波乱のクィディッチ
11月の初めの土曜日、今年度初のクィディッチの試合があった。グリフィンドール対スリザリンである。
グリフィンドールチームのシーカーがハリーとなったことは、極秘情報だったが、とっくに皆に知られていた。
「極秘情報とか言われたけど、ハリーがシーカーだなんてね!一年生の選手は百年ぶりだそうよ」
マルティナが早速、ラヴィニアへと教えた。
「まあ!アンジェリーナとアリシアが秘密と言ってたのは、その事だったのね」
ラヴィニアは彼女たちが隠そうとした理由を聞き、納得した。
試合当日の朝。
ハリーは全く朝食のメニューに手をつけなかった。一年生の友人たちが、彼に食べるように勧めていたが何も食べたくないとのたまっていた。お腹がすいていないそうだ。
十一時には、学校中の生徒がクィディッチ競技場の観客席へと詰めかけていた。双眼鏡や望遠鏡を持ってきて、選手を良く見ようとした生徒もいた。
その頃、ラヴィニアは寮の自室で、ミノムシのような格好のマルティナと対峙していた。対峙は、かれこれ30分は経過している。
「マルティナ、あなたが行くって言ったんでしょ?ほら、アンジェリーナとアリシアに宣言したじゃないの。もう試合が始まるわよ!」
「だから高いところ私は嫌いだって……!ラヴィニア、あなたがよく知ってるでしょ?」
マルティナは高所恐怖症なのだった。
クィディッチの試合は高いところから見なくては意味をなさない。応援席はとても高いところにあるので、そこまでのぼらなくてはならない。
ということは、マルティナは高所恐怖症のために行けないのである。だが、一ヶ月前に彼女はこんなこど話していた。
「そうねー。まあ嫌でもわかる日が来るのよ、楽しみにしててよ。あと、試合の日は絶対見に来てよね。マルティナは高いところ苦手だからあれでしょうけど……」
「まあ!そこまで言うからには優勝杯は、グリフィンドールだけでなく私の為にも奪い取りなさい!全部の試合見に行ってさしあげますわ」
マルティナは、アンジェリーナの軽い挑発にのったのである。
そのため、プライドの高いマルティナは「行かなくてはいけない」と思いながらも、ううーとうなり、子供のようにベッドから出てこない。
はあ、とため息をこぼすラヴィニア。だが、マルティナは出てくる気配がない。
「わかった、もう一人で行くわね。マルティナはそこでおとなしく、ミノムシみたいにくるまっててね」
「え、ちょっと?ラヴィニア!?」
仕方なく諦めて、ラヴィニアは一人で競技場へと向かった。マルティナはぽかーんとした顔で、彼女の出ていったドアを暫く見つめていた。