孤独のクリスマス

クリスマス休暇が近づく十二月、荷造りをするルームメイトたちを、マーガレットは残念そうに見ていた。

「皆帰っちゃうのね……寂しいわ」

「今年はマルティナも強制的にだものね」

アリシアが申し訳なさそうに見ていた。

「お父様が……ね。秘密の部屋事件があるからって書いてはあったけど……。私はマグル生まれじゃないから、そこまで危険じゃないのに。ああ、ラヴィニアを残して帰るのは忍びないわ……」

マルティナは苦虫を噛み潰したかのような顔をしていた。

「気にしないで、マルティナ。うちの孤児院は今、院長の旦那さんが大変で……。何年か前から、入退院を繰り返しててたけど、今回少し危ないらしいの。それで、院長が子供たちの面倒見きれないらしいから……、私はこちらに残った方が良いのよ」

他の三人は、彼女の話したことに少し申し訳なさを感じた。暗くなってしまった空気を変えようと、アンジェリーナが声をあげた。

「ラヴィニア、前と同じようにクリスマスプレゼントはここに送るわね、楽しみにしててちょうだい」

「……ありがとう、アンジェリーナ。私は皆の家に送るわね」

「今年も期待してなさいよ?とびっきりのを考えてるんだから……ね………ぅ」

マルティナがいつもの調子で話していたのが、突然具合悪そうに頭を抱えた。

「マルティナ、どうかした……?」

すぐ側にいたアリシアが近寄る。マルティナは左手で頭を支えるようにしている。

「……ごめんなさい、急に頭が痛くなって」

「医務室に行っても、元気爆発薬もらって終わりだものね……。暫く寝てた方がいいんじゃない?」

アリシアが荷物を詰めながら言う。彼女は入学してから暫くたった頃に体調を崩した際、医務室で薬をもらったのだ。それが元気爆発薬といい、確かに体調は良くなるのだが、耳から汽車のように蒸気を出し続けるという、とんでもない代物だったのだ。それ以来、上級生たちはなるべく医務室の薬に頼らないようにしている。だが、新入生や医務室に世話になったことのない者たちはその薬をもらってしまい、蒸気を発し続けるという羞恥に堪えなければならないのだ。

「うん、そうするわ……」

「まだ帰るまでには日数有るし、急ぐ必要ないから安心ね。夕飯の頃には起こすわ」

「ありがとう、……ラヴィニア」

マルティナはそう言うと、すぐに寝息をたてた。残った三人は、彼女がそんなに疲れるようなことをしただろうか、何か体調崩すようなことはあったか、と疑問を感じていた。

マルティナはその後少し回復したようで、夕食時には普通に過ごしていた。周りは心配していたほど重症でないとわかり、一安心した。



それから数日が過ぎ、とうとうクリスマス休暇となった。例の事件のせいでマグル生まれや半純血の生徒たちは皆自宅に帰ったために、残ったのはほんのわずかだった。グリフィンドールに残っている生徒で見知った顔の者はハリー、ロン、ハーマイオニー、フレッドとジョージ、その兄のパーシーとエドマンドだった。

一人で四人部屋に居座るのはいごこちがわるく、マーガレットはエドマンド、フレッド、ジョージと共に談話室で過ごしていた。だが、フレッドとジョージは悪戯をすることに忙しく、ほぼエドマンドと二人だけであった。と言っても、宿題をするか本を読むかの二択だったが。

蛇のシェーシャは、ほとんど談話室の暖炉の前で丸くなって動かないことが殆どだった。最初は驚かれたものの、害がないとわかると寮生は黙認してくれた。監督生のパーシーが一番口うるさいだろうと予想していたのだが、フレッドとジョージの悪戯と比べると余程マシらしく、他人に迷惑をかけなければ構わないと言われた。人が少ない休暇中のみ談話室に下ろしても構わないが、新学期になったら自室から出さないようにと注意を受けた。

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