恐怖のクィディッチ

秘密の部屋が開かれてから数週間が経過した。あれから、ホグワーツの歴史という本が爆発的に図書館で借りられるようになった。

マーガレットとマルティナ、エドマンドはあれ以来、秘密の部屋について調べることとなった。ホグワーツの歴史という本をなんとか借りれたので、すぐに必要の部屋に向かい、秘密の部屋について調べた。

本によるとその部屋は、スリザリンの真の継承者が現れるときまで、何人も開けることができないようにしたといわれている。そして、中にスリザリンの残した何らかの恐怖―怪物と噂されている― が封じられており、スリザリンの継承者のみがそれを操ることができるということであった。

「おそらく、そのスリザリンの怪物は蛇の類いだな。マーガレットが聞いたというその声の持ち主がスリザリンの怪物だと思う。スリザリンのシンボルは蛇だろう?絶対そうに違いない」

エドマンドがすぐに声をあげた。

「でも怪物が蛇だけ、なんて想像できないわ。ほら、去年の四階の廊下に居た三頭犬みたいに、他に何かあるんじゃないかしら……」

彼の言葉に、マーガレットが恐々と告げる。エドマンドはそのことを知らないため、頭上にはてなを描いていた。

「三頭犬?」

「ああ、エドマンドは知らなかったわね。去年、四階の廊下に入ってはいけないって言われてたでしょう?あそこに三つ頭のある大きな犬が居たのよ。そんな奴もいるんじゃないかしら?」

マルティナが思い出したかのように補足説明をした。エドマンドは何故二人がそんなことを知ってるのか疑問に思ったが、関係ない話をして話題がそれるのを避けるために聞き流した。

「有り得なくはないが、スリザリンがそんなことするか?」

「さあ、サラザール・スリザリンのことなんか知らないから、わからないわ」

マルティナがエドマンドの質問を一蹴する。

「はあ、こんなこと先生に言ったって、信用してもらえないな。もっと証拠を集めないと……。せめて、怪物が蛇だとしても、種類が何なのかわからないと話しにならないな」

エドマンドが頭を抱えたとき、マーガレットはふと思い付いた考えを話した。

「ねえ、二人は言ってたけど、そのとき被害にあったのは猫のミセス・ノリスよね?なら、ミセス・ノリスがどんな風に被害にあったか調べれば、わかるんじゃないかしら?」

エドマンドとマルティナは、彼女の考えにすぐ賛同した。こうして、彼らはスリザリンの残した秘密の部屋の怪物について、かなり迫ることができた。



数日後、グリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合が行われた。

マルティナは相変わらず高所が苦手なため寮で待機することになった。マーガレットはというと、アリシアとアンジェリーナ、そして密かに、弟のハリーを応援するため、競技場へ向かった。エドマンドも、フレッドとジョージの珍プレイを見たいが為にやってきた。何故か二人はリーに連れられて放送席に座らされている。

「何故俺たちが……?」

「いいじゃないか、同級生がそばに居た方が楽しいじゃん」

とリーが言うと、試合が始まる合図が響き、彼もいつもの実況をし始めた。たまのマクゴナガル教授に叱られてはいるが、教授自身もクィディッチを楽しんでいるように見えるので、いつもよりは柔らかめに叱っているのだろうとうかがえる。

暫く観戦していると、ハリーにやたらとブラッジャーの一つが付きまとっていることにマーガレットが気づいた。

「エドマンド、ブラッジャーってあんなに一人に付きまとうものかしら?」

歓声がワーッと響くなか、隣に聞こえるよういつもより大声でマーガレットがたずねた。

「いや、あれは異常だろう。双子が跳ね返しているがいつまでもつか……」

その後もずっとハリーにブラッジャーが付きまとい続ける。流石におかしいだろうと思ったのか、グリフィンドール側から不穏な空気が漂ってきている。

「どうしよう、エドマンド。……あのままじゃあハリーが危ないわ!」

青白い血相になったマーガレットが、エドマンドに詰め寄る。エドマンドは、苦々しげに空中を飛び交う選手たちの中でおかしな動きをするハリーを見つめる。

「試合中に手を出すのは無理だ。先生方にどうにかしてもらうしか……」

そういってる間にも、ハリーは苦しげな表情で猛烈に突進してくるブラッジャーを避け続ける。

そしてとうとう、想像していた最悪な事態が起こった。ハリーにブラッジャーが当たってしまったのだ。その瞬間とても痛々しい顔をしたハリーに、マーガレットは声にならない悲鳴をあげた。そのあと、腕をかばい続ける彼を見て、骨が折れたか何かしたのだろうと察しがついた。

「どうして試合を続けるの?先生方は何をしているの?」

「…………さあ?全くわからない」

マーガレットはこのとき、寮に残ったマルティナを羨ましく思った。ただでさえ危険な競技だというのに、狂ったブラッジャーによって更に危険度が増した競技を、怪我をするハリーを間近に見ることになったからである。

「クィディッチなんて無くなれば良いのに……」

ボソッと誰にも聞こえないように言ったマーガレットの呟きは、隣に座ったエドマンドだけは聞き逃さなかった。

その瞬間、歓声が一際大きく会場に響き渡った。怪我をしたハリーが、もう一方の無事な手でスニッチを捕まえたのだ。

マーガレットはほっと一息つくと、その席を立ち、後にした。エドマンドがその後を追うように同じく席を立つ。暫く歩くと、マーガレットは立ち止まってエドマンドに告げた。

「……私、帰るね。もうこれ以上、あのハリーの姿を見ていらんない。近くに行くと、自分の素性をばらしてしまいそう」

そう言った彼女の声は震えていた。

「……そうか。なら、俺も一緒にいこう。なんか嫌な予感するんでね、あの場に残っていると」

そう言って、エドマンドは彼女が歩き出した後についていく。彼は寮に着くまで、ずっと後ろについていて、前に出ることをしなかった。

その後、エドマンドの言った通り嫌な予感は的中した。

ハリーの腕は骨が折れており、医務室にすぐに運ばれるはずだった。だが、運の悪いことにロックハートがやって来て、すぐに直すとかどうとか告げた挙げ句、彼の腕を骨抜きのクラゲ状態にしてしまったのだ。ハリーの腕はゴムのようにだらりとぶら下がった気持ち悪い状態だったそうだ。



この事を後で知ったマーガレットだが、それ以来クィディッチを見に行かなくなった。その代わりに、マルティナと寮で宿題のレポートをやったり、お茶会をすることにしたのだった。






―後日談

!注意!

(下記は会話文のみです。嫌な方は下まで思いっきりスクロールするか、戻るボタン連打して回避してください!)





とあるクィディッチの日

「私がクィディッチ嫌いになったのは、サミュエルが箒から落ちたのが原因なのよね」

「そうだったの!?後遺症とかないわよね?」

「ええ、あれ以来箒に乗るのも嫌になったけど、学校で訓練あるのに乗らないわけにいかないもの。我慢してるけど、やっぱ高いところは嫌ね。私も落ち掛けたことあったし……。クィディッチなんて、もっての他よ。事故の確立が、ただ箒に乗るよりグンと上がるもの」

「……そう言えばさ、ハリーとロンって空飛ぶ車で今年度の始業式の日に来たのよね?」

「ああ、そういえばそうだったわね。あーあ、箒よりその方がいいなー。マグルから見えないようにできるんでしょ?最高じゃない、落ちる心配ないし」

「それもそうね。箒よりその方が良いわ。車体自体が落ちなければ、の話だけど」

「……そっちの心配をし忘れてたわ」

「……………やっぱ、地に足つけてるのが一番ね」

「そうね。鳥みたいに翼があれば別だけれど」


後日談、終

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