさんは、エルシスの姿を目にした途端、ぴょんとその場で跳ねて、すたたたたと物凄い勢いでエルシスに詰め寄った。

「へ!?」
「……むむむ!旅の方!非常にまことにおどろくべことだ……。わかります……私にはわかりますなっ!」

 エルシスが後退りすると、いつの間にか回りにいた仲間たちが距離を取っている。そんな……!
 
「すーーーーんばらしい!!あなたはとんでもない才能を秘めておりますな!!」
「さ、才能?」
「話せば長くなります。こんな所で立ち話はなんですな。校長室にいらしてくださいな!」

 そう言って、軽快な足取りで彼は行ってしまう。

「なんか、面白い人だったね……」
「う、うん……悪い人じゃなさそうだけど……」

 ぽかーんとする一同だったが、その面白いおじさんがここの校長らしい。
 校長直々の誘いに、エルシスもその仲間の男性陣たちも校舎に入ることを許された。


 そんな彼らの前を力強く走って横切ろうとする女生徒が。

「ワタクシにとってのステキなレディは、お休みの日にグロッタの闘技場で出会ったレディ・マッシブさまなのですわよーん!」

 レディ・マッシブ……!意外なところでその名前が出てきたぞ。全員、シルビアを見た。

「しゃべり方と動きをマネしたけれど、あのステキなボディにはほど遠いから、一生懸命身体を鍛えているのですわよー!……あら、あなた。どこかレディ・マッシブさまに似てるような……」

 シルビアは「気のせいよ、オホホホ」と笑ってごまかした。

 メダル女学園とは、麗しき淑女のみが入学できる学校とエルシスは耳にしていたが、どうもその世界観は独特である。

「わたし、この学校に入学したばかりだから、ステキなレディっていったいなんなのかちっともわかんないわ。お姉さまがたの言う通り、毎日この体操をしていればホントにステキなレディになれるのかなあ……」

 小さな女の子はそう言いながら、少し大きなお姉さんの真似をするように、小さなメダルを拾う練習をしており……

「わたくしたちはステキなレディ部!世界一のステキなレディになるためにさまざまな訓練を行う部活動ですの!この"ちいさなメダル"を優雅に拾う体操は、開校当時から続けられている伝統と格式のある体操ですのよ!」

 そんな風に他の女生徒も同じように熱心に拾う練習をしていた。

「なんで小さなメダルなんだろう?」
「さあ……」

 ユリの疑問にエルシスは首を傾げる。
 むしろ、答えられる者はこの場に誰もいない。

「校舎のほうからいい香りがしますね。この香り……今夜はシチューでしょうか。なんだかお腹が空いてしまいますわ」
「セーニャ……あんたもぼんやりコンビと変わらないぐらいマイペースよね」

 ベロニカが言ったぼんやりコンビとは、もちろんエルシスとユリの二人のことである。


「まったく……校長先生も物好きざます!こーんなごくごくふつうの少年に学園内をうろつかせるなんて!」
「エルシスって、ごくごくふつう……?」
「むしろ真逆だろ」

 ユリの視線を受け、カミュが答えた。
 そうプリプリ怒っているのは、魔物のリップスである。
 ちゃんとマリアンヌ先生というこのメダ女の立派な教師だ。

「メダル女学園は世界一の名門女子校!未来のステキなレディに関わる紳士は、それなりの品格が必要なんざます!」

 魔物の生徒がいれば教師がいてもおかしくないのだろうか。

「校長先生が認めても生徒指導たるわたくしはあなたを認めたわけではないざますよ!くれぐれも生活態度には注意するざます!」

 分厚い唇から吐き出される厳しい言葉の数々に「はい、気をつけます……」とエルシスは素直に返事した。

「あら、アナタ……」
「アタシ?」
「紳士的な佇まい……品格ある仕草……アナタは合格よ!」
「うふっありがとう♪」

 マリアンヌ先生から合格をもらったシルビア。
 その次にカミュは「不合格!」ロウには「論外!」と言われた。

 なんでリップスに認められなきゃならんねえんだとぼやくカミュに、ロウは「わし、論外?元国王なのじゃが」と、ちょっぴりショックを受けていた。


 校舎の中は吹き抜けの構造で広々している。
 一階は教室や図書室、学食などがあり、二階には学生寮があるらしい。

「校長室って言われたけど、どこにあるんだろう?」
「中は広いですものね……」
「あ、あの子に聞いてみましょう!」

 ベロニカは目の前を走る少女に「ねえ!」と声をかけ引き留めた。

「わっ…わたし、ろうかを走ってませんよ!はやあるきをしてたんですよ!わたしのはやあるきは超高速なんですよ!」

 メダ女学園では廊下を走ってはだめらしい。

「……どっちでもいいけど、校長室はどこなのかしら?」
「校長室?ああそれなら、そこの中央にある部屋ですよ」

 そう指差すのは中央の水に囲まれた家のような建物だった。
「校舎の中に庭と家があるなんて素敵ですわね」
 セーニャの言葉通り、家の周りは花が植えられている。

 足を進めるエルシスを「ちょい待ち」とカミュが止めた。

「オレは外で待ってるぜ」
「そうね。ぞろぞろ行くのもあれだし、ねえ自由行動しない?」

 カミュの言葉に賛同したベロニカは、どうなら中を見て回りたいらしい。

「授業とか気になるのよ。セーニャ、行きましょ」
「はい、お姉さま」
「じゃあ、わしも……」
「私はロウさまのお目付き役ね」

 ベロニカとセーニャ。ロウにマルティナがついていく。

「じゃあ、ユリとシルビアは一緒についてきて。一人だと心細いからさ」
「でも、ユリちゃんは残った方がいいと思うわ」

 シルビアはちらりと廊下の方を見た。
 そこには女生徒たちがこっちをきゃきゃっと見ている。
 滅多に来ない男性客に、エルシス、カミュ、シルビア、それぞれタイプの違うイケメンたちに完全に色めき立っていた。

「……。そうだな、ユリはオレと一緒に待っててくれ」
「わかった」
「ユリちゃん、カミュちゃんを守ってあげてね」
「?わかった」
「お前、ぜってーわかってないだろ」

 じゃあ行ってくると、エルシスとシルビアが校長室に入るのを見届けてから「何から?」とユリはカミュに聞いた。
「やっぱわかんなくていい」と、カミュが踵を返したときだった――

「っカミュ!」
「っ…」

 ユリがカミュの背中に抱きついたのだ。
 廊下からは「きゃー!」と黄色い悲鳴が上がり、カミュは一瞬頭が真っ白になる。

 んな大胆な……!

 まさかのユリからの女生徒たちへの牽制かと、どぎまぎしたカミュだったが、違った。まったく違った。

「カミュ、そこにヨッチがいるの。踏んじゃう」

 ………………は、ヨッチ?

 どうやらカミュの足が寝ているヨッチを踏みそうになったという。オレには見えないし、触れられないんじゃないかと思ったカミュだが、見えるユリにとっては問題らしい。

「なんでヨッチがこんな所に寝てんだ」
「ヨッチは色んな所にいるよ?寝てるヨッチは初めて見たけど……」
「……そーかよ。ヨッチの勝手っつーわけかよ」
「あ、起きた」

 赤いヨッチはユリたちの気配に気づいたのか、ゆっくり起き上がる。

「むにゃ…むにゃ…むにゃっ?ううーん、まったく誰だよう。気持ちよくおひるねしてたのに……と思ったら勇者さまかあ!あれ、違う?」
「私は勇者の仲間だよ」
「ああー、ボクらが見えるっていう不思議なお嬢さんのユリ嬢ちゃんかあ。合言葉も見つかったし、ボクおひるねしてたんだよ。ふああ〜。じゃあ、これを教えてあげるから、勇者さまに伝えてね」

 赤いおひるねヨッチはユリに合言葉を教えた。
 そして、教えると彼らはどこかへ行ってしまう。

「あとでエルシスに教えないと。……あれカミュ、なんかふてくされてる?」
「べっつにー」

 珍しく、カミュは子供っぽいぶっきらぼうな口調でユリに返した。

 
「よくぞ参られましたな、旅の方。私の名前はメダル校長」

 ――一方、エルシスとシルビアはメダル校長ににこにこと出迎えられていた。

「そして、ここは王立メダル女学園。ステキなレディを目指す乙女の学校ですな」
「ステキなレディを目指す乙女の学校……アタシが女の子だったら入学したかったわ。でも、なんでメダルなの?」

 シルビアの質問に、よくぞ聞いてくれましとメダル校長は続きの話をする。

「我が校では授業の一環として、世界中のありとあらゆる場所に散らばるちいさなメダルを集めております。メダルを集めることで世界を知り、ステキなレディに必要不可欠なすぐれた知性と教養を身につけるのですな」
「ちいさなメダルを集めることが、そんなことに繋がるんだ……」

 エルシスはなんとなく集めていただけだったが。

「あなたをお招きしたのはほかでもない。私はあなたの澄んだひとみに見たのです!青空のように広がるメダル集めの才能を!」
「そうね。確かにエルシスちゃん、よくツボの中やタンスの中から見つけるものね」
「いや、ちょっとその言い方は……」

 エルシスの名誉のために言っておくと、決して他人の家は漁っていない。

「しかしっ!非常にまことにつらいことに!ここは女子限定の学校ですからな。入学を許可するワケにはいきませぬ」

 別に入学希望じゃないけど……。
 エルシスが何か言う前に、メダル校長が食い気味に話す。

「だが、しかしっ!!あなたほどの才能を枯らしてしまうのは非常にまことにとっても惜しいっ!」
「あの……ちょっと圧がすごいです」
「……そこでっ!!」

 エルシスの言葉にはまったく耳を貸さず、メダル校長はメダルスタンプ帳を取り出して見せた。

「今こそ、メダル校長の権力を行使し、類まれなる才能を持つあなたを我が校の客員生徒として、認めましょうぞ!」
「さっすがエルシスちゃん!すごいじゃな〜い!」
「えぇ……いいのかな」

 それって、俗に言う権力乱用じゃ。

「……さあ、それでは晴れて我が校の客員生徒となった証に、メダルスタンプ帳をお受け取りください!……ややっ!さすがは私の見込んだ男!もうソルティコの町のメダル出張所でメダルスタンプ帳をもらっておるのですな!」
「ちょうどソルティコの町に寄ったときに……」

 今、スタンプは21個貯まっている。
 25個でメダ女の制服がもらえるらしい。ベロニカが喜ぶだろうか。

「そのスタンプ帳は我が校の客員生徒となるにふさわしい人物かどうか、見きわめるため、冒険者の皆さまに配布している品でしてな」

 そんな意味合いがあったのかと、エルシスはスタンプ帳を見つめる。

「あなたは私が認めた文句なしの客員生徒!」

 こうして、エルシスはメダル女学園初の客員男子生徒になった。


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