四年生の始まり

新入生たちの組分けが始まろうとしても、ハリーとロンの姿がなかった。ハーマイオニーは不安そうに扉を見ていた。いくら待てど暮らせど二人は現れなかった。

数分後、新入生の組分けが始まった。マーガレットとマルティナはというと、新しく来た教師―ギルデロイ・ロックハート―がうざったくて仕方がないという表情で新入生歓迎会を過ごしていた。エドマンドがマルティナの隣に座り、いつもの三人がそろって、小さな声で話をしていた。

ウィーズリーの末っ子、ジニー・ウィーズリーが最後の方でグリフィンドールに組分けされたときは、パーシーやフレッド、ジョージと拍手して彼女を迎えた。そのときのパーシーはとても安堵した顔つきだった。

次の瞬間。

マルティナの顔付きが強ばった。彼女の目線をマーガレットが追うと、彼女によく似た黄金色の髪の少年がいた。

「ヴィルヘルムス、サミュエル!」

その少年が前に進み出た。彼が組分けするための椅子に座る。彼の髪質はマルティナと正反対のストレートなのだろう、サラサラとしているようにみえる。

パッと見、マルティナとよく似ているが彼の方が雰囲気は優しげに見えた。もう一度いう、雰囲気は優しげに見えた。マルティナ曰く、彼は純血主義者。マーガレットが話しかければ、顔を歪め、睨み付けられることは間違いない。

「スリザリン!」

マルティナが悲しげに彼の方を見つめる。サミュエルが視線に気付いたのだろう、こちらに顔を向ける。だが、彼の顔は歪に微笑むだけだった。

そして一瞬、マーガレットの方を向くと、マルティナとよく似た笑みを浮かべた。 彼は、マーガレットがマルティナの友人だということをわかっていたのだった。 マーガレットはどのようにしていいかわからず、困惑した顔をするのだった。

マルティナは、そのあと一回も弟のサミュエルの方を向くことはなかった。

最後の子も組分けが済み、校長が挨拶をした。毎年さして変わらない言葉が終わったと思うと、ロックハートが挨拶したくてうずうずとしていたのだろう。校長が彼に挨拶をさせた。

そのときの教職員テーブルのまわりが、氷点下のごとく冷たい雰囲気に包まれた。それを知っているのは、ロックハートに魅了された人々(主に女子)以外全てだった。

そして、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店のときのような演説が暫く続いたのだった。そのときのエドマンドは半分寝ていたのではなかろうか、うつむいたままゆらゆらと上半身を揺らしていた。彼の前髪がマルティナに切られたおかげで、彼の表情を想像する必要がなくなったのはありがたい話だった。

演説が終わったあと、ようやく食事にありつけた。ダンブルドアが止めるまで彼は延々と語り続けていたのだ。

「ほんとうに、ロックハートなんだね。『闇の魔術に対する防衛術』の担当教授」

「はあ…。ねえマーガレット。私あの人の授業休んじゃダメかしら?」

久々のホグワーツの夕食を食べながら、マルティナが言った。無理だろうな、とエドマンドが意識を取り戻し、スープを飲んだ後にぼそっと告げた。マルティナがその言葉に項垂れた。

アリシアとアンジェリーナは、遠くはなれたところに座っていたため、このとき話すことはかなわなかった。その代わり、フレッドとジョージが元気を出せとマルティナの背中を叩くが、彼女の気分は変わらなかった。

弟のことを、頭から追いやろうとしているのが マーガレットにはわかった。



歓迎会が終わり、寮へと戻った後もグリフィンドール生は寝ることはなく談話室で過ごしていた。 マーガレットたちも例外ではない。暫くすると、寮の入り口である「太った婦人」の肖像画が開く。やってきたのは、ハリー、ロン、そしてそとで二人を待っていたハーマイオニーだった。彼らが来た瞬間、ワッと拍手の嵐が吹き荒れた。

二人は空飛ぶ車でやって来た上に、ホグワーツの校庭に植えてある「暴れ柳」に突っ込んだそうだ。フレッドとジョージのルームメイトのリー・ジョーダンがそのように叫んでいる。他の生徒も、ハリーとロンがしたことに褒め称えている。真面目なパーシーが不機嫌そうにヒーローたちに近づく。だが、それを察知したハリーとロンはそそくさと自分達の部屋に帰って行った。マーガレットとマルティナはその様子を苦笑いしながら、談話室の端で眺めていた。隣に座っているエドマンドもパーシーに似所があるらしく、不機嫌そうだった。

「初日からこんなことが起こるなんて……。何事もなく終わりそうにないわよ、マッジ」

「あははは、そうね」

ため息をつきながらも、二人は楽しげに笑った。エドマンドも不服ではあるだろうが、口元に笑みを浮かべていた。

明日からは早速授業が始まる。四年生の授業がどんなものか楽しみにしながら、マーガレットたちは眠りについた。

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