「ボンジュ〜ル、旅の青年!はっは〜ん、ダンディな私にわかるぞ!キミにはおしゃれのセンスがあるな!」
よくわからないが、さっそく貴族風の男に声をかけられたエルシス。
薄々気づいていたが、どうも自分は人から気軽に声をかけられやすいタイプのようだ。
「そんなキミにこのレシピをあげよう」
エルシスは貴族風の男から唐突に『おしゃれガール特集』をもらった。
パラパラと捲ってみると、ユリ、ベロニカ、セーニャにぴったりのエプロンをイメージした装備のようだ。
白い階段を降りて、町の大通りに入ると。
下は海に繋がり、右手側はホテルや、武器防具屋、噂のカジノがあるという。
町の中は花壇が置かれており、潮風に負けず、色とりどりの花が美しく咲き誇っていた。
まさに、花と潮風のかおるソルティコの町。
「さあ、エルシスよ。観光したい気持ちもわかるが、それはまた次の機会までおあずけじゃ。水門を管理しているジエーゴ殿は反対の――この町でいちばん大きな屋敷にいるぞ。では、行くとするかの」
「あ、待ってロウおじいちゃん」
栄えている方面とは反対の方に歩くロウを、エルシスは引き留めた。
「その前に手紙を渡さなきゃいけないんだ」
「手紙とな?」
エルシスはダーハルーネで、ディアナから預かった手紙のことを話す。
「ディアナさんがパティシエをやめて、ラハディオさん所で働いていたのも、その手紙をセイドンさんに渡すため……」
ユリが話をまとめるように呟いた。
彼女と知り合った最初のきっかけは、兄のアポロからの手紙である。
「ディアナさんが夢のパティシエを辞めた理由……ちょっと気になるわね」
「そうですわね。それに、そんな大切な手紙。早くセイドンさまに届けて差し上げたいですわ」
「うむ。事情はようわかった。では、先にそのセイドン殿を探して、手紙を渡すことにしようかの」
「ありがとう、ロウおじいちゃん!」
「なーに、孫が人助けをしておるのじゃ。手を貸さないわけにはいかんわい」
一行は先にセイドンを探すことになった。
「確か、ディアナさんはセイドンさんのことを初老の紳士と言ってたわね」
「じゃあそんな人を見つければいいのね!」
マルティナの言葉に辺りを見渡しながら言うベロニカ。
「この町で初老の紳士ならセレブな者かも知れんのぅ。だとしたら、奥の高級ホテルが並ぶエリアを探すと良いかもしれん」
「高級ホテル……」
ロウの言葉をエルシスは繰り返す。
ホテルも宿屋も寝泊まりする施設には変わりがないそうだが、どう違うのだろうと考える彼だったが。
――訪れてから、何もかも違うとわかった。
「外装も内装も綺麗だ……」
「以前、泊まったファーリス王子が用意してくれた高級宿屋みたい……」
「サマディー城の客間にも近いな……」
エルシスの中で、高級な寝泊まり場所はホテルと差すのだと認識した。
そんなセレブな一角で、セイドンを探すなか、ある噂話がエルシスの耳に届く。
「なんでもグロッタの町の武闘大会では、前回チャンピオンと新人の冒険者のペアが優勝を果たしたそうだな」
「前回チャンピオンと組んでいたとはいえ、いきなり新人なのに優勝してしまうなんておそろしく強いヤツだったんだろうなあ」
こんな所にも仮面武闘大会の話題は届いているらしく、エルシスは驚いた。
「ねえ、あの人……初老の紳士って感じじゃない?」
不意にベロニカが指を差す。
ホテルのバルコニーには、確かにそのイメージの男性の姿が。
エルシスは、ダンディなその紳士に声をかけてみる。
「え、セイドン?いえ、違います。それより、旅の方。私の相談を聞いてもらえませんか?」
人違いだったようだが、逆に相談を持ちかけられた。
聞くだけなら…とエルシスは耳を傾ける。
「トホホ……まいりました。そろそろ仕事で帰らないといけないのに、妻がまた無茶なわがままを……」
妻というのは、同じバルコニーにいるぷんすか怒っている貴婦人のことらしい。
「いつも仕事で忙しかったので、迷惑をかけている妻のため、ひさしぶりに休みをとってリゾートに来たんですが……帰る直前になって、ソルティアナ海岸にいるシーゴーレムから手に入る『ももいろサンゴ』がどうしても欲しいと突然言い出しましてね」
「私だって家のことで苦労してるのに、夫ったら、仕事仕事ばかり言って、家も私のこともほったからしなんです」
こちらに顔を向け、反論してきた妻の貴婦人。
「だから今ぐらいはわがまま言います!ももいろサンゴを手に入れてきてもらいますわ!でないと私の気が済みません!」
……妻の言い分も分かるが、どっちが正しいのかと言われれば、どっちもどっちではないかとエルシスは考える。
「ただいつも迷惑かけている分、妻のためにできることはしようと思うんですが、シーゴーレムは強い魔物なんです……。私、ウデのほうはからっきしダメですので、お手数おかけしますが、ももいろサンゴを手に入れてきてもらえませんか?」
クエストの依頼であった。
これは自分たちが受けないと二人の仲は悪化しそうな気がして、エルシスは引き受けることにした。
「おお、本当ですか!ありがとうございます!シーゴーレムは目立つ色をした魔物でして、ソルティアナ海岸の浜辺にいるはずです!どうか、シーゴーレムを倒し、ももいろサンゴを手に入れてきてください!妻に気分良く帰ってもらうために……!」
――何故、他人の妻が気分良く帰る為に、自分たちが厄介ごとをしなくてはならないのか。
答えは、それがクエストだからである。
自分だったら絶対に引き受けないであろう内容だったが、このお人好しのエルシスが引き受けたからには仕方ない。
そして、それは今に始まったことではなく、カミュは文句はため息として吐き出した。
「…エルシス。オレがやつから盗みにいってくるから、お前は人探しを続行してろよ」
「そうか、カミュなら!」
「でも、一人じゃ大変じゃない?私も行くよ」
ユリの言葉に「いや」とカミュは口を開く。
「シルビアのおっさんを連れてく。どうせ暇してんだろ」
カミュの返事に「なら安心だね」とユリは納得した。
「そういえば、シルビア……花を摘みに行くって行ったきり、全然戻って来ないな」
「じゃあ、そっちはカミュにまかせて、あたしたちは人探しを続けましょう」
――カミュが皆と別れ。ソルティコの町を出て花畑に行くと、シルビアの後ろ姿を見つけた。
「おい、シルビア」
「……なぁんだ、カミュちゃんね。てっきり呼びに来るならユリちゃんだと思ってたわ」
「…オレで悪かったなぁ」
「冗談よ。迎えに来てくれてありがとう」
振り返ったシルビアは、いつもの笑顔を浮かべて。
「迎えに来たんじゃねえ。――クエストだ」
「クエスト?」
「エルシスがほいほい引き受けるんだよ。おっさん、暇してんだろうから付き合ってくれ」
カミュはシルビアに事の成り行きを話した。
ダーハルーネではディアナから手紙を預り、今さっき新たなクエストを引き受けたのだと。
「優しいエルシスちゃんらしいわね」
くすりと笑うシルビア。
二人の足はソルティアナ海岸へと向かう。
「よく言えばな。悪く言えばお人好し。オレだったらぜってー引き受けねえぜ」
「でも、優しいのはカミュちゃんもよね」
「………はあ?」
「てっきりエルシスちゃんとユリちゃんにだけかと思ったけど」
「…………」
カミュがどういう事か聞く前に、シルビアは腰の剣を引き抜き、襲いかかってきたおばけパラソルに斬りかかった。
「アタシのこと、何も聞かないところよ。――本当はわかってるんでしょ?」
「…何のことか、わかんねえしっ。……興味もねえよ」
カミュも短剣でもう一体を切りつける。
最後にシルビアがバギを唱えて、二体のおばけパラソルは倒れた。
「……そういうところね」
剣を鞘に納め、シルビアはぽつりと言う。
「カミュちゃんはまず、人より自分に優しくすることよ」
優しさにも色々あるが、カミュの優しさは自己犠牲からのものが強いようにシルビアは感じていた。
自分が傷ついても構わないという、まるで、自分に罰を与えるような――。
「……たく。変なこと言ってねえで、さっさと済ませるぞ」
「……フフ、そうね。シーゴーレムだったかしら?」
きっとその心の奥に触れるのは自分じゃなくて、どちらか――。(……いいえ。きっとあの子ね)
「――目的のももいろサンゴは手に入ったな」
「じゃあカミュちゃん、アタシはまたお花摘みに行ってくるから後はよろしくねん」
「へいへい……好きなだけ摘んでこい」
カミュはシルビアと別れて、再びソルティコの町へ戻る――……
「う〜ん、ダメだ……。味のすべてを決めるのは香辛料なのに、黒コショウがなければ話にならない……」
一方、エルシスたちは、とあるレストランで悩ましげなシェフに出会っていた。
「はあ……こまりました。うちのホテルの名物料理には黒コショウが欠かせないのですが……」
眼鏡をかけたインテリなシェフ。
ここは、王立メダル女学園が運営するリゾートホテルの中にある人気レストランである。
メダル女学園とは、麗しき淑女のみが入学できる学校だ。
このホテルは元々その女学園の合宿場所だが、一般客にも解放しているらしい。
そして、メダルと付いてる通り、あの小さなメダルを集めているのがここの校長だという。
先程、エルシスもメダル交換出張所でスタンプカードを作ってもらった。
さっそく集めたメダルの数だけ景品と交換してもらって、ホクホクである。
「あの、どうかされたんですか?」
エルシスはインテリシェフに声をかけた。
「…ああ、旅の方ですか。じつは、いつも仕入れをおこなっているダーハルーネの町からここ最近、黒コショウが届かなくなったのです」
「黒コショウ……」
「どうも、ダーハルーネの商人の話ですと、その町の近海にカンダタ団という海賊が現れ、それで商船が襲われているのだとか……」
そこまで聞いて、エルシスだけでなく、仲間たちもあっと思い出す。
自分たちが少し前にたまたま上陸した無人島は海賊のアジトだったらしく、ちょうど居合わせたカンダタ海賊団を倒したのだ。
その際の勝利品がまさしくその黒コショウ。
「あの、もしかしてこれですか?僕たち、たまたまその海賊を倒して……」
「な…なんと、これぞまさしく黒コショウ!」
エルシスはインテリシェフに黒コショウを渡す。
「ありがとうございます、旅のお方!これで名物料理を作ることができます!お客さまに満足して頂ける名物料理の復活で、ホテルの売り上げも上がることでょう!」
喜ぶインテリシェフに、エルシスは本来の行き先に届けられて良かったと笑顔を浮かべた。
「何かお礼をせねばなりませんね。……そうだ。では、この黒コショウを少しお分けしましょう」
「えっいいんですか!?」
「ええ、当ホテルからの心ばかりのお礼です」
エルシスはどんな味が気になってたので、喜んで素直に受け取った。
「さて、さっそくこの黒コショウを……料理に使おうか……な。ヘッ……ヘッ、ヘッ……」
――ヘックション!!
「……し、しまった!こぼれてしまった!ああ!なんてもったいないことを!」
「(ああ、本当にもったいない…!)」
……どうやら、黒コショウは鼻を擽るものらしい。
エルシスは同じ間違いをしないように、袋をぎゅっと縛った。
「エルシス。待ってた人に届けられて良かったね」
「うんっ。それに黒コショウも手に入れてラッキーだ」
「高級香辛料はどんな味がしますのでしょうか?楽しみですわね」
「カミュに頼もう!カミュならきっと上手に使ってくれるはず」
……――くしゅん!!
「……なんだ、エルシスのやつでもウワサしてんのか?」
黒コショウを嗅いでもないのに、くしゃみをしたカミュであった。
――なかなか見つからないセイドンに、気分転換と海辺へやって来ていた一行。
「うーん、潮の香りがする、ここはいい所ですね。私もこの旅が終わったら、こういうステキな場所に家でも建てて、毎日この香りにつつまれていたいですわ」
「そうね。ここらへんのずはらしいとこはなんといっても海があるところよ。あたし、気に入っちゃった」
山育ちのセーニャもベロニカも、すっかり海の魅力にはまったようだ。
「海のことは本でしか見たことなかったの。その本には大きな井戸みたいなモノって書いてあったけど……大ウソだったわ。いったい誰があんな本書いたのよ」
「逆に大きな井戸が想像できないかも」
ベロニカの言葉に、ユリは笑って言う。
その直後、何やらその場にしゃがむセーニャ。
「皆さま、この青い貝殻とっても綺麗ですわ!」
「それはソルティアナシェルね。お守りにもされる美しい貝殻よ」
マルティナの言葉に、あたしたちの分も探しましょう!とベロニカ筆頭に、彼女たちはきゃっきゃっと貝殻探しを始める。
楽しそうだなとエルシスはその光景を微笑ましく見ていると……
「……若人よ。バニーちゃんは好きかね?」
唐突にそう老人に声をかけられた。(バニーちゃん……?)
「ワシはバニーちゃんが大好きじゃ。誰にも負けないくらい大好きじゃ!」
バニーちゃんとは、グロッタの町にいたうさみみをつけた女性や、ビビアンみたいな女の人だろうかとエルシスは考える。
「その言葉、聞き捨てならんのぅ……。わしだって誰にも負けないぐらいバニーちゃんが好きじゃ!ピチピチバニーちゃんが大好きじゃ!!」
「…………………」
ロウの反応から、自分が思うバニーじゃないんじゃないかとエルシスは冷静に思い始めた。
その間もバチバチと火花を散らす、二人の老人。
「ふ…ワシのバニーちゃん好きは伊達ではない。若き日にこの世のものとは思えないほどすばらしいバニーちゃんに出会って以来、バニーちゃんを見続けてきた」
「この世のものとは思えぬバニーちゃんじゃと……?」
「残念ながら老いさらばえた今にいたるまで、あのときと匹敵するほどのバニーちゃんには出会えんかったがな……」
「おぬし!どんなバニーちゃんか詳しく話すのじゃ……!」
「じゃが、ワシはついに希望を見つけた!おぬしの仲間にいるべっぴんさん……そう!武闘家のおねーさんじゃ!」
…………………。
ロウと噛み合ってるのかないのかの会話の後に、老人は向こうで貝殻を探すマルティナを凝視しながら言った。
「若人よ頼む!武闘家のおねーさんがバニーちゃんになるところをワシに見せてくれんか!?」
「えぇ……そ、それは……彼女の意思もあるし……」
「その頼み、わしらが引き受けよう!」
「ロウおじいちゃん!?」
勝手に答えるロウに、エルシスは驚く。
「フフフ……さすが同士よ。よく見ればよいカオをしておる。そのカオはバニーちゃんが好きで好きでたまらない男のカオじゃ」
「ご老体……姫に目を付けるとは良い慧眼をお持ちじゃ。おぬしも真のバニーちゃん好きよのぅ」
先程のバチバチから一転、どうやら二人の間に友情が芽生えたようだ。
エルシスは引いている。
「よいか!バニーちゃんに必要な物は3つ!うさみみバンドとバニースーツ。そして、あみタイツじゃ」
「そんなのどれも持ってないし!」
「大丈夫じゃエルシス!この日のために、バニーガールーのレシピブックをわしは持っておる!」
「なんで持ってるの!?」
「バニーちゃんとなった彼女がその晴れ姿を見せてくれるのを、ワシはここで待っておるぞ――」
さあ、さっそくふしぎな鍛冶台で作るのじゃ!と、エルシスの背中をロウは押す。
「ちょっ……ちょっと待ってよ、ロウおじいちゃん!」
「エルシス、これも人助け――立派なクエストじゃ」
人助け……なのか?
「それに、マルティナ本人にもまだ確認も取ってないのに」
「大丈夫じゃ、おぬしの頼みなら姫は快く引き受けるじゃろう」
「えぇ……」
困惑しながら、とりあえずマルティナの元へエルシスは向かった。
彼は正直に事情を話す。
ロウが勝手に『ああ、思い出のバニーちゃん』のクエストを引き受けた……と。
「もう……、ロウさまったら……」
顔を片手で覆い、呆れるマルティナ。
「ロウさま……」
「まーったく、呆れるわ!」
同じような反応を見せるのはセーニャとベロニカだ。ユリはバニーガールとはどんな服装だろうと考えていた。(私が以前着たのは着ぐるみだし……。あ、ビビアンさんみたいな格好?)
「やっぱり勝手に決められたら嫌だよな……。僕、断って……」
「……いいわ。バニーガールの格好をすれば良いんでしょう?」
「マルティナさん、いいの?」
驚くベロニカに、マルティナは笑顔で頷く。
「一度引き受けたクエストを断るのも何ですし……。それに昔、旅の資金を稼ぐため踊り子をやってたことがあるの」
色っぽい服装は慣れてるわ、と続けて彼女はそれこそ色っぽかった。
「マルティナさんの踊る姿、素敵だろうね」
「フフ、ありがとう」
ユリの素直な言葉に綺麗に笑うマルティナ。じゃあ……と、エルシスは彼女に頼むことにした。
「おおっ!あのべっぴんさんをコーディネートしてきたのじゃな。では、さっそく拝見しよう!どれどれ……」
マルティナのバニーガール姿は、エルシスが想像するより、ずっとセクシーなものだった。
しかし、着こなしていることもあり、黒のバニーガールはかっこよさも感じる。
「うぷぷ……!こ…これはたまらん!なんと、すばらしい!なんと美しい!我が青春のメモリアル、そのまま……いや!」
マルティナの姿をじっくり眺めながら、老人は興奮のまま叫ぶ。
「すらりとのびている背すじ!重感あふれる胸!引きしまったウエスト!ハリのあるおしり!そして、美しい曲線を描く長い脚!むふふ……すべてがバニースーツと調和し、まるで見る者をひれ伏させるような圧倒的な高貴さと美を体現しておる!」
「そうじゃろうそうじゃろう!さすが姫じゃのう」
「「……………………」」
誇らしげに続くロウ。二人の老人を見るエルシスとマルティナの、凍える息のような冷ややかな視線に本人たちはまったく気づかない。
「ワシの目にくるいはなかった。彼女はまさしくバニーの中のバニー!いわばバニーちゃんの申し子じゃ!」
「…………ふぅ」
マルティナは深いため息をつくと、この場から立ち去ってしまった……。
「ふぉぉ……美人は怒ったカオもたまらんのう。若人よ、いいものを見せてくれた礼として、これをもらっておくれ」
エルシスはガーターベルトを受け取った……。(……これ、どうしよう)
普段の服装に着替え終わったマルティナに「ごめん」エルシスは謝ると「エルシスのせいじゃないわ」そうマルティナは答えた。
「クエストも達成したことじゃし、張り切って人探しの再開じゃ!」
「元凶はロウさまだから」
「…………うん」
それは間違いない――急に生き生きするロウの背中を、二人は見つめて歩いた。