一年の終わり

学年末試験最終日を迎え、無事にどの教科も終わった。終わった人それぞれが、試験勉強でたまったストレス発散のため、校庭に出たり中庭で休んだりと、自由気ままに過ごしていた。賢者の石がどうやらとか、スネイプとクィレルの教授がどうたらとか皆忘れていた。

もちろん、マーガレット、マルティナもそうだった。校庭の湖の脇で日向ぼっこをしていた。その頃、エドマンドはフレッドとジョージに絡まれていたが、迷惑そうな顔をせずに、少し悪戯に付き合っていた。

そんな日の夜。夕食を食べていたマルティナが腹痛を訴え、医務室に行くことになったのだ。何をそんなに食べたのだか、同じものを食べていたグリフィンドール生に異常はなく、マーガレットも何もなかった。静かにするという原則で、マダム・ポンフリーに許可をもらい、マーガレットはマルティナと共にいた。



就寝時間近くになったのでマーガレットはグリフィンドール寮に戻ろうとした。すると、クィレル教授がうろうろしているのを見つけた。

何をしているのかと疑問に思って見ていると、突然後ろから誰かに拘束された。どこかの空き教室へと連れられて行き、体を壁に押し付けられ、鈍い痛みが体に走った。その上、両手を相手の手で拘束されて、身動きが取れなかった。誰かと前を見るとエドマンドがこちらを睨み付けていた。口は押さえられていなかったので、声を出すことができた。

「……エドマンド、何を考えているの?」

小さな声でマーガレットがたずねた。

「お前、クィレル教授を追いかけていたのか?」

低い声で、エドマンドが問いに問いで返した。暗い部屋と、彼の長い前髪のせいで表情がわからない。

「まさか、そんなこと。マルティナに付き添っていたのよ。マダム・ポンフリーに許可は貰ったわ」

そう答えると、彼はじーっとこちらを見つめていた。暫く無言状態が続いた。すると、足音がこちらへ近付いてきた。クィレル教授のものだった。エドマンドが口を押さえたので、声を出さずにすんだ。彼は音源の方を見ていた。いや、睨み付けていたのだろう。彼の目が細くなっているのを、マーガレットは微かに見てとれた。

音が遠ざかると、エドマンドは拘束を解いた。少しの緊張で、マーガレットは足が震えていた。

「悪かったラヴィニア。いや、マーガレット。お前がトロール事件の時のように突っ走るんじゃないかと思って。マルティナのとこに行ってたのは知ってた。だから、暫く見張らせてもらってたんだ。すまない、手荒な真似になってしまった」

エドマンドが訳を話した。声が先程と違い、普段より静かになっていた。

「いいよ、エドマンド。心配かけてごめんなさい。それより、見張ってたんなら、私と行動すれば良かったのに」

マーガレットは、彼に心配かけてたのだと思うと申し訳なかった。確かに、クィレル教授を見つけたときは追いかけようか迷っていた。だが、もともとそのつもりでなかったため、杖を持ってきてなかった。

「……確かにそうだったな。でも、この方が緊張感出て良いだろう?」

エドマンドは茶化した。 マーガレットはまあ、と驚いたが、エドマンドらしいと思うことにした。彼はどこかしら、周りと違っていると、前から思っていたのだ。

「さあ、寮に戻ろうか」

「そうだね、早くしないとフィルチさんに見つかっちゃう」

こんなことをしていたせいで、就寝時間は少し過ぎてしまった。だが、何事もなく寮に戻ることができた。

次の日、マルティナの様子を見に医務室に行くと、二人の新患者が居た。

ロンとハーマイオニーだった。

何故二人が、と思うと。ハリーまでもが、ベッドに横になっているようだった。

いったい何があったのか。

「ハーマイオニー、どういうこと?」

「…………」

ハーマイオニーは口を閉ざしたままだった。ロンに視線を向けると、ただ首を横に振るだけだった。

そこへ、マダム・ポンフリーがやって来た。

「Ms.アルフォード。Ms.ヴィルヘルムスはまだ寝ており、起きてきません。朝食の時間になりますから、起こしてあげてください。そのまま退院して構いませんよ。私はこちらの新しい患者で手一杯ですから、頼みましたよ」

「わかりました」

そう言って、マルティナの元へ向かうと、まだ寝ていた。この子は朝が弱いから仕方がない。

「起きて、マルティナ。もう朝よ?」

「ん……、マッジ?あ、私ったら医務室に……」

「もう退院していいらしいから、ほら、大広間に行きましょう」

「そうね、ふあ……ぁ。ん、何でこんなに一年の三人組がいるの?」

マルティナの言うとおり、医務室は彼らが占拠してるも同じだった。理由は後でわかるだろうと、医務室を後にした。



それから、二日後の夜。学年度末パーティーが開かれた。

スリザリンが七年連続寮対抗杯を獲得したお祝いで、広間はスリザリンカラーのグリーンとシルバーで飾られていた。

「ああ!折角のチャンスだったのに!彼らが夜中に抜け出さなければ……!」

マルティナは、回復したようで元気になっていた。隣にはエドマンドもいた。彼は負のオーラをまとっていて、とても不機嫌にしていた。前髪のせいでさらに陰鬱になっていた彼には、フレッドとジョージもさすがに話しかけなかった。

大方集まったろうというところで、大広間の扉が開いた。ハリー・ポッターがやって来た。大広間が一瞬、しん、としたがすぐにざわめいた場所へと戻った。ハリーは、ロンとハーマイオニーの間へと座った。

昨日、ロンとハーマイオニーから聞いた話だと、クィレル教授がヴォルデモートと組んで賢者の石を盗もうとしており、一年の三人組が阻止しようとし、ハリーが賢者の石を守り抜いたそうだ。クィレル教授は行方不明となっているとのことだが、きっと死んだのだろう。と、 マーガレットは思っていた。

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