名前はわからない。どこにいるのかもわからない。
でも匂いは覚えてる。嗅ぎ分けるの。あの人の匂いを………っ!!
「っ!いた!」
ひよりは家々の屋根を飛び越え、匂いをたどっていく。
「……っ驚いた。」
「お願いします!雪音くんを…。夜トを助けてください!」
息を切らせながらそれだけを言ったひよりの姿に一大事なことだと察し、豊受大神は「どこ。」と短く返事をした。
―――――――――――
―――――――
名前を……。
あいつの名前を呼んでやらねぇと……、消え、ちまう…。
「夜ト!!」
聞き馴染んだ声。懐かしい声。
「おま…、なん、で…っ。」
「主なんだから、しっかりしなさい。
助けてあげるから。 虹歌(ニジカ)。」
「はい、姫様。」
名を呼ばれた神器は大黒と兆麻の間に入り、両手を翳した。
「「「?!!」」」
すれば抑え込むチカラが少し緩くなった。
「境界の強度を強くさせていただきました。あとは、彼次第…ではありますが。」
「雪音君!!そっちに行っちゃダメ!妖になんかならないで。」
境界の壁を強く叩いたのは半妖のひよりだった。
「雪音君には夜トがいるじゃない!夜ト、言ってたよ。
雪音君はオレが鍛えるって!!あの言葉……まるでお父さんみたいだった!」
雪音の目に光が差し始める。
「そんな人、まだ裏切るんなら…もう友達じゃないからね!!」
―― カハッ
「雪音ぇ!!お前には人の名を授けた。 だから……っ!」
人として生きろ!!
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