クリスマスと弟

「ラヴィニア、メリークリスマス!」

「メリークリスマス、マルティナ!」

もう12月に入り、クリスマスとなった。寮の部屋は、アンジェリーナとアリシアは休暇に入ったので家に帰っているため、ラヴィニアとマルティナだけとなった。

ベッドの脇を見ると、友達や家族から送られてきたプレゼントが積まれていた。彼女たちはそれぞれの物を開けていた。

「マルティナは帰らなくていいの?」

ラヴィニアはふとたずねた。
ラヴィニア自身は、孤児院が帰る所のため、金銭的な問題が起こらないようホグワーツで過ごしている。それに対し、マルティナは魔法界では貴族のお嬢様。家では家族も居るし、学校よりもいいものがあるはず。

「……言ってなかったかしら。私、家が好きじゃないのよ」

「え、それって何で……?」

ラヴィニアは、マルティナの言葉にリボンを外す手をとめた。

「私ね、弟が居るの。弟は三つ年下、来年からはホグワーツよ。……私は弟と仲が悪くて、家ではとても居づらいの」

「弟が居たなんて、初耳だわ」

ラヴィニアは、プレゼントを開けるのを中止してマルティナの方へと体を向き直した。マルティナもこちらへと近づいてきたので、二人はベッドに座って話をした。

「弟のことは、なるべく忘れようとしていたわ。あの子とは、幼い頃はなんとも無かったけど。単刀直入に言うと、彼は純血主義者になってしまったの」

ラヴィニアは純血主義者ときき、ビクッとした。

「私がホグワーツに入ってからね、決裂しそうなほどに仲が悪くなったのは。私はグリフィンドールに分けられた。私の父もグリフィンドールだった。母はレイブンクロー。お互い純血の家だったから結婚したのよね。恋愛結婚だったわ。でも、母方の祖母がマグル生まれということがわかったの。父はウィルヘルム家次男だったから、うるさくは言われなかったけど」

ラヴィニアは、家庭事情が複雑だったとここで思い出した。普段からそんなに意識しないため忘れていたのだ。

「もし、私の母に子供ができて、男の子ならば叔父夫婦の元へと養子に出すよう言われたの。……その男の子を純血主義者に育て上げるためにね」

「どういう……こと?養子に出したって、血の繋がった子を?」

「叔父夫婦は、女の子にしか恵まれなかったの。だから、家督を継ぐ子が欲しかったのよ。そして、私の弟が……」

マルティナは苦虫を噛み潰すような顔をした。弟とは昔、仲が良かっただけに、苦しいのだろう。

「ねえ、ラヴィニア。来年弟は必ずホグワーツに入学するわ。もし、弟があなたに酷いことを言ったとしても、あの子のせいじゃないわ。純血主義という思想が悪いのだと、そう思ってくださる?私のこと、嫌いになんてならないでいてくださる?」

マルティナは、悲しげな顔でラヴィニアを見た。

「もちろんよ、マルティナ。……あなたは私の一番の友人なのよ。今更きらいになんてならな……うわっ」

マルティナは ラヴィニアへと抱き付いた。恐れていたのだろう、弟のことで嫌いになられないか。安心したのか、彼女は涙を流していた。

「ラヴィニア、ありがとう……。ほんとにありがとう」

暫く彼女たちはお互い抱きしめあっていた。



クリスマスから数日後、ラヴィニアは大広間で久々にハリーとロンに会った。

「久し振りね!ハリー、ロン」

「やあ、ラヴィニア!良いとこに来てくれたよ!頼む、少し話を聞いてくれないか?」

そう言って、ロンは ラヴィニアを大広間から連れ出して、近くの空き教室へと入った。

「ロン、いきなりどうしたの?」

ラヴィニアは、ロンの顔が焦っていることに気づいた。

「ハリーが、ハリーがおかしくなってるんだよ」

ハリーが?どこがおかしいのだとラヴィニアは思った。思い当たることはない。

「ラヴィニア、頼むから驚かないでね。ハリーが、なんか知らないけど謎の鏡のとりこになってるんだよ。僕たちは、ニコラス・フラメルって人を探してるんだ。それで、ハリーが夜中に抜け出して図書室で調べようとしたんだ。そしたら、その謎の鏡を見つけたらしくって」

ロンは次から次へと語った。ニコラス・フラメルって、何だったかどこかで聞いたな。と、ラヴィニアは思ったがよくわからなかった。

「で、謎の鏡がどうしたの?」

「ハリーが、自分の家族をその中で見たんだって。それで……その」

ロンは口ごもった。言って良いのかどうか悩んでるようだった。

「ハリーが、その、……ラヴィニアが死んだお姉さんにそっくりだとか言い出して……。でも、ハリーの姉さんはマーガレットって名前だし、死んだはずなんだよ!?」

ラヴィニアは、驚いた。自分がハリーの姉にそっくりだなんて、と。

「ハリーのお姉さんに……?」

「……ごめん。なんか、その。他人のそら似に決まってるよね。ともかく、今はハリーに近付かない方がいい。ラヴィニアが近付いたら、どうなるかわかったもんじゃないんだ」

「……私が、お姉さんに…………」

ロンはそう言うと、大広間に戻っていった。

ラヴィニアは、その後どうやって寮に戻ったのか全く覚えていなかった。

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