近くのスーパーに行けばいつも買っている牛乳がいつも通りに売っていて、いつも通り4本買う。
この生活になってから明らかに買う量が増えた。あと絶対買うことはないって思ってた業務用の物も最近では当たり前になってきている。
「よかったら、持ちますよ。」
「え?」
スーパーを出て家路につこうと思った瞬間、茶髪の男性に声をかけられた。
私が返事に困っていると、男性はにこっと笑って袋を持って「家どこ?」って。
「いえっ!さすがに悪いです!」
「でもこれなかなか重いと思うよ?」
「大丈夫です!これくらいは慣れました!」
「んー。でも俺が持ちたいから持たせて?」
男性は「こっち?あっち?」ともううちまで来る気満々だ。
ここまできたらなんか断るのも失礼な気がしてきたし、セリフはチャラいけど誠実そうな人だし家の中には入れられないけど一期一会だ。
「じゃあ……、こっちです。」
「牛乳、好きなんですか?」
「え?」
すっと隣に並んで歩く男性。
「だって4本も買うって珍しくないですか?」
「あ、家族が…っ!兄弟が大好きなんです。
あと料理にも使うので。」
嘘じゃない嘘じゃない。家族…かどうかは怪しいけど、でも兄弟だ!(私とではないけど。)
「へぇ〜。うちも家族が多いからなんだか共感するな。」
「多いんですか?」
「うん。ざっと10人はいるかなー。」
「それは…、すごいですね…!」
「でも賑やかで楽しいよ。」
「あ!わかります!」
男性はさわやかな笑顔を絶やさずに初めて会ったのに緊張することなく会話も絶えなかった。
まだ中学生くらいの弟がいるとか、今はイタリアに住んでいて久々の日本だとか。
イタリアに住んでるって聞いた時はすごくびっくりしたけど、だからこんなに紳士なのかと納得もした。
「ありがとうございました。」
「いえいえ。またどこかで会えるといいね。」
「そうですね。では。お気をつけて。」
「ありがとう、じゃあね!」
今は怖い人がいっぱいいるけど、やっぱ優しい人もいるんだなーと実感した。
さて!カレーに牛乳入れて夕飯にするぞ!!!
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