ハロウィーンの襲撃

真夜中の大冒険から数週間が過ぎた。その日以来、変わったことが起こった。

いつもはしゃいでいたマルティナが、暫く何かに囚われたかのように気落ちし、誰ともろくに言葉を交わさずに居たのである。彼女は2〜3日は気分が悪い中、なんとか授業に参加していた。だが、他の生徒や教師陣が見ても体調が悪いのでは、と心配されたので、医務室に通うことになった。あのような恐ろしい化け物を間近で見て、普通でいる方がおかしい。 と事情を知っている ラヴィニアだけはそう思った。

ラヴィニアはというと、そんな彼女の心配をして、医務室への付き添いをした。また、彼女の休んだ分のノートをとってあげたりするなどして、暫くは過ごしていた。

ラヴィニアは、あれ以来ハリーやロンとは会話をしていない。だが、学年が違うし、男子ということもあり、話すこともないため、そこまで気にしてはいなかった。

ハーマイオニーは、違う学年ではあったが女子だし、何より勤勉な彼女は、よく勉強について質問をしてきた。学年トップとはいかないが、ラヴィニアは学年で10番以内には居たので、頼りにされていた。



そして、10月31日のハロウィーンになった。

廊下には、パンプキンパイのおいしそうなにおいが、ホグワーツのあちらこちらで漂っていた。

「今年もハロウィーンがやってきたわね、おいしそうなパンプキンのにおいが凄いわ」

マルティナは、だいぶ気分がよくなっており、医務室に行かなくても済むようになっていた。

「マルティナ、もう大丈夫なの?医務室行かなくても平気?」

アリシアやアンジェリーナが心配して聞いてきた。そんな彼女にマルティナは、「平気よ、心配かけさせてごめんね」と返事をした。

二人はいったい何があったのか、と聞いてきたが、 ラヴィニアとマルティナはそれについては頑なに口を閉ざしたので、それ以上は聞かなかった。

久しぶりに、普通に過ごすことができ、ハロウィーンの夜を向かえた。

大広間につくと、数え切れないほどのコウモリが天井を多い尽くして、ジャックオーランタンがふよふよと空中に浮かんでいた。かぼちゃのなかで、怪しく揺らめく蝋燭の炎が、ハロウィーンの雰囲気を更に駆り立てた。

「ああ!やっぱりハロウィーンに出てくるパンプキンパイはおいしいわ!ほら、ラヴィニア。スープやサラダじゃなくてパンプキンソースのステーキも有るんだから食べなさいな」

マルティナは、体調が悪かったとは思えないほどの食べ物を、大量に食べていた。

「……ねえ、マルティナ。そんなに食べてお腹壊さない?」

アンジェリーナが、苦笑いしながら引き気味に聞いた。

「平気よ、アンジェリーナ。あの子ったら、今までの間、ずっとろくに食べていなかったんだから。」

ひきつった笑みでアリシアが答えた。
マルティナはそんなことを気にせず、食べ続けていた。

「そういや、あの栗色フワフワ少女は?今まで気分が悪くて、会話すらしていなかったけど。今日はハロウィーンだから、彼女を着飾ってあげようと楽しみにしてたのに。全然見かけないわね?」

マルティナは、ハーマイオニーが居ないことに気づいた。 ラヴィニアも、糖蜜パイを食べながら首をかしげた。

「そういえば、ハーマイオニー見ないね。どこに行ったのかしら?」

そう言ったとき。

クィレル先生が、広間の扉を開けて息急ききって駆け込んできた。頭の紫のターバンが乱れておかしなことになってるとラヴィニアは内心笑っていた。彼はダンブルドア校長の前まで行くと、つっかえながら言った。

「トロールが……地下室に……お知らせしなくてはと思って」

そう言うと、クィレル先生はバタリと床に倒れ気を失った。

皆の盛り上がった気分は、その一言で恐怖のものへと瞬時に変わった。

ハロウィーンパーティーは大混乱となった。ダンブルドア校長が、杖の先から爆竹を爆発させ、皆を静まらせた。

「監督生よ、すぐさま自分の寮の生徒を引率して寮に帰るように」

ダンブルドアは、楽しんでいた今までと違い、重々しい口調で指示を出した。

グリフィンドールの監督生パーシーが、すぐに指示を出して寮へと戻ろうとした。ラヴィニアやマルティナもそれに続いた。

寮に戻る途中、ハッフルパフ生とすれ違っていたそのとき。ローブの裏が赤い、グリフィンドールの生徒が、ハッフルパフの集団の中に紛れているのをラヴィニアは見つけた。着いていくのを間違えたんだ、と彼女は思った。

ラヴィニアは、はぐれた生徒を一人で追いかけて行った。すると、はぐれたのではなく、集団から抜け出したのだと暫く追いかけて気づいた。

ハリーとロンの二人だった。彼らはどこかへ向かっていた。角を曲がるのを確認すると、追いかけているのがばれたのか、角の先で彼らとはぐれた。

「どこへ行ったのかしら?きゃっ」

後ろから誰かに肩を捕まれ、後ろへ振り向かせられた。だれかと目を上げようとすると、生徒の物ではない黒いローブが見えた。

誰かとは、スネイプ教授だった。

「こんなところで何をしているのかね?Ms.アルフォード。全ての生徒はそれぞれの寮に戻るはずだが……」

急いでいるような、早口めの言葉だった。

「あ、……その。はぐれた生徒が居たので追いかけていたら……見失ってしまったようで。すみません、スネイプ教授」

先程までの追いかける勇気が、しぼんでいくのがわかった。教授はじろりと睨むと、減点するかと思いきや。

「今は自分の身の安善を確保するのだ。一人で女子生徒が行動するなど危険極まりない。その生徒は我輩がこってり絞っておこう。貴様は早くグリフィンドール塔へと戻れ、良いな?」

そう言うと、スネイプ教授は早足でどこかへ向かっていった。

ラヴィニアは、面食らった顔で教授を見送った。

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