戻りました

ラヴィニアが聖マンゴに移されてから5日が経とうとしていた。彼女が起きる気配は見られなかった。幸いなことにまだ、学校はまだ始まっていなかった。

その日は、スネイプ教授が様子を見にやって来ていた。

「貴様はリリーの子なのか…………?」

彼はそう呟いて、ラヴィニアの頬を撫でた。すると、微動だにしなかった彼女が動いた。スネイプは、驚いて手を離した。

「……きょ……う、じゅ?」

ラヴィニアの目が開き、赤褐色の瞳が隙間からのぞいた。スネイプは、驚いてその場を動けなかった。

「待ってろ、医師と先生を呼んでくる」

やっと彼の体が動いたので、急いで医者とダンブルドア校長を呼びに行った。

ラヴィニアは、自分が今どこにいるかわからなかった。医務室ではない。なら、ここはどこかの病院なのか?

そして、自分の正体がなんなのようやくわかった。だが、これを話すべきなのか迷っていた。話すべきなのだろうとは思うものの、どこかひっかかった。十年近く、自分はラヴィニア・アルフォードとして暮らしてきた。両親は死んでしまっている。弟が居るといわれても、彼のことを、ハリーを弟だなんて思うことができないのだ。記憶が戻ったとはいえど、自分が マーガレット・ポッターと思うことが出来なかった。

暫くたった頃、医者とダンブルドア校長がやって来た。医者は、ラヴィニアの体に異常がないかとチェックをしたのち、校長とスネイプを部屋の外に出して、いくつかの質問をしてきた。それは、全て記憶についてのことだった。

「君の名前は何だね?」

「ラヴィニア・アルフォードと以前名乗っておりました。本当の名はマーガレット。マーガレット・ポッターです」

医者はカルテにメモを取った。

「わかりました。Ms.ポッターとこの質問の間だけは呼ばせてもらいます。ダンブルドア校長に、万が一に備えて口止めをするよう仰せつかりましたので」

マーガレットは頷いた。

その後、昔のことや、孤児院で過ごすことになった日のこと、魔法学校でのことも尋ねられ、マーガレットは少し疲れた。

「質問は以上となります。Ms.ポッター、起きたばかりで辛かったでしょう。先に言っておくべきでした、申し訳ない。では、この後は軽い食事でも持たせます。気分が悪ければすぐに看護のものに知らせてください」

医者が外へ出ると、ダンブルドア校長とスネイプ教授が入れ違いに入ってきた。

「起きたかね、ラヴィニア。いや、マーガレットと言った方が良いかの?」

「……校長先生、ご存知だったのですか?私が、ハリーの姉ということを」

マーガレットは驚いた表情でダンブルドアを見た。

「いや、わしは知らなかったよ。マーガレット・ポッターは行方不明だった。いくら探しても見つからなかった。だから、魔法省は死んだということにしたのじゃ。証拠も遺体も、何もないというのに。だが、墓はなかった。名前が刻まれないよう、わしが言ったのじゃ。もし、何らかの拍子に見つかったときのためにと」

マーガレットは、頭が混乱しそうだったが、実際にそうだというのは、マルティナたちの話からしてもそうだった。

「君は、行方不明で死んだとされた、リリー、ジェームズ・ポッター夫妻の長女、マーガレット・ポッターで間違いないのじゃな?」

マーガレットはダンブルドアの青い水晶のような目を見た。そして答えた。



「はい」



「よろしい。じゃが、すぐには公表せぬよ。君もまだ、心と頭の整理ができておらぬであろう。ハリーを見てわかるじゃろう?行方不明で死んだとされた「生き残った男の子」の姉が生きていて、しかもホグワーツの生徒だなんて。君の心に膨大な負担になるのは、目に見えておる」

マーガレットはそう思っていたので、助かったと思った。未だに自分が彼の姉ということが信じられずにいた。

そして、夢の中での出来事もあった。あの黒髪の少年は、いずれまた私の前に現れるに違いない、そう思った。

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