シルビア号は数日かけて北上した。
すっかり辺りの空気は肌を突き刺すように冷たくなり、雪国が近づいて来ていることを教えてくれる。
エルシスの装備袋に仲間たちの防寒着がしまわれていたので、ユリは以前来ていた淡い色のマントでしっかり防寒する。
「ひいぃ!クラーゴンが現れたげす!」
直後、船首に吸盤のついた足が絡みつき、ぐらりと船が揺れた。
「またまた会ったわね!暴れん坊さん!」
「普段は深海にいる魔物だが、異変の影響で上がってきたのか」
「まったく、危険な海になったものだ」
「これじゃあ漁師もおちおち海に出られんわけじゃのう」
「以前は大砲があったから助かったけど……」
「この船、沈みませんよね!?」
海の超危険生物に、全員が武器を手に取る。
クラーゴンは初っぱなから甘い息を吐き出してきた。
「む!?皆!」
「眠気が……」
「ふぁ……」
「zzz……」
グレイグ以外、前衛のホメロス、ユリ、シルビアは眠りに落ちてしまう。
「起きてくださーい!」
慌ててカミュが「ザメハ」を唱え、彼らはすぐに目を覚ました。
「ありがと、カミュちゃん!」
「助かったよ、カミュ!」
「ようやったカミュ!わしの特大魔法で……!」
ロウが呪文を唱える前に「ザキ!」杖を向けてホメロスが唱えたのは死の呪文だ。クラーゴンの息の根を止める。
「あの魔物はザキがよく効くんです」
「さすがホメロス!」
呆気なくクラーゴンとの戦闘は終わったが、苦戦せずに済んでよかったと全員は肩の力を抜いた。
辺りに驚異がなくなり、船は海原を往く。
前回とはまた違う海流に乗ったからだろうか、新たな小島を発見した。
とりあえず、降りられそうなところは降りてみようと、一行は小島に上陸する。
シルビアはダーハルーネの北西の小島の砂浜で倒れていたので、もしかしたら、他の仲間たちも流れ着いている可能性があるからだ。
高い岩の山々が連なる、シスケビア雪原・南の島。
桟橋で釣りをするのは、人……ではなく、海の民だった。
ユリは生き残りの海の民だと思って慌てて駆け寄るが、どうやら違うらしい。
「この島にはよう、ウルウルコンブっつうノドの痛みに効く海草が生えてんだ。オイラぁ、そいつを採りにきたんでい」
そう話す海の民は、たまたまこの島にそのウルウルコンブを採りにきて難を逃れたようだ。
「人魚ってのは歌うのが商売だからよう。商売道具であるノドを大事にしてっから、ウルウルコンブは引っぱりだこの大人気でい」
ムウレア王国が魔物に襲われたことを話すかどうかユリは迷って、海には恐ろしい魔物が暴れているから入らない方がいい、とだけ注意歓呼した。
島の奥地に行くと、スターキメラやブラッドレディ、ヘルズクロウなど空を飛ぶ魔物が多く生息しているようだ。
好戦的な魔物たちは彼らの姿を目にすると、一斉に襲いかかってきた!
「か、囲まれましたっ……!」
「来るぞ!」
「ならば全体攻撃で一気に叩くぞ!」
「わしの奥義の出番じゃな!」
カミュ、グレイグ、ホメロス、ロウがそれぞれ叫びながら、魔物を迎え撃つ。
「ピンチはチャンスよ!ユリちゃん!れんけい技いくわよ!」
「れんけい技ね、わかった!」
……。あれ、シルビアとなにかれんけい技ってあったっけ……?
「アタシたちの頼もしいナカマたち!いざっ……召、喚!」
シルビアが縦笛を吹くと――……
「はっ!」
「っ!」
「がってん!」
"オネエさまとボスが、アタシたちの助けを必要としてるわ!!"
ゆかいなナカマを呼び寄せて、突進攻撃する連携技「ナカマよび」だ。
「みんな!ユリちゃんにつづけ〜!」
「かしこまり〜!」
「突撃ーー!」
自分でもわからないが、そんなノリノリな声がユリの口から飛び出していた。
ふん!ふん!ふん!ふん!
剣を前に突き刺すユリと、縦笛を吹くシルビアを先頭に、ナカマたちは魔物たちに突進!
魔物たちに怒濤のダメージを与える!
「……。あの、アレなんなんですか?」
「……私に聞くな」
「どういう理屈で呼び寄せているのかさっぱりわからん。召喚魔法の一種なのか……?」
「さすがじゃな!残党はわしらにまかせい!」
ユリとシルビアはともかく。くねくねと乙女な競歩で突進するナカマたちは、とてつもなくシュールで、その光景は破壊力があった。
そして、ナカマたちは気づくといつの間にか消えていた。
「やったわね!ユリちゃん!」
「う、うんっ!」
ユリにもなんだかわからなかったが、強力な連携技だということはわかった。
「呼び寄せて、一瞬で駆けつけてくれたナカマたち……そうか……これは愛!」
「ユリさま、大丈夫ですか?」
魔物たちを一蹴した一行は……
「すごいっ!島全体を見渡せるよ!」
「こりゃあいいわい!島を上から一望できるとはなんとも絶景じゃのう」
「アタシのシルビア号が上から見えるわ!」
キラキラ光るドラゴンライダーがいたので、ドラゴンに乗って島の探索を楽しんだ。
空を飛ばないと行けない場所に宝箱があり、ユリはわくわくして開ける。
中身は『メタルのカケラ』や『しんかのひせき』など、貴重な素材だ。
そして、一番の驚きは……
(銀色のっ……!ヨッチがいる……!!)
輝くメタルボディのヨッチが、ぽつんとそこにいた。
「ああっ、どうしようどうしよう!ようやく合言葉が見つかったのに、道に迷っちゃったよ!ここどこぉー!?」
こんな辺鄙な場所にもヨッチがいると思ったら、どうやら迷子になっていたようだ。
「……あれっ、あなたは勇者さまの代理のユリ嬢さま!?」
ユリのことは代理と、すでにヨッチたちの間に伝わっているらしい。
「こんにちは、ヨッチ」
「はあ、よかった。安心したよ。お礼にこれを教えてあげるね」
ユリは冒険の書の合言葉を教えてもらった!
「それじゃあ、ボクはこれで失礼するよ。ユリ嬢さま、勇者さまの代わりにこれからもがんばってね。ヨッチ村のこと、頼んだよー!」
そう言って、ヨッチはどこかへ行ってしまった。ユリはちゃんと帰られるか、ちょっと心配だった。
そして、ユリは今すぐエルシスに会いたくなった。今すぐ会って教えたい……!
銀色のヨッチがいたことを――!
絶対レアだ。レアヨッチだ。初めて見た色だもの。銀色のメタルスライムがレアなのだから、きっとあのヨッチもレアに違いない。
「うぅ、銀色ヨッチ……エルシスに見せてあげたい……!」
「銀色ヨッチ……?一人でなにもない所に話しかけていると思ったら、なにを言っているんだ、ユリは」
「ユリさまはきっと、先ほどのおかしなれんけい技のせいで相当なお疲れなのだ!」
「大変だ!ユリさん、早く船に戻って休みましょうっ!」
このとき、ロウとシルビア以外の三人は、本気でユリのことを心配したとか。
……――気温はさらに低下し、雪がちらつき始めると、白い視界にうっすらと目指す大陸が見えてきた。
「なによ、これ……」
不可解なその光景を目にし、彼らは全員、唖然としていた。大陸の海路を塞ぐように、黄金に輝く氷山が浮いている。
「前はこんなのなかったはずだわ。これじゃ、この先に行けないわね……」
「むう……まさか、氷山が黄金になるとは、いったい何があったというのじゃろうか……」
シルビアとロウが茫然としているなか、ユリも「一体……」と、見つめる。
「氷山が黄金になるなど聞いたことがないぞ……」
ホメロスも怪訝に呟き、同様に異質な光景を凝視していた。
「こまったのう。この先には魔王討伐の手がかりが眠る、聖地ラムダがあるというのに……」
ロウはどうしたものかと、髭を撫でる。
「……仕方あるまい。別の場所で仲間を探したほうがよいかもしれぬな。そうすれば、そのうちこの先へ行く方法も見つかるじゃろう」
ユリに向けて前向きに言ったロウに、彼女も同意して頷いた。アリスに進路を変更すると伝える。
「してどこへ行く?次の目的地のアテはあるか?」
誰にと言わずに尋ねたグレイグの問いに、アリスが「そういや……」と、なにかを思い出したように口を開く。
「ユリねえさん、こんな話知ってるでげす?バンデルフォン地方のネルセンの宿屋って所に泊まると、みんなが同じ夢を見るんだとか……」
「夢?」
ユリはアリスの話に不思議そうに聞き返して、他の四人も同じような顔をした。
「みんなが同じ夢見るじゃと……?そいつは気になるのう。ユリよ。そのネルセンの宿屋に行ってみんか?」
「そうですね……。私も気になります」
偶然、皆が同じ夢を見ることはありえるのだろうか?なにかが起こっているとユリも考えた。
「では、内海へと戻り、そちらに向かうとするか。ルーラが使えれば便利じゃったが、仕方あるまい。地道に旅路をゆくことにしよう。千里の道も一歩からと言うしのう」
「帰りは海流の関係で行きより早く戻れると思うでがす」
「途中のダーハルーネに寄れるわね!そこで買い出ししましょう」
――ダーハルーネか。皆に聞こえぬ声で、そう小さく呟いたのはホメロスだ。(あの店には久しく行っていないな……。いや、私という者が、こんな状況でなにを考えているのだ)
ホメロスは自分に叱咤し、首を横に振る。
「?」
グレイグはそんなホメロスを不思議そうに見ていた。
「アタシとアリスちゃんの世助け旅はダーハルーネから始まったのよ!」
「今となっては懐かしいでげすな〜」
目的地は決まり、シルビア号は大きく旋回して元きた海路を戻る。
「…………」
後ろ髪を引かれるように……遠ざかるクレイモラン大陸を、カミュはじっと見つめていた。
アリスの見解通り、行きよりも数日早く、一行を乗せた船は内海へと戻ってきた。
「外海の凶悪な魔物たちを見てきたから、内海の魔物が可愛いく見えるね」
「わかるわ!しびれくらげちゃん・強とはいえ、なんだかほっとするもの」
ユリとシルビアは船の上に現れた、ふよふよ浮くしびれくらげ・強を微笑ましく見ていたが……
「いたいっ、びりびりする!」
「いや〜ん!刺激的!」
しびれて動けない二人に「油断するからだ……」と、グレイグは呆れて言いながら、しびれくらげ・強を倒す。
しかも「キアリク」の呪文を唱えられるのはこの二人だけで、カミュはまんげつ草を二人に使ってあげた。
ソルティコを通りすぎ、シルビア号はダーハルーネへと向かう。
「……ねえ、アリスちゃん。この辺り、こんなに暗かったかしら?」
「いやいや、ねえさん!あっしらが訪れたさいはこんな不気味じゃ空じゃなかったげすよ!」
操縦しながら尋ねたシルビアに、アリスは慌てて答えた。
ダーハルーネー付近がある大陸の上には、夕闇が混じったような、嫌な雰囲気の雲が広がっている。
嵐のように雲が流れるのは早いが、決して上空に晴れ間が見えることはない。
昼間なのに、この地域一帯だけ真夜中のように暗かった。
「この世の終わりのような雰囲気ですね……」
「いったい……この地になにが起こっておるんじゃ」
「ダーハルーネの人たちは大丈夫なの……?」
「ホメロス、なにかわかるか?」
「……いや」
空を見上げる皆と同じように、眉間にシワを寄せたホメロスも驚愕した目で眺めていた。
ある程度、世界の異変には予想がついていたが、この事態はホメロスにもわからない。
不安を抱きながら、シルビア号をダーハルーネのドッグへ預け、一行は町へと足を踏み入れる。
人々は不安に晒され、町には暗い雰囲気が漂っているが、今すぐ身に迫る危険は訪れてないようだ。
「ここもあんなに賑やかだったのに……」
「この町もがらんとしてますね……」
ずいぶんと寂しくなった町を、ユリとカミュは眺める。
有数の貿易都市として有名な町だったはずだが、今は見る影もない。
「魔王の配下のおそろしい化け物に襲われて、いくつもの商船が海の底に沈められてな……。行方のわからない船員も数知れぬのだ」
町にいる警備の兵の話に、彼らはこの閑散とした状況も納得した。
「辛くも助かった者の話によれば……そいつは黒い山のように巨大で、激しい嵐とともに現れるそうだぞ」
外海ではジャコラに出会さなかったこともあり、どうやら内海を暴れまわっているようだ。
一行はひとまず、バンデルフォン地方への船旅に備えて、食料の買い出しに市場の方へ行く。
「北の王国、クレイモランの近海で、こがね色にかがやく氷山が現れた……というウワサを聞きました。大樹が落ちてから、各地で異変が起きていますし、クレイモラン王国の人々が心配ですよ」
という町人から話を耳にし、現状は閑散としているが、多少の人の行き来はあるようだ。
町を見渡しながら歩いていると、ふと……ホメロスの視線が別にあることに気づいた。
「どうしたの、ホメロス?」
「!」
ユリに声をかけられ驚いたホメロスは、眉を下げて答える。
「すみません、ユリさま。じつはダーハルーネに行きつけのお店がありまして……今も営業中だろうかと考えてました」
「ホメロスの行きつけのお店?どんなお店なの?」
「その……、ユリさま以外にはあまり知られたくなく……。よかったら、一緒に行きませんか?」
ユリはホメロスの誘いに、快く頷いた。
他の皆には知られたくないというホメロスの言葉に「ちょっと寄りたいところがあるから、先に行ってて」と、ユリは皆に言ってから、ホメロスの案内でその店へと向かう。
「…………」
「カミュちゃん、あの二人気になるんでしょ?」
「……別に……どこに行くのかを気になっただけです」
――ホメロスが扉を開けると、カランとベルが鳴る。
「いらっしゃいませ。……あ、ホメロス将軍!この間、将軍によく似た顔色の悪い男にスイーツを買い占められて、まいったよ。人間、そっくりな人が一人や二人いるっていうけど、本当だったんだねえ」
「…………」
ここはスイーツのお店だった。
ホメロスが紅茶を好きなのは知っていたが、甘いもの好きとはちょっと意外な気がすると、ユリは彼を見る。
「今日はずいぶんと可愛らしいお嬢さんを連れているね」
「詮索は不要。いつものを二人分、頼む」
「かしこまりました」
マスターは愛想のないホメロスにも気にせず、これからなにかを作るようだ。
ホメロスに促され、ユリは席につく。
店内には意外にも客で賑わっていた。その内のほとんどが女性客だ。
「ああ、おいしいですわ……。1日3食、ひたすらケーキづくし……というのが、私の子供の頃からの夢だったんですの。もうすぐ魔王が世界をほろぼすと聞きますし、太ったってかまいませんわ!最後の時まで、とことんケーキを味わうつもりですのよ」
……彼女たちのほとんどがそんな理由らしい。自分たちは魔王に世界を滅ぼされるのを阻止しようとしているので、ちょっと申し訳ない気分にユリはなった。
「ユリさま、どうぞ召し上がってください。私の好きな食べ物である、フルーツサンドです」
「フルーツサンド?甘いサンドイッチは初めて食べるよ」
白いパンに、クリームとフルーツが挟まれている。一口、食べてみると……「!」ユリは衝撃を受けた。
「お、おいしい……っ!生地がパンだから甘すぎず、クリームとフルーツにとても合う!」
ケーキを食べた衝撃も大きかったが、こんなスイーツもあるのかとユリは感動した。
「ユリさまのお口にあってよかったです。手軽に手で食べられるのもフルーツサンドの魅力のひとつです」
「ケーキだとひとつで満足しちゃうけど、いくらでもいけちゃうかも……」
危険なスイーツだと思いながらも、ユリはぺろりと平らげる。
おいしそうに食べるユリを眺めるホメロスの目は、滅多に見せない優しいものだった。
「ホメロス、おいしいスイーツを教えてくれてありがとう」
「私の方こそ……つき合ってくださり、ありがとうございました」
至福の一時だったとホメロスは思いながら、スイーツ店を後にする。ユリの手には自分たちだけではと、お土産のケーキを持っていた。
「ただいま!」
「どこに行ってたのだ?」
「ええと……」
「私とユリさまの秘密だ」
口ごもるユリの代わりにホメロスが答えた。グレイグは「なんじゃそりゃ」と、顔をしかめている。
「あ、みんなへお土産にスイーツを買ってきたの」
「あら〜嬉しいわ♪船に戻ったらみんなでゆっくり食べましょう!」
さあ、買い出しをさっさと済ませちゃうわよー!そう上機嫌に歩くシルビアだったが「あっ、そうだわ!」と、そこで足を止めた。
「前回の買い出しはユリちゃんにまかせちゃったから、今回はアタシたちにまかせて、ユリちゃんはカミュちゃんと一緒に町をゆっくりしてきたらどうかしら?」
唐突のシルビアの提案に、皆はぽかーんとした。「わしも前回はユリと一緒に買い出ししたんじゃが……」と、ロウが控えめに主張する。
「……?」
シルビアはロウ、グレイグ、ホメロスを集めて何やらヒソヒソと三人だけに話す。
「以前、来た際にね……ユリちゃんとカミュちゃんはここのゴンドラに乗った素敵な思い出があるのよ!」
じつは、シルビア。バッチリその光景を目撃していた。実際のあのときの二人は、シルビアが想像するような甘酸っぱいものではなかったが。
「ゴンドラだと……?」
「ゴンドラか……フッ、青春じゃないか」
「なんじゃ、カミュもなかなかやりおるのう!」
三者三様に言ったホメロス、グレイグ、ロウに、シルビアは続けて話す。
「ここでのんびり過ごせば、もしかしたカミュちゃんはその時の甘酸っぱい記憶を思い出すかもしれないでしょ?」
「そうは思わんが……」
「ホメロスちゃん、妬かないの!さっきユリちゃんと二人になってたけど、ユリちゃんはみんなのユリちゃんなんだからね」
「妬いてなどいない」
「ほっほ。そういうことならわしも協力しよう」
「カミュも毎日船内で真面目に働いているからな。たまには息抜きは必要だ」
……というわけで。
「こっちはアタシたちにまかせて、二人は息抜きしてきてちょーだい!あとで合流しましょ!」
「……!?」
シルビアに強引にケーキの入った袋を奪われ、ユリは背中を押されて、カミュと二人っきりにさせられた。
「皆さん、どうしたんでしょうか……」
「さあ……?」
首を傾げたユリだったが、はっと、その理由がわかった。
(そうか……。ここはカミュが一度来た町。自由に見た方が記憶を取り戻す手がかりを掴めるかもってことね。わかったわ――)
シルビア!
ユリがたどり着いた答えは、シルビアの考える意図とはちょっと違った。
「カミュ。せっかくだから町を見て回ろう!見たいお店とか、行きたい場所とかある?」
「ええと、ユリさんにおまかせします」
「じゃあ、適当に町を歩いてみましょう」
こうして、シルビア命名の「デート大作戦」は決行された。