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あの某ハンバーガーショップでの事件から数日後。ハルと一緒にバッティングセンターのとあるボックスの傍でしゃがみこんで、日向ぼっこ紛いなことをしている。まあ、あいつらがいるっていうのもある。ハルが気付いているかはまだしも。眠くなってきてうつらうつらとしていると、俺らのいるボックス内に誰かが入ってきた。くっつきそうなリア充である瞼を無理矢理話しながら見上げた。ざまあみろリア充瞼め。見上げた先にはまさかの水谷が居た。水谷はまさかまさかの俺達に気付いていないらしく、時折何かをぶつぶつと呟いていた。正直もんのすごく怖い。なに言ってるのか気になる。そーっと近付こうとしたその時、奴の声がした。俺の大好き諭吉様を持っていった4人組の一部の声が聞こえてきた。



「ったく。つまんねーよなハルの奴。最近全然金出さねーの。亜希もだけど」

「ハハハ、じゃあもう意味なくね?」

「せっかくいいお財布見つけたと思ったのになー」

「このやろう……!」



俺らが潜んでいるのにも気付かずに好き勝手言っている奴等に腹が立ち、一発殴ってやろうと腰をあげると、ハルに腕を引っ張られ止められた。勢いでハルの肩に顔面ダイブしてすげえ鼻先が痛い。思わず睨もうと顔を上げると、そこには今まで一緒に過ごしてきた中で何度も見たことのある、悲しそうな顔があった。こいつは、ほんと、なんでこんなさ……。
俺まで悲しくなってきて、ゆっくりとハルの隣に座り直し頭を撫でてやった。その瞬間、カキン、と音がする。
水谷はやっとボールをバットに当てたらしく、満足気にした後、たまたまだろうけど、こちらを振り返った。その表情が、いつから居たんだと言っているので、マジで今まで気付いてなかったんだろう。無視かと思ったけどマジで気づいてなかったのかよ。しかもたまたま目があっただけだ。
水谷は挨拶もリアクションもなんもなしにボックスから出ていく。なんだよ、シカトかよ、気づいてないフリかよ。ちぇっと舌打ちしたとき、この間ハルと亜希が連れてた女! と言う言葉が耳に入ってきた。騒いでいるのはちびだ。何となく水谷の様子が気になり、物陰から覗いてみると奴等の前に震えながら立っているアイツが見えた。ほんと、なにしてんだ。



「バカじゃねーの……」



俺は思わずそう呟いて今日も諭吉が犠牲になるのか……と渋々財布を引っ掴んで、ハルを置いてボックスから出た。ちょうどその時。水谷が震えた声を出した。



「よ、吉田くん達は、」

「は?」

「兄はよく分からない人だけど、弟は、確実にあなたたちのことを友達だと思ってるから、だから、も、もし、あなたたちもそう思ってるんだったら、彼らと、もっと誠実に、付き合ってあげてください」



その場が面白いくらい静まり返った。水谷が、まさか、そんなことを、言うなんて。俺も唖然としてしまう。
俺は少しの間、フリーズしてしまっていた。だがしかし、チビの手が水谷に伸びていることに気付き、俺は我に返って、急いでそれを掴む。



「触んな」

「亜希!?」



驚いたかのように呼ばれた名前をスルーして、俺は引っ付かんできていた財布から諭吉様や樋口様、野口様まで札という札を全部引き抜き、あいつらに向かってばらまいた。大した額ではないが。



「おら、拾えよ」

「……は?」

「拾わねぇのか? 今までぼんぼんのお前らが欲しくてしょうがなくて俺等にたかってたものなんだけどよ、それ。そこにあんの、全部やるよ。だから拾えよ、何なら財布もやろうか? なんなの? あんたらぼんぼんの癖に貧乏なの?」

「おま、なに言って……」

「拾えって言ってんだろ、がっ!」



俺は掴んでいたチビの手を思い切り振り払った。その勢いに負けてチビは床にこんにちはと挨拶するかのように倒れる。奴の手はばらまいた諭吉様達に伸びた。



「因みに言っておくが、俺はあんたらなんか友達じゃねえと思ってる。ハルが関わってるから関わってっけど、本当は同じ空気すら吸いたくねぇ。この、クズ」

「テメ……ッ!」

「そこの金、やるよ。足らねえならまあ、財布で我慢してくれ。その代わりそれを拾ったら俺等の前からすぐ消えろ。もう関わんな。それでも足りなくてしょうがなくてまだハルを傷付けるっつーんなら、容赦しね、」



言い切る前に起き上がっていたチビから拳が飛んできた。すっげー簡単な挑発に乗りやがって。
俺の背後に水谷を隠して庇うが、避けるつもりはなかった。だって、あいつが、ハルが後ろに居るから。ハルなら出てくるはずだ。
思った通り出てきたハルは、チビの拳を俺の顔すれすれで、腕を掴んで止めた。
すると、チビは気まずそうにハルの名を呼んだ。ハルはそんなチビを片腕でぐいっと持ち上げる。



「……おまえら、今日は帰れ」



そうハルが告げ、じたばたしていたチビを降ろすと奴等は渋々と言った感じだが、出ていった。まさかまさかの俺の財布も金も全部置いていったから、また現れるのかもしれない。金を貰いに。そうだったら、次は容赦しねえ。さっきも言ったからな。遮られたけどよ。







2.お友達? END










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