四階の秘密
「さあ、あなたたちが何を考えて何をしようとしているのか、洗いざらい吐いてもらうわよ!」
マーガレット、マルティナ、そしてエドマンドは、談話室で過ごしていたハリー、ロン、ハーマイオニーの三人を捕まえて、近くの空き教室へとつれていった。一年生たちは当初は困惑していたが、マルティナの一言でギクッとした。
「……寮の減点理由についてなの?」
ハリーがたずねた。それに、マルティナが腕を組み仁王立ちして頷いた。
「俺は聞いたんだ。お前たちが森番のドラゴンについてどうとか話しているのをな」
エドマンドが更に一押した。一年生たちの顔はみるみる青ざめた。紅一点のハーマイオニーが、口を開いた。
「私たちは、ハグリッドがドラゴンの卵を孵らせるって話を聞いて……。それで、ドラゴンの飼育は法律違反だから、どうにしようって話になって……」
「何故先生に相談しなかったの?一年生がどうにかできるとでも思ったの?」
ここで、始めて マーガレットがたずねた。彼女の顔は悲痛に歪んでいた。
「僕が……、ロンの兄さんのチャーリーが、ルーマニアでドラゴンの研究をしてるって言ってたから。彼に相談すればどうにかなるって思ったんだ。ハグリッドも内密にしたかったらしいし」
「あははっ、それこそ先生に言えば良かったものを。森番の方も愚かだ。何故そんなものを持ち込むのか、俺は理解に苦しむね。そして一年生、お前たちのことを『身の程知らず』って言うんだよ」
エドマンドが乾いた笑いをもらした。前髪でわからないが、きっと彼の目は一年生を睨んでいるだろう。彼は最初こそ気が乗らなかったようだが、今は彼らを責める気になっている。スリザリンに取られていた寮杯が目の前にあったのを、一年生に邪魔されたのが相当頭に来てたようだ。ハーマイオニーはうつむいて、目に涙をためている。ロンとハリーも、反論に苦しんでいた。
「それもそうだけれど、あなたたち。ニコラス・フラメルとかいう人について調べてたそうじゃない。何故、錬金術に携わる彼を調べる必要があるのかしら?そこについても教えてほしいのだけれど?」
マルティナは更に攻めこんだ。
「それは……!」
今度こそ黙り込んでしまった。彼らは目配せをして、どうしようか悩んでるらしい。
一年生たちは、輪になって話し合いをし出した。
「ハリー、どうしましょう……?打ち明けた方が……ラヴィニアはきっと理解してくれるわ。マルティナだって、話せばわかる!」
ハーマイオニーの言葉にロンが反抗した。ロンはエドマンドの方をちらっと盗み見た。
「でも、あの男の人はわかってくれそうにないよ」
「ハリー、あなたはどう思う?」
「……僕は、もう打ち明けた方が良いと思う。ここまで問い詰められたらもう言い逃れできないよ」
ハリーたちは、観念して打ち明けることを決意した。そして、 ラヴィニア、マルティナ、エドマンドに包み隠さず、今までのことを述べた。
四階の部屋にいた謎の犬、トロールの事件、ニコラス・フラメルが関係したこと、そして賢者の石。スネイプ教授とクィレル教授の話もした。彼ら二人が言い争っていることを。
三年生組は、一年生組のしてきたことに、怒りも悲しみもすることはしなかった。寧ろ、例のあの人が関係することだと知り、困惑した。一年生のすることではない、と。だが、規則を破り減点されたことについては、別の話だった。
マルティナは、想定外の奇想天外な内容に開いた口を塞ぐことが出来なかった。エドマンドは馬鹿馬鹿しいと思いながらも、例のあの人という言葉で現実に引き戻されていた。 マーガレットは、実の弟がこんな危ない橋を渡っていたことに心配をしていた。
「このことを、先生方に告げてもね……。ああ、さっきのドラゴンは別だわよ。こんな学び途中の生徒より、自分たち教師の守りの方が万全だ、と言うに決まってるわ。一年生の癖に、よくまあここまで調べあげたわね。ハーマイオニーのおかげでしょうけどね。あと、森番の口の滑りやすさはいかがなものかと思うけど」
マルティナは、うーむと考え出した。エドマンドも黙り込んだ。
「でも、スネイプ教授が犯人だなんて。それはないと思うわ」
「ラヴィニア、正気かい?あの人が犯人に決まってるよ!トロールが入り込んだ日、覚えてるだろ?あの人、四階の部屋に行ったんだ。僕はスネイプの足の噛み傷を見たんだよ、フラッフィーにやられたに違いない!」
マーガレットの言葉に、ハリーが猛反発した。だが、あの人はそんなことをするような人ではない。マーガレットはそこだけは賛同しなかった。マルティナとエドマンドは、犯人はいずれボロを出すだろうと、誰のせいにもしなかった。
「とりあえず、ダンブルドアが居る限り、奴が手を出せるはずがない。グリンゴッツ銀行よりも安全なのはホグワーツだけだ。それは確かなんだろう?なら、もう探るのはよせ。これ以上寮の点数が下がるのはごめんだよ。俺はもう、帰らせてもらうよ」
エドマンドはそう言って椅子から立ち上がると、教室から去っていった。マーガレットとマルティナも、そろそろ夕飯ね。と言ってこの集まりを解散することにした。
この集まりから数週間後、学年末試験が始まるのであった。