謎の声とパーティー

その様子を、見ている人物が二人いた。

一人はエドマンドだった。二人が大広間から出ていくのを目にすると、己も席をたち二人の後を追いかけていった。


そして、もう一人はつまらなそうにハロウィーンパーティーに参加しているスリザリン生、サミュエル・ヴィルヘルムス―マルティナの弟だった。

彼は、同じ色の髪をした姉をちらちらと覗き見ていたのだった。すると、彼女は突然、同僚を肩に寄り掛からせて大広間を出ていったのだ。

『何をしているんだ?あの人は。純血でもない奴なんか放っておけば良いものを……』

心の中で呟くと、彼は大した興味もないのに、目の前で行われているパフォーマンスへと目を向けた。ただただ、暇をもて余すだけの時間だった。

「まあまあ面白いね、どうだい?サミュエル」

「!……ええ、面白いと思います。骸骨舞踏団だなんて、滅多に見れませんから」

突如、後ろからドラコに声をかけられたサミュエルは、不自然にならないよう笑顔を作り上げた。そして、言葉も急ぎ取り繕った。

『……正直どうでもいんだがな。これから先、こうして媚びへつらわなきゃいけないなんて……』

彼にとって、純血名家のドラコ・マルフォイに声をかけられることは非常に有り難いものであった。

スリザリン生でも、純血の家系で最も優れているのはマルフォイ家とブラック家である。ブラック家の者が居ない今、マルフォイ家が筆頭なのだ。そのマルフォイに目をかけられるのは有り難いことなのである。

「ふん、去年は事件があったが、今年は何事もなく終わりそうだ。」

「そうですか……」

正直、八方美人をするのは荷が重い。だがこの先、魔法界で有利に生きていくためには、この純血名家との関わりは非常に重要な生命線であることに違いはない。サミュエルは、内心ため息をつきながらも、このパーティーの間中、後ろに座る先輩の相手をしたのであった。




「マルティナ!マーガレット!」

寮へ続く階段の途中、一人走ってきたエドマンドは、マルティナたちに追い付いた。

「はあ、は、……エドマンド。ちょうど良いとこに……。ひい、……もう、この子が重くて重くて……」

マルティナは、歩くことも覚束ない赤い髪の友人を右肩に背負い歩いていた。その友人のマーガレットはすっかり弱っていて、パーティーが始まる前と比べ物にならなかった。 足一歩前に出すのもやっと、という状態である。

「いったい何が……?」

エドマンドは質問しながら、マルティナからマーガレットを受け取った。入学時より遥かに成長した身体でマーガレットをだき抱えることは、彼にとって容易いなことである。

「それがわからないのよ、この子ったら変な声が聞こえるとか言って……。私はなんにも聞こえないけど……。エドマンド、あなたは?殺してやるとかなんとか聞こえる?」

マルティナは困ったわ、と言って、登りかけた階段で座り込んでしまった。エドマンドも訳がわからないという様子であった。

「とりあえず、寮にもどるか。マダム・ポンフリーだって、流石にこのパーティーに参加してるだろうからな」

「そうね、エドマンド。マーガレットは、あなたに任せたわ。私よりあなたが運んだ方がいいに決まってるもの。効率的にね」

そう言ってマルティナはエドマンドに任せたのである。エドマンドはただただ、マルティナの言うがままに寮への道をたどった。

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