「グロッタ新名物、モンスターカジノですが、お陰さまで大変ご好評いただいてます。あなたたちもカジノに行きたければ、こちらの階段から2階に上がってください。健闘をお祈りします……いろいろとね、フフフ」
――ライオネックは2階に向かう一行に妖しく笑いかけた。「CASINO」と派手な電飾で飾られた看板が一際目を引く。
「あ〜ん、いらっしゃ〜い。めくるめく夢とロマンの楽園、グロッタカジノへようこそ〜♪この階段を上がっていけば、超ハッピーでゴキゲンな遊戯があなたを待ってるわよ、あは〜ん」
猫撫で声のブラッドレディに見送られ、2階へ上がると――そこはきらびやかな世界だった。
「これがカジノ……」
大人の愛と狂喜と欲望が渦巻く場所……ではないそうだが、ユリはカジノに来たのは始めてだ。
以前は酒場や物売りなどがいた場所だったが、その面影はない。
「おや、人間のお客さまですか。ロトゼタシアの不夜城モンスターカジノへ、ようこそいらっしゃいました」
驚く彼らを出迎えたのはライオネックとは色違いの魔物、シャドーサタンだ。
「こちら、2階のカジノフロアではお客さまに気兼ねなく楽しんでいただくために、コインを無料で差しあげております。心ゆくまでお楽しみいただいた後は、3階のスペシャルルーレットステージへどうぞ。ここよりさらにエキサイトできる場所ですよ」
その説明を聞きながらフロアを見渡すと、魔物たちがマシンの前で一喜一憂しながら楽しんでいる。
「ただし……ここで得たコインはくれぐれも持ちかえろうなど思わぬよう……。ここで遊び尽くしてくださいね、クックック」
最後に怪しい笑みを浮かべるライオネックに気になりながらも、とりあえず一行はカジノを見て回ることにした。
「ここは、スペシャルルーレットステージの観客席へ続く入り口でございますニャ。でも、関係者以外立ち入り禁止だから、ここは通れないでございますニャ」
三階への階段を塞いでいるとらおとこは言った。語尾の「ニャ」が可愛いとユリはちょっぴり思う。
「すっかりグロッタの町がカジノに変えられてしまったのう」
「しかし、楽しんでいるのは皆、魔物だけですね」
ロウに続いたホメロスは、それに違和感を覚えていた。町の前で出会ったあの男たちのように、人間たちが何人かこの場にいてもおかしくないが……。皆、魔物と知って逃げてしまうのだろうか。
「みんな、このマシンで遊んでいるんだね」
「ユリちゃんはカジノは初めて?気晴らしに遊ぶくらいなら大丈夫だけど、のめり込んだらだめよ。カジノはね、上手に遊ぶところなの」
シルビアの説明に、カジノはギャンブルでもあると、新たにユリの知識につけ加えられた。
「ここを治めるブギーさまはチャラチャラと遊んでばかりでなあ。どうにも品がないのが玉にキズなんだよ。どうせだったら、六軍王の花形であるホメロスさまの軍に入りたかったぜ……。あ、今のはブギーさまにはナイショな!」
そうユリに話しかけたどろにんぎょうは、ホメロスの姿を目にした途端、飛び上がる。
「そ、そのお姿はホメロスさまー!?わわ、わたくしをあなたの軍に入れてください!一生懸命働きますっ!」
「…………」
「魔物のホメロスちゃんは六軍王の花形なのね」
「部下に慕われているところは、魔物のホメロスも変わらないのだな……」
ホメロスはどろにんぎょうを適当にあしらうと、マントについているフードを被った。そして、誰も話しかけるなオーラを出している。
「このスロット、コイン入れたのに動かねえじゃねえかちくしょー!ぶっ壊すぞバカヤロー!ヒック!」
酔っぱらい特有の怒声が響き、ユリがそちらに目を向けると、怒っているのはスロットで遊ぼうとしているエビルホークらしい。
続いてスロットマシンがしゃべりだし、ユリは驚く。
「うたた寝から目を覚ましたら、この人が私をスロットマシンとカン違いして打とうとしてるんです……。なんか酔っぱらってキレてるし……。こわくて動くに動けませんよ……」
なんとスロットマシンではなく、そっくりな魔物だった。酔っ払っているエビルホークに声は届かないらしく、一行は不憫に思いながらも通り過ぎた。
「いらっしゃ〜い、人間のお姉さんっ!魔物だらけのカジノだって、こわがらないで思う存分楽しんでってちょうだい、あは〜ん。……この語尾のあは〜んってのはね。ブギーさまにそう言えって命じられてるの。なんだかセクシーでしょ、あは〜ん」
あは〜んがセクシーなのかは、ユリにはちょっとわからない。酒場コーナーにも魔物しかおらず、カウンターではどろにんぎょうが深酒をしている。
「ヒック……オレ、もうダメだぁ〜。あの子のこと考えると、ムネがバクバクして死にそうなんだぁ〜」
どうやら、恋の悩みらしい。どろにんぎょうはベロンベロンに酔っている。
「ちょっと前に、このカジノフロアにブギーさまのこといろいろ聞いてきたマルティナって女がいただろ?あの子だよぉ」
マルティナ……!どろにんぎょうの口から出てきたその名前に、皆ははっと顔を見合わせた。そのまま会話を立ち聞きする。
「すっげえ美人で上品な雰囲気でさぁ。オレなんか相手してもらえないよなぁ〜。……ちょっとママ、聞いてるぅ〜!?」
「ああんもう!じれったいわねぇ〜。男だったらいくらムリめな高嶺の花でも、ドーンとぶつかっていく根性みせなさい!」
どろにんぎょうがママと呼んだのは、カウンターの中で酒を出すアンクルホーンだ。
「あの人間のコなら、ブギーさまに会いにスペシャルルーレットステージに向かったわ。アンタ、早く行ってアタックしてきなさい!それでダメだったら、その時はアタシの豊満なボディーに抱かれてお泣き!全身全霊でなぐさめて、あ・げ・る!」
最後の方のツッコミはさておき……
「ユリ、そのスペシャルルーレットステージに向かうぞ。確か3階だったな」
グレイグは息巻いて、とらおとこが封鎖していた階段とは別の階段へ向かう。
「あーん……なんだお前はっキー!ここから先には、VIPな客しか行けないスペシャルルーレットステージがあるっキー」
今度はタホドラキーが階段前を塞いでいた。
「俺たちはそこに行きたい。どうしたら通してもらえる?」
「本来ならお前みたいにみすぼらしいヤツは、絶っ対に通してあげにいっキーが……」
みずぼらしい……!魔物から言われたとはいえ、グレイグはショックを受ける。デルカダールの鎧を脱ぎ、今着ているのはその田舎から出てきたような旅人服だからだろうな……と、ホメロスは思う。
「ラブリーエキスを持ってきたらVIPな客として認めてやるっキー!さあ、オイラの頼みを聞いてくれるっキー?」
「……わかった。そのラブリーエキスとやらを俺たちが用意しよう」
グレイグの口から「ラブリー」という単語が出てきて、ちょっと面白いとユリは思ってしまった。
「おっ、なかなか話のわかるヤツっキーね!じゃあ、ラブリーエキスを1個持ってきたらココを通すっキー!男同士の約束だっキー!」
「ああ、騎士に二言はない!」
「ラブリーエキスはこのカジノフロアの景品交換所で、コインと交換できるんだっキー!わかったらとっとと持ってくるっキーよ!」
――こうして。
一行はラブリーエキスを手に入れるため、各自カジノでコインを稼ぐことになった。
「そういえば……コインカウンターでコインがもらえると言ってませんでしたか?」
カミュの言葉に、彼らはコインカウンターに行ってみる。本来、コインはゴールドで購入するのだが……。
「あらん、いらっしゃい。こちらはコインカウンターよ」
受け付けのブラッドレディはにこやかに一行を迎えた。
「うちのカジノは、特別に恵まれないお客さまのためにコインをサービスしてあげることになってるの。見たところ、お姉さんたちもずいぶんふところがさみしいようね。さあ、このコインを受け取って」
ユリたちはそれぞれカジノコインを2000枚もらった!
「もしも、コインがなくなったらまた来てね。まあ、そんなことはないと思うけど……それじゃグッドラック!あは〜ん」
次に彼らはコイン何枚でラブリーエキスと交換できるのか、交換所へ確認しに行く。
「コインを貯めたらこちらへどうぞ。このカウンターで景品と交換できるわよん。おススメは魔物に大人気の妖艶ドリンク、ラブリーエキスよん。ぜひ、交換していってねん。あは〜ん」
「10000枚だと……?なんだこのふざけたレートは」
交換リストに書かれたラブリーエキスのコインの交換枚数を見て、ホメロスは顔をしかめた。
ラブリーエキス 10000枚
???? 25000枚
?????? 50000枚
????? 100000枚
??????? 500000枚
???????? 1000000枚
何故かラブリーエキス以外、景品名が伏せられている。並ぶ桁数に、カジノが初めてのユリでも、ここのレートはものすごく高いのだとわかった。
「他の景品は交換してからのお楽しみよん♡」
「まずはラブリーエキスだ。各々コインを稼ごう。ちなみにカジノが得意な者はいるか?」
グレイグは皆に問かけたが、誰も答えずその場はしーんとしている。
「ポーカーのようなカードゲームなら得意だが、スロットとなるとな……」
「うむ……台の調子もあるし、運の要素も絡んでくるからのう」
ホメロスの言葉に同調するように、ロウも言った。
「とりあえず、皆で10000枚を目標にコインを増やすぞ。幸いにもコインが減ったらまたもらえるようだしな」
気合いの入っているグレイグの言葉に、ユリも大きく頷いた。初めてカジノというものを体験するので、ちょっとわくわくもしている。
一行は互いの健闘を祈り、一旦バラバラになった。
(ロウさまは台の調子もあるって言ってたっけ……)
「ふふふ、次は何して遊ぼうかなー。ロトゼタシアは楽しいことがいっぱいで、目移りしちゃうよ」
どのスロットマシンにしようか選ぶユリの耳に、そんなわくわくした声が届いた。(ん?)
下の方に視線をずらすと、そこにはピカピカに光る金色のヨッチがいた。
「……わわっ、ユリ嬢さま、いつからそこに!?この合言葉を教えてあげるから、今の話、長老にナイショにしてー!」
ユリは金色ヨッチから冒険の書の合言葉を教えてもらった!
「……ユリさま、また変なものが見えたのですか?」
「変なものじゃないよ!ヨッチだよ!」
「ヨッチ……?」
ユリの付き人のように同行するホメロスは首を傾げた。
「1コイン、10コイン、100コインのスロットがありますね」
ホメロスはスロットマシンの遊び方をユリに手解きする。
まずは1コインから始めてみることにした。
コインを投入し、回っている5つのスロットを、ユリは無心でボタンを押して止める。
「おおっ、ユリさま、素晴らしい!トリプル7…………」
ジャックポット!?
真ん中のラインがすべて7の数字で止まり、マシンから壮大なファンファーレが鳴り響いた。
「「………………」」
下の受け口から、じゃらじゃらとコインが溢れ出てきた。
「……これ、壊れてないかな?」
「これがビキナーズラックというものか?いや、ユリさまの運の値が高いから……?」
ユリの問いに、ホメロスはぶつぶつと思案する。初心者のユリでも、いきなり大当りを当てておかしいと思う。
試しにホメロスも他の台で試してみたが、引くほど当たりが続いた。
「これは……なにか思惑を感じますね」
「うん、勝たせるようにできてるみたい」
この調子だと、すぐにコインは集まりそうだ。
あまりに勝ちすぎると面白くないのだと知ったユリだったが……
(スラりん、かわいいっ!)
マジスロにハマった。
マジックスロット――略してマジスロ。からくりと魔法で動く不思議なスロットで、スライムたちの様々な演出を楽しめる、見ていて楽しいスロットだ。
(みんな、がんばって……!)
ボーナスステージからのボスを倒すイベントだ。仲間になったモンスターが戦うのを、ユリはハラハラしながら見守る。
(ああ、スラりんもやられちゃった……)
なんと、スラりんが生き返った!
ゾーンに入って、スカイドラゴンを倒した!
「すごいっスラりん!」
思わず声を上げて喜んだ。そして、マシンが派手に光るとスーパーボーナスステージへ入る。
しもふりチャレンジという、お肉を投げていくだけで、どんどんコインをゲットしていく。
――気づくと。
ユリの持ちコインは、あっという間に2000枚から357748枚になっていた。
「逆にこんなに当たってこわいですね。なにか狙いがあるんでしょうか?」
合流したカミュが言った。その手には同じく大量にコインが入った袋を持っている。
他の仲間は近くに見当たらず、三人は交換所へ向かうことした。
「ヒューヒュー!いいぞー!」
「あのあんちゃんイカすぜ!」
「あのじいさん、キレッキレだな」
その途中、酒場のステージがやけに盛り上がっているのに気づく。
「あれ、シルビアさんじゃないですか?」
カミュの言葉にステージを見ると、びっくりサタンやハッスルじじいと共に、楽しそうに踊っているシルビアの姿があった。
「そーれ、ハッスルハッスル!」
「魔物ちゃんたち、やるじゃない!さあ、もっと盛り上げていくわよ!それそれ〜!」
「ふおおーこのステージで踊っていると、どんどんテンションが高まってくる!」
ステージからは、楽しく踊るのに人間も魔物も関係ないというのがわかる。
「最高にハイな気分になれるんだ!ボクはようやく見つけたぞ!本当の自分を開放できる場所を……!みんな見てくれ!ボクの魂のダンスをっ!」
そんな一段とテンションの高いびっくりサタンは、熱いキレッキレのダンスを披露した。
「スロットで大勝ちするし、飲み物はおいしいし、モンスターカジノってさいこーーー!」
テーブル席もステージに負けず劣らず盛り上がっていて、ユリたちの視線は今度はそちらへ向く。
「あ〜もぉいい気分だから、いちばんお高いラブリーエキス持ってきて!今日は夜通し飲むわよぉ、オーホホホ!」
「はい、ラブリーエキス入りましたー!ではでは、こちらの姫にグロッタ恒例ラブリーコールいきますよー!ラブラブ、ラブリー、かわいい姫のラブリー度数は最高潮!サイコーサイコーサイコーチョー!」
………………。
ユリとカミュはぽかんとその光景を眺め、ホメロスに至っては眉間にシワを寄せ、軽蔑したような目をしていた。
「あら、三人とも交換所に行くの?アタシも一緒に行くわ!じゃあね、魔物ちゃんたち!いいセッションだったわ!」
シルビアはぴょんっとステージから降りて、彼らに投げキッスする。すっかり魔物ダンサーズと打ち解けたようだ。
「三人もがっぽり稼いだのね?アタシもよ。びっくりしたわよねえ」
シルビアも加わり、四人となって交換所へ向かう。
この階は真ん中を壁に、輪のような造りになっているので、反対側から回った方が早いと足を進めるが……
「このヤローがいきなりオレに絡んできてよ。ぶっとばしてやろうと思ったんだが、バカみたいにタフで全然倒れやしねえ!」
アンクルホーン二体が激しい殴り合いの喧嘩をしていた。互角の勝負に、まるで鏡を見ているようである。
「そういえば、前にもこんくらいタフなヤツと拳を交えたことがあったような気が……。くそーっ、とにかくムカつく野郎だぜ!」
「あっはっはっは!戦うのって気持ちいいぜー!」
「これじゃあ通れないわね。遠回りだけど、元来た道を戻って行きましょう」
シルビアは肩を竦めて言って、四人は踵を返す。
交換所が見えてくると、すでにそこにはグレイグとロウの姿があり、なにやらグレイグは憤怒していた。
「コインが余ったから他の景品と交換してみたところ……50000枚はひのきのぼうで、100000枚はうまのふんだったのだ!」
「返品は受けつけませ〜ん。あは〜ん」
グレイグは右手にひのきのぼうを握り、左手はうまのふんをのせている。これはひどい……。
「ちなみに25000枚はやくそうで、500000枚はステテコパンツじゃったわい。まあ、替えのパンツがちょうど欲しかったからわしはよいが……」
「さすがブギーが経営するカジノだ。惨たらしい」
ここまできたら1000000枚の景品もなにか知りたいと、ユリは皆のコインと合わせて交換した。
「は〜い、まほうのせいすいよん♪」
「……。ぼったくりがすぎますね」
カミュが静かに言った。この中では一番役に立つアイテムだが、明らかにレートがおかしい。
ユリは残りのコインはすべて、ラブリーエキスに交換することにした。魔物にあげるのは1個で十分だが、レシピの材料にもなるようだからだ。
「なんか……すごい色してるね」
受け取った小瓶の中身は、妖しげなピンク色の液体が入っている。魔物に大人気の妖艶ドリンクで、酒のようなものらしい。
飲んではいけませんよ、と念のためホメロスはユリに言った。そもそも人間には強烈なニオイで、飲みたいと思えないとか。
確かに、瓶ごしにも独特なニオイが香ってくる。
「では、あの魔物に持っていこう」
ラブリーエキスを持ったグレイグを先頭に、一行はタホドラキーの元へ向かった。
「キキッ、もしやそのニオイは……っ!お前、ラブリーエキスを持ってるっキーね!?早くオイラによこすっキー!」
グレイグは魔物にラブリーエキスを手渡した!
「ふおぉぉ、うおおおぉぉぉ〜〜〜!!夢にまで見たラブリーエキスゥ……!」
タホドラキーは恍惚とした表情を浮かべている。
「ああ、この濃厚で甘ずっぱいニオイ……。まるで、甘くてほろ苦い恋のメモリー!今宵はキミをいただっキー!」
人間には強烈なニオイでも、魔物にもうっとりするニオイらしい。戦闘中に使っても効果があるかもしれない。
「……よし、お前は立派なVIP客だっキー!この先のスペシャルルーレットステージで、ビッグチャンスをつかんでくるっキー!」
タホドラキーに通され、一行は3階に続く階段を上がる。以前は仮面武闘会の闘技場だったが、そこも面影は残っていない。
「あら、人間のお客さまなんてめずらしい。心ゆくまでルーレットを楽しんでくといいわ。さあ、こっちに来て……」
鼻歌交じりのブラッドレディに案内されたのは、ステージの上だった。
「ねえさぁん、出番よぉ!今日もやっちゃってちょうだい!」
ねえさん……?不思議に思いながら待つ彼らの耳に、コツコツとヒールが床を蹴る音が近づいてくる。
「ウフフ……次はどんな子たちがアタシのエジキになりたいのかしら……?」
「そ、そんな、まさかっ……!」
グレイグの驚愕する目が、その姿に釘付けになった。
彼だけじゃない、ユリ、ホメロス、シルビア、ロウ――。
記憶にないカミュだけが、魔物を見るような目で、"彼女"を見る。
「ひ、姫さまっ!?」
グレイグの喉から、上擦った声が飛び出た。
一行の前に現れたのは、黒いバニースーツに身を包み、口元に妖艶な笑みを浮かべるマルティナだった。