会議
「ゴメン、飼うのムリだった!」
次の日、教室で鶏を手に佐々原はそう言った。まじか、まじでか。まさかの展開。佐々原なら大丈夫だって思ってたのに。念を送るようにじーっと佐々原を見ていると、苦笑いしながら目を逸らされた。
「オレんち猫飼っててさあ」
「ああ、それは危ないですね」
「いや、こいつのせいで猫がタンスからおりてこなくなっちゃって」
「待て、普通逆だろ」
猫が鶏から逃げるとか聞いたことない。逆だろどう考えても。
ハルは後ろで担任にまた鶏がどうのこうのと言われている。しつこいな、まあ先生の宿命なんだろうけども。ていうか、ハルなんかはどうでもいい。
余談だが、実は昨日、あれからハルとは話していない。顔を合わせたく無くて、オレは早退してから鍵を閉めて部屋に籠っていた。最初は鍵を意地でも抉じ開けようとしていたハルだったが、壊したら弁償させるし仲良くもしない、と言ったら途中で諦めてくれた。マジちょろい。心配になるくらいにはちょろすぎる。そして今日、朝起きて1人で準備していたら、勘の良すぎるみっちゃんに、お前ら喧嘩でもしたの?と言われてしまった。まあ喧嘩、ではないだろうけども。
ぼーっとそんなことを考えていると、佐々原が学校で飼えないのかと言った。
「だってオレ、小学も中学も鶏小屋ってあったぜー」
「……んなもんあったか?」
「あったよあった。亜希は学校来てても特定の場所にしか居なかったし、知らないだろうけど」
「あー、それか、そのせいか」
「確かにうちの中学もありましたよ」
夏目の学校にもあった、ということは普通なら小中にはあるもんなのか。へー、と返して視線を動かす。皆考えてることは同じだったらしく、可哀想なことに視線は担任に集中した。
「と言うわけで、先生かけあってみてよ」
「えー!? イヤよ、あんたらあのオヤジーズがどんだけやな奴か知らないから……っ」
「つべこべ言わず行ってこいよ、担任だろ、生徒のわがままくらい聞けって」
そう言い背中を押して教室から追い出す。こうでもしないと行かねぇだろうからな。担任なんか関係ないじゃないっ、とキーキー言いながら、彼女は渋々廊下を歩いていった。
担任を追い出し、それからどうする? ああすればいいんじゃ、いや、こうした方がいいんじゃないか、と話し合いをしつつ数分が経った。
教室の扉がガラッと開き、担任が現れる。とても不思議そうな顔をしているが。
「……通った……」
担任がぽつりと一言。それを聞いて大喜びする佐々原と夏目。担任はなんで通ったのか分かっていないような、そんな顔をし続けていたのである。とりあえず落ち着けって。
そしてあれから暫く経ち時は放課後。場所は図書室。俺等図書室好きすぎかよ。鶏を学校で飼うためにどうするか。鶏小屋が必要じゃね? なんて会議を繰り広げていたりする最中である。
「えーではまあそんな所で、あとは鶏小屋をどうするかという問題ですが、水谷雫さんちゃんと参加してください」
「水谷、また勉強か?」
「鶏小屋ってどうやって作るんだ?」
「あ、それはわたし調べます」
「オレんち近くにホームセンターあるぜー」
とりあえず鶏小屋についての諸々を調べる役はTheネット人間の夏目、そして買ってくる役はまぁ、佐々原なんだろう、と思っていたのだが。
材料買ってくる? と提案した佐々原の言葉に、夏目はバン! と机を叩いた。
「みっ、みんなで行きましょう、今度の休みに、みんなで!!」
「お、おー」
「え、うんいーけど」
そんなこんなで夏目の勢いに負けつつ、材料調達はみんなで行くことに決定。ハルはまぁ、相変わらずクラスメイトと休日を過ごすことに感動中だ。放っておくことにする。
とりあえず、その日は佐々原が部活らしいので、佐々原を待って、部活後に買いにいくということに決定した。その他に集合場所や時間について話し合う。そんな中、溜め息を吐きながらぼーっとする水谷が。
まぁ、奴の頭の中はハルのことでいっぱいだろうしな。予想でしかないけども、多分この間の放課後、屋上でのこと。あー……、なんだかなぁ。そんな水谷を見て、もやもやっつーか、イライラしてしまうのは、しょうがねーことだろうな、とこっそり諦めた。
15.会議
【
*前】【
次#】