彼の組分け

ホグワーツへと着き、新入生たちがやってくるのを大広間で待っていた。

ウィーズリー家は六男のロナルド・ウィーズリーが入学するらしい。兄のビルは2年前、チャーリーは今年の6月に卒業して、ビルはエジプトに、チャーリーはルーマニアに行きそれぞれ就職したようだ。

「フレッドにジョージ、久しぶりね!」

「ラヴィニア久しぶり!」
「元気にしてた?」

相変わらずどちらがどちらなのか、わからない。元気なのも、変わらないようだ。

「俺たち、とうとう会ったんだ!」
「誰だかわかるかい?」

ニマニマとしているが、ラヴィニアは答えをわかっていた。マルティナがさっき話してくれた彼である。ラヴィニアが、答えようとしたとき、ダンブルドアが静粛にするように言い、すぐに大広間の扉が開いた。

新入生たちの入場だ。

彼らは、あちこちを見渡してそわそわと落ち着きがないようだった。ラヴィニアは、自分の入学したときを思い出し、懐かしく思っていた。帽子は、また組分けの前の恒例の歌を歌った。ラヴィニアたちとそんなに変わらない歌だった。そして、とうとう組分けが始まった。

「アボット、ハンナ!」

「ハッフルパフ!」

「ボーンズ、スーザン!」

「ハッフルパフ!」

「ブート、テリー!」

「レイブンクロー!」

次から次へと新入生は組分けされていく。グリフィンドールになったのはそれから二人目の「ブラウン、ラベンダー」だった。暫く似たような光景が続いた。

「ポッター、ハリー!」

「ポッターって、そう言った?」

「あのハリー・ポッターなの?」

広間中の人が、首を伸ばして見ようとした。出てきた少年は、マダム・マルキンの洋装店で見た、黒髪で眼鏡の小さな少年だった。

マルティナがこそっと、「ねえ、ダイアゴン横丁で見た子じゃない?」と、聞いてきたので、ラヴィニアは首を縦に振ってうなずいた。

彼の組分けは他より長く時間がかかって見えた。まだか、と思ったとき。

「グリフィンドール!!」

帽子は高らかに叫んだ。

割れるような歓声が広間に響いた。監督生となったパーシーは、ふらふらとグリフィンドールの席へとやって来たハリーと握手していた。フレッド、ジョージの双子は、「ポッターをとった!ポッターをとった!」と喜んでいた。

組分けは、その後も順調に続いた。ウィーズリーの六男の番がやって来た。彼は青ざめた顔をしていた。

「ウィーズリー、ロナルド!」

「グリフィンドール!」

皆は拍手して彼を迎えた。パーシーは「ロン、よくやった。えらいぞ」と声をかけていた。最後に残った「ザビニ、ブレーズ」はスリザリンに決まった。

全てが終わると、ダンブルドア校長が挨拶を始めた。

「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言三言、言わせていただきたい。では、いきまさぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

ダンブルドア校長が席に着き、大広間にいるほぼ全員が拍手した。新入生は笑っていいのか気まずそうにしていた。

そして、食事がテーブルの上に出現した。

「ホグワーツの食事、久しぶりに食べるわね。ラヴィニア、サラダとれる?」

「ちょっと待って。はい、サラダ。マルティナ、あそこの肉料理いいかな?」

二人はお互いにとれる範囲の料理を取り合っていた。

1年生が座っている方では、グリフィンドール寮に住むゴーストのニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿が「ほとんど首なしニック」のわけを聞かせ(この場合見せて)いた。

「いつ見ても、あの人のあれはグロテスクよね」

マルティナが嫌そうにしながら肉料理を頬張っていた。いつもの上品な食べ方はどうしたのかとラヴィニアがたずねたら、今は機嫌が宜しくない、と返された。

「ほら、あのプラチナブロンズ坊やのせいよ。マダム・マルキンの店であったあの子」

ラヴィニアは、ドラコ・マルフォイだと気付いた。何があったのかとたずねると。

「あの子とは小さい頃にあってね。親が開いてたパーティーよ。純血の家系だけが集まるパーティーを年に何回か開いてて、まだ私が8歳ぐらいだったかしら。あの子に挨拶されてね」

この頃には、デザートにテーブルの上は切り替わっていた。出てきたアイスクリームをラヴィニアは食べ始めた。

「それで?」

「そのときは、私あの子が可愛らしい子だと私思ったのよ。ほら、私が可愛くて綺麗で美しいものが好きだと前から言ってるでしょ?」

ラヴィニアは、嫌な予感がした。これ以上は聞かない方が良いのではないかと第六勘が告げていた気がした。

「小さい頃って、男女の差が分かりにくいでしょ?だから、私一目見たときに女の子だと思ったのよ」

「……マルティナ。まさ……か」

「『可愛い子ね!』って私彼に言ったの。それで、私は彼の頬に思い切りキスをしたのよ」

ラヴィニアは、思っていたことと違ったのでホッとした。ラヴィニアはてっきり、彼を着せ替え人形のようにしたのではないかと心配したのだ。(ラヴィニアは既に、休日にマルティナに着せ替え人形のように扱われている。)

「良かった。それぐらいなら別に構わないんじゃない?」

マルティナは虚ろな目でこちらを見た。

「……ラヴィニア。まだ続きがあるの。私、彼にそのあと言われたのよ。『僕は男だ!可愛くなんかない!』って。それで、それで……」

「それで?何があったの?」

「彼は大人しくて可愛いのはそのときと見た目だけ。性格が傲慢でわが道を行く唯我独尊。私の求めたものが……!!」

「ちょ、マルティナ落ち着いて!後は寮で聞くから今は大人しく……ね!?」

マルティナは興奮したのか大きな声でしゃべり出したので、ラヴィニアは急いで彼女を静めた。何人かの生徒はこちらを見ていたので、危ないところであった。話中の彼は気にも留めていないようなので、特に問題は無いと言えば無いが。

デザートも食べ終わり、校長がまた今年度の注意を促した。毎年特に変わったことは言わないが今年はあった。

「最後にじゃが、とても痛い死に方をしたくない者は、今年いっぱい四階の右側の廊下には入らぬことじゃの」

何人かの生徒が笑ったが、ほとんど笑っていなかった。

ハリーが、パーシーになにか聞いていた。そして、パーシーがしかめ面でダンブルドアを見ながら言った。

「へんだな、どこか立入禁止の場所があるときは、いつも必ず理由を説明してくれるのに……森には危険な動物がいる。そらは誰でも知っている。せめて僕たち監督生にはわけを言ってくれても良かったのに」

最後にまた、校歌を歌った。ラヴィニアとマルティナは適当に口ずさむだけだった。

歌い終わり、ダンブルドア校長の一言で、皆はそれぞれの寮へと帰っていった。たくさんの階段をまた登って、グリフィンドールの寮へと向かった。途中、ポルターガイストのピーブズに出くわしたが、パーシーが追い払った。

寮の扉につくと、ピンクの絹のドレスを着たとても太った婦人の肖像画がかかっていた。その婦人がたずねた。

「合言葉は?」

「カプート ドラコニス」

パーシーがそう唱えると、肖像画は開き、後ろに丸い穴があった。その穴に入り、グリフィンドールの寮の談話室に入った。そして、皆それぞれの部屋に向かっていった。

ラヴィニアは、久々にふかふかの天蓋つきベッドに寝ることになった。アリシアとアンジェリーナに久々に会った。マルティナは疲れたようで、パジャマに着替えるとすぐに寝てしまっていた。

「明日からもう授業ね。一日ぐらいこのベッドで寝ていたいわ」

「ほんとね、それにしてもマルティナがこんなに、早く寝るなんてあった?」

アリシアとアンジェリーナがくたくただと話していた。

「今日は色々理由があるみたいよ」

ラヴィニアが答えた。

「へえ、彼女の疲れる理由って、さっきわめいてた何かかしら?」

「そのようだわね。私たちも寝ましょう。1年生のとき辛かったんだからね」

アンジェリーナは、夜更かししたことを思い出して苦い顔をした。

「確かにね。ふあ……あ、私も寝るわ。おやすみなさい、アンジェリーナ、アリシア」

そう言うと、二人の返事を聞ラヴィニアは眠りの世界へと入った。そしてまた、あのときの夢を見るのであった。白銀の女性と漆黒の男性の夢を。最初はぼやけていたその夢は、回数を重ねる度に鮮明になっていくのであった。これが、何を意味するのか彼女はわからないままであった。そして、記憶を取り戻す術も未だにわからなかった。

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