「………っ……っ…。」


ポタポタとおじいちゃんの手紙を濡らしていく涙。
愛することを教えてくれた。そしてそのたくさんの愛を注ぎ込んでくれた。
私が間違った道に進まないように、たくさん叱ってくれた。
私が悲しくならないように、たくさんの思い出をくれた。
私が楽しく過ごせるようにってたくさん祈ってくれた。
私が学校で浮かないようにってお弁当のレシピ本まで買って作ってくれたのは本当にびっくりした。
しかも中学で一番最初に作ってくれたのはキャラ弁。
一緒にたくさん笑った。
たくさん、私に愛をくれた。
男らしくて、見た目はちょっぴり怖いけど笑うとえくぼが出来るのが印象的なおじいちゃん。




「……ボスは、仕事中も菜緒さんのことをいつも気にしていました。
”しっかり授業を聞いているだろうか”とか”無事に学校に行けただろうか”って。」


チョロ松さんがゆっくり優しい声で教えてくれた。


「ボスは菜緒さんと出会って変わりました。」


「……変わった…?」


「はい。昔は問題があれば殺せ、それがたとえ身内でも。
そう言われ続けて我々暗殺部隊が身内を殺害することも珍しくありませんでした。
ですが、ある日変わったんです。人は殺すものじゃない、守るものだって。」


「おじいちゃんが……、そんなことを…。」


「当時、うちのファミリーは最強とまで言われたマフィアでしたのでボスの考え方に気に食わない者はクーデターを起こしたりしましたがそんなことで考えが変わるボスではないので。
気づいたんでしょうね、命の尊さに。」



それが、私のおかげというのならそれはとても嬉しいことだ。
誰かの人生を動かすことは簡単なことではないから。




「私を拾ってくれたのがおじいちゃんでよかったです…。」


「ボスもきっと菜緒さんを保護してよかったと思っていますよ。」











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