初めての授業
ラヴィニアは、いつもと違う見慣れない景色、ベッドの感触に包まれながら目覚めた。
「う……ん、ああそうだ。私、ホグワーツに来たんだった」
いつもと違う理由がわかったラヴィニアは、ベッドから下り、部屋に備え付けてある洗面所で顔を洗い、制服へと着替えた。制服のローブの中、ネクタイが寮のシンボルである赤と金の色に変わっていた。因みに、ハッフルパフはカナリアイエローと黒、レイブンクローは青と銅、スリザリンは緑と銀である。
時計を見ると、6時半をまわっていた。他のルームメイトは皆まだ夢の中だった。それも仕方がない。12時をまわった以降もおしゃべりをしていた上に、慣れない汽車に半日も座っていたら疲れも相当なものであろう。朝ごはんの時間まで少し余裕があるだろう、とラヴィニアは部屋で教科書を読み始めた。少し読んでおけば、授業も有意義なものになるだろうと思ってのことだった。
20分ほど経った頃、アリシアが起きてきた。
「……おはよう、ラヴィニア。随分早いね。アンジェリーナとマルティナはまだ寝てるのに」
眠そうな声だった。
「おはよう、アリシア。いつもと環境が違うから、目が覚めてしまったの。もう少し寝てたかったけどね」
「ああ、その気持ちわかるわ。だってすごくない?このベッド。天蓋つきなのよ」
ホグワーツの寮全てのベッドは、天蓋つきだった。それに、ベッドの四方をカーテンで遮断できるためプライベートも守られるのであった。
「ほんとにね。私の部屋もこうなるといいけど無理ね」
ラヴィニアは残念そうに笑った。
二人で話していると、アンジェリーナも目を覚ました。
「ふあー……。もう朝なの、早くない?」
「おはよう、アンジェリーナ」
アリシアは髪を整えながら言った。
「……おはよう、アリシアにラヴィニア」
「おはよう。これで寝てるのはマルティナだけね」
ラヴィニアは、読んでいた教科書に栞を挟んで閉じた。マルティナはまだ起きる気配がなかった。時計は7時をまわろうとしていた。
「起こした方が良いよね?」
「そうだね」
アンジェリーナは顔を洗いに洗面所へと行っていた。ラヴィニアはマルティナを起こすため、彼女のベッドに近づいた。
「マルティナ、そろそろ起きて。朝ごはん食べに行こう」
「うう、まだ起きたくないわ、ママ……」
部屋にいたアリシアとラヴィニアは思わず吹き出して笑った。
「マルティナ、そこに居るのはラヴィニアよ?いい加減起きてちょうだい」
アリシアが遠くから教えた。
「ラヴィニア?どういうこと……ああ!」
マルティナはのそのそと体を起こし、周りを確認しようとして、ようやく気付いた。
「嫌だわ、私がこんな恥態を……!」
アンジェリーナも戻ってきており、マルティナ以外の三人は揃って笑っていた。マルティナは布団へと入り、みのむしのようになっていたが、すぐに出てきて制服へと着替えた。
「ラヴィニア、あなたが起きたらすぐに私も起こしなさい!ああ、こんなことになるなんて誰が思ったことか」
案の定マルティナは憤慨した。
「ふふ、マルティナったら、気持ち良さそうに寝てるから。私なんかいつもと布団の触り心地や枕が違うからよく寝られなかったの 」
「そう……。それなら仕方ないわ。でも!明日からは起こしてよね。ヘアーセットができやしないわ」
「オーケー。忘れないようにするよ」
アリシアとアンジェリーナはその様子を後ろで歩きながら微笑ましそうに見ていた。