初めての授業
その日は、新入生たちにとって初めての魔法の授業だった。
妖精の呪文、薬草学、魔法史、闇の魔術に対する防衛術、魔法薬学、変身術。
他にも天体観測もあるがこれだけ沢山の分野があるということをラヴィニアたちは知った。ただ杖を振るだけでは魔法は成り立たないのだとわかった。
ラヴィニアは、なかでも魔法薬学と変身術に興味津々だった。
魔法薬学の授業を展開する先生はセブルス・スネイプという人だった。鉤鼻に黒い髪、真っ黒なローブは全身をすっぽり覆っていた。肌は土気色で一言で表すなら全身を真っ黒な色に包まれた人だった。そこまで真っ黒にする必要があるのかとラヴィニアたちは思ったに違いない。
魔法薬学の授業はスリザリンと合同だった。やはり仲が悪いのか、見事にグリフィンドールの赤、スリザリンの緑で分かれていた。スネイプ先生は、まず点呼をとった。何故か最初のラヴィニアのとこで止まっていたが。
それぞれ二人組をつくり、薬を調合し始めた。最初の授業はおできを治す薬の作り方だった。一歩間違えば危険な薬のため、皆それぞれ注意していた。が、ウィーズリーの双子はふざけて遊んでいた為に、グリフィンドールは二点減点された。その後はスリザリンに加点をしていた。
「ねえラヴィニア、あなたスネイプ先生にずっと見られてない?」
「うん、私なにかしたのかな?」
何故か、ラヴィニアはスネイプ先生からじっとりと見つめられていた。ラヴィニアは、何かしただろうかとビクビクしていたが、薬を調合し終えたので、ビンにいれて先生の元へと提出した。先生はふむ、とそれを観察した。
「宜しい。今までで一番の薬に匹敵する出来だ。グリフィンドールに一点」
教室のあちこちからええ!?と声が聞こえた。何故皆驚くのか。スネイプ先生は、スリザリンを贔屓(ひいき)にし、他寮は減点してばかりの人だったからだ。先程もグリフィンドールから減点し、スリザリンに点を与えていたことからわかるだろう。それがグリフィンドールに一点入れたのだ。ラヴィニアはとりあえず、ありがとうございますと先生に礼をした。
授業が終わると、アリシアやアンジェリーナに話しかけられた。
「ラヴィニア、どういうこと!?あの先生が加点するなんて明日雨か雪かが降るよ!」
「「ホントだぜ、俺らの兄貴も点を入れられたことなんか無いよ」」
フレッド、ジョージも同じ事を言ってきた。
「ほんと何があったのかさっぱりよ。ね、ラヴィニア」
「……そうだね。あの先生、ずっと私の方見てたし」
皆は余計に訳がわからなくなった。次の授業が始まりそうだったので、とりあえず井戸端会議は終わった。
お昼になり、大半が大広間で昼食をとっていた。そのときも、ラヴィニアは未だにスネイプ先生のことが頭から離れなかった。マルティナはその頃には新たな授業内容で頭がいっぱいで、忘れかけていた。そこへ、ビルがやってきた。
「やあラヴィニア、元気かい?」
「こんにちは、ビル」
そこでラヴィニアは、ホグワーツに一番長く居る7年生のビルに、魔法薬学の件について聞いてみた。すると、やはりこのようなことは今までにないらしい。
「君のことが気に入ったか、何か先生にしかわからない特別な事情じゃないかな?それにしてもあの人がね……」
ビルはスープを飲みながら答えた。ラヴィニアはますます迷宮入りしてるように思えなかった。
「深く考える必要はないよ。あの先生は謎なところが多いからね。考えてたら他のことが疎かになってしまうよ」
「そうだね。ビル、ありがとう」
ラヴィニアは、初対面では赤面するほど緊張する相手であったビルに慣れてきたのか、普通に接することができるようになった。彼は便りになるお兄さんだなと思い、兄弟の沢山居るウィーズリー家が少し羨ましくなった。
すると、ラヴィニアは自分にも兄弟は居たのだろうか?と、ふと考えた。そして自分の家族のことを調べなくてはという概念に襲われた。週末にでも、過去の記録を探ろうとラヴィニアは思った。
「ちょっと、ラヴィニア。あなたスープ溢すわよ!」
マルティナが声をかけ、注意したことによって現実の世界へとラヴィニアは戻った。気付けばスープは溢れる寸前であった。
「うわ!……あぶないあぶない」
「ときたま抜けてるのね、あなたって。まだ1日しか着てないのに、スープを溢しそうになるなんて」
はあ、とマルティナはため息をついた。
「ごめんごめん、次からは注意するよ」
と、ラヴィニアは苦笑いをした。次の授業の時間が迫っているため、ラヴィニアは急いでスープを飲み干した。次の授業はマクゴナガル先生が担当する変身術。遅刻しないようにと、大広間を早足で後にした。