孤独のクリスマス

クリスマスの朝、目が覚めるとベッドのわきに小包がいくつか置かれていた。マーガレットは、重いまぶたを開けてそれを見やる。友人たちから送られてきたものは、大小様々だった。

「メリークリスマス……」

自分以外いない部屋でそう呟くのは寂しく感じたが、送られてきたプレゼントを見て少し暖かい気持ちになることができた。

シェーシャは、マーガレットの布団の中で暖を取っている。冬は冬眠するために、殆ど動かないのでそこまでやけになって心配する必要はないらしい。



案の定、一番大きな包みを送ってきたのはマルティナだった。毎年毎年よく大きな物を寄越してくるので、マーガレットはクリスマスに何をあげれば良いのかといつも困っていた。今年は彼女はブランドのワンピースを送ってきた。マルティナらしく、とても可愛らしい代物であった。一緒にフクロウと蛇の餌も添えられていた。なんだかんだ言いながら、気のきく子だとマーガレットは思った。

アリシアからはチョコレートのマフィン、アンジェリーナからは羽ペンの詰め合わせが送られてきた。やはり消耗品の羽ペンは、ありがたいものである。

こちらからは大層なものを送れはしないが、今年はハニーデュークスでクリスマス特製のものを詰め合わせてもらい、彼女らに送った。孤児院のアナベル院長にも、マグルが見てもおかしくないもの(百味ビーンズや蛙チョコのような変わり種じゃないもの)をレナードに頼み送ってもらった。

男子(エドマンド、フレッド、ジョージ)たちには例年通りお菓子を送った。毎年違うものにしているが、そろそろお菓子じゃないものをあげたいと思いながらも、結局無難に詰め合わせにしてしまった。



朝食を食べに向かおうと談話室まで降りてきた。ハリーたち二年生、フレッドとジョージ、が談話室で談笑していた。エドマンドは離れたところでそれを眺めていた。

「お、おはようラヴィニア!メリークリスマス!」

双子が声を合わせて言う。

「おはよう、フレッド、ジョージ。メリークリスマス」

「お、おはよう、ラヴィニア」

「おはよう、ハリー。メリークリスマス」

ハリーとは久々に口をきいた。マーガレットは、自身の本当の名を呼んでもらえる日が待ち遠しく感じた。いっそのこと、ここで全部話してしまいたい衝動に駆られた。

「メリークリスマス……。プレゼントありがとう……もらえるとは思ってなくて、何も用意してないんだ。ごめん」

今年は彼にもお菓子を送ったのだ。彼は何も知らないとはいえ、弟にプレゼントをあげないというのは許せなかったのだ。

「いいのよ、ハリー。色々と大変でしょうから、何かできないかと思って……」

「ありがとう、今度何かお返しするね」

「楽しみにしてるわ」

彼女は優しく微笑んだ。そして、端にいるエドマンドの方へと向かった。

「そろそろ下に行くか」

「ええ、エドマンド。メリークリスマス」

「……メリークリスマス」

どうも彼はこういったことを大声で言う柄ではないようで。近くに居なければ聞こえないほどの小さな声だった。



時間はとんで夕食時。特にこれといったこともなくクリスマスは終わろうとしていた。いつも豪華だが、今日の夕食はさらに豪華だった。人数が少ないせいで皿の数は確かに減ってはいるが、その分だけ料理は手の込んだものであった。

「…………」

マーガレットは、気付けば隣の席を見ていた。だが、隣にいるのは金髪の少女ではなく、赤毛の少女だった。ウィーズリー家の末っ子、ジニーである。

「……どうしたの、ラヴィニア?」

じっと見つめられているのに気付いたのか、ジニーは不思議そうにマーガレットを見た。

「……あ、ごめんなさい。いつも隣は友達が座ってたから、ついついその癖で……」

言ってて彼女は惨めになった。いつも友人が隣にいることが当たり前になっていて、いざ一人になると寂しくなるのだということを改めて思い知らされたからである。昔は一人が当たり前だったのに……。孤児院では家族代わりの子供や院長が居たが、やはり自分は一人なのだと。そう思って生きてきたのに、心を許せる友人ができてからは、一人になるのが恐ろしく感じられてしまうのだ。

『そう、君はヒトリだよ』

「えっ」

どこからか、謎の声が聞こえた。パーセルマウスでない、人のものである。辺りを見回すも、皆それぞれ食べるのに夢中で話してなどいなかった。

「大丈夫?ラヴィニア、すごい汗だよ。お水飲む?」

隣のジニーがそう言ってグラスを渡してきた。言われて顔を触れば、真冬だというのに汗をかいていた。グラスを半分ほどまで飲み干すと、ひんやりとしたものがからだの中を流れ行くのを感じた。

「ありがと……、ジニー。ごめんなさいね、私が年上なのにあなたに世話をやかせてしまうなんて……」

「ううん、大丈夫よ。ほら、デザートまだ出てくるし、食べないと損だわ」

「そうね」

マーガレットは、ジニーと共にデザートをあれこれと皿に取り寄せては食べていた。どこかの図体がでかいスリザリンの二年生が食べていたよりは、かわいいものではあったが。



その後は宿題に追われ、ゆっくりとする間もなく休暇は終わった。新学期になった頃には、あの秘密の部屋の事件の事など忘れられ、休暇に何をしたかという話で持ちきりであった。

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