まさかの事実

「エドマンド!」

グリフィンドール寮に戻って談話室に入ると、端で本を読むエドマンドの姿を見つけた。

「マルティナ、それにマーガレットも。もう戻ってきて良いのか?体調は……?」

少し伸びた彼の髪が、首をかしげると同時にさらっと流れた。

「マダム・ポンフリーに許可はおろしてもらったわ。疲れがたまったのでしょうだって」

エドマンドはそうか、と一言返すとまた本に顔を向けた。

「ねえエドマンド。少しお話があるのだけど、良いかしら?」

マルティナが彼の側で話しかける。エドマンドは彼女を一瞥すると本を閉じて丸テーブルの上においた。

「はあ、そう来ると思って、今調べてたんだよ。ここじゃ話しずらいから、少しついてきてくれ」

そう言うと、エドマンドは寮の外へと足を進めた。マーガレット、マルティナも後に続いた。

階段を下りて、とある階の長い廊下にたどり着いた。エドマンドはせわしなくその廊下を行ったり来たりする。何をしているのかと女子二人が眺めていると、壁だったはずのとこに、大きな扉現が現れた。

「……なに、これ」

マーガレットは、思わずそう呟いた。エドマンドは、無言でその扉を開けると、ついてくるよう顎で示した。おそるおそるその部屋に入ると、ふかふかの高級そうなソファーと、白と黒のモダンなテーブルクロスがかかった四角いテーブルにお茶と茶菓子が用意されていた。エドマンドはこのことを知ってたとでも言うかのように、真っ黒い一人がけのソファーに座って足を組む。

「説明は後でするさ。とりあえず空いた所に座ってくれ」

マーガレットとマルティナは顔を見合わせると、いそいそと残った二つのソファーに腰を掛ける。

「さて、何から話そうか」

紅茶が入ったカップを手に、エドマンドが言う。

「とりあえず、マッジも気になってる昨日の謎の声のこと……でいいかしらね」

マルティナが即座に答える。マーガレットは、難しい顔をしながらそれに同意するようにうなずく。

「じゃあ、それから話そう。マーガレットが聞いたというその声は、調べたところ人間のものではないだろうことが推測された」

エドマンドが、ティーカップをテーブルにおきながら説明した。

「それなら、何の声だと言うの?」

マーガレットは、純粋な気持ちでたずねた。人間のものではないなら、一体なんだというのか。魔法界ではなく、マグル界で過ごしてきたマーガレットにとって、それは不思議で不気味なことである。

「……今から試す。俺が今から"ある動物"を呪文で呼び出す。お前はそれと会話するんだ。言葉が通じないならそれは違うということになるが……、とりあえずやってみてくれ」

「……わかった」

三人は、立ち上がると開けた場所に移動した。マルティナは少し離れた場所から見守る。

エドマンドがローブから杖を取り出すと、マーガレットは無意識に唾を飲み込んだ。



「サーペンソーティア!」



「……ッ! 」

エドマンドの杖の先から出てきたものは、150cmはあろう深緑の蛇だった。マルティナとマーガレットは、思わず身を後ろに引いた。マルティナかま蛇を視界にいれて暫くすると、まさか……と呟いてマーガレットを見やった。

蛇は目の前にたたずむマーガレットを見ると、舌をチロチロとさせながらシューっと威嚇した。

『どこだ、ここは……。お前は何だ?』

マーガレットは目を見開かせた。蛇の言うことがわかったのである。蛇の言葉がするすると頭に入ってくる。

『あなたは魔法で呼び出されたの。えっと、ごめんなさい。悪気はないのよ』

『魔法だと?まあいい。それよりも、私の話す言葉がわかるとは……。初めて目にしたわ』

気づけば、彼女の口からシューシュー、と蛇の出す音が出てきた。マーガレットとしては、英語を当たり前に話せるのと同じように蛇語を話したのである。だがそれは、エドマンドとマルティナからすればとんでもないことであった。

「エドマンド、これって……」

「図書をあちらこちら調べていたら、魔法界ではまれに蛇の言葉、つまりパーセルタングを話すことができるものがいると書かれていた。その者をパーセルマウスと言うが、まさかあいつが本当にそうだったとは……」

「やはりパーセルマウス…………なのね」

エドマンドは淡々と説明する。マルティナはそれに驚きと尊敬の念を抱いた。

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