セレスタイト


 本当に、厄介な。蒼也さんのところに出た黒、東さんのところの角付き、そして、わたしの目の前にいる二人組。白い角が付いた左手に火花が散り、それと同時に尾のようなものが出現する。……なにあれ、何かの集合体だったりするんだろうか? ちょっと気持ち悪い。あとレプリカが言うには、今回の侵略はアフトクラトルによるものらしい。まあ角付きはアフトクラトルって言ってたもんね。

「気を付けてください、あいつらの角は……!」
「ボスから聞いてるわ。角でトリオンを強化した怪人なんでしょ?」
「まだ新型二体が生きている。手負いとはいえ、あれが絡むと面倒だ。……小南」

 レイジさんの呼び声にそちらを向く桐絵。……桐絵の早業、久しぶりにわたしも見たかったり。

「三分やる。新型を片付けろ」

 驚いている三雲を視界の端に捉える。桐絵やわたしをなめているんだろうか。むしろ彼、わたしが一人で新型を倒していることを見ているのに、何故桐絵には出来ないと思ったんだろう。十中八九、自分がラービットに適わないから、だろうが。

「一分で充分よ。あたしが戻るまでにやられないでよね!」
「小南が戻るまで、下がり気味に人型の相手をする。C級のカバーを最優先だ」
「「了解」」

 あ、京ちゃんとハモった。こういうの、仲良しっぽくて素敵だと思ってる。いつもはとっきーと京ちゃんがツッコミの為にはもってるんだけど、羨ましいなと思っていた。こんな状況なのに口角が緩む。

「僕は! 僕は……何をすればいいですか?」

 三雲はレイジさんにそう仰ぐ。自己判断は三雲にはまだ早いので、それで正解ではないだろうか。

「お前は雨取を守れ。死ぬ気でだ」
「っ! ……はい!」

 こういう時のレイジさんはいつにもましてかっこいいと思う。なんて言うんだろうか、漢! っていうか……。三雲の気合いも入った。流石です、レイジさん。
 人型の攻撃を京ちゃんのエスクードが防ぐ。やっぱり便利だよな、とエスクードの強さを再確認して、次はセットに入れてみようかななんて考えながら。……あ、人型注視してたら桐絵の戦い見れなかった。結構ショックだ、これ。

「あ〜! 桐絵の戦い見逃した! 悔しい! 京ちゃん後で模擬戦して」
「終わったらな」
「約束だからね? 嘘とか言わないでね、頼むよ」

 レイジさんと京ちゃんが銃で攻撃しているのを横目に、わたしはギムレットを生成して分割する。もうそろそろ本家越えだって出来そうな精度だ。うれしい。無駄口を叩いている暇があるなら戦闘しろってことだろうが……。

「あの反射盾、撃って壊せる感じじゃあないっすね。弾は辞めときますか」
「わたしとしてはまだ弾に余裕があるから大丈夫なんだけど、どうかなレイジさん」
「そう思わせて、接近戦を誘っているのかもしれん。どういう原理で動いているのか分からないが、あの尖った欠片の射程はそう長くない。今はまだ、距離を保った方がいいな」
「死角から狙撃できるのが一番なんですけどね」
「C級の退却が優先なんだから、やれることは限られてくる。優秀ですっごいちーくんが居るんだし、そうやられることはないと思うけど……。この距離からでも出来ることはあるよ」
「小南の一発に繋げるぞ。もう一人にも注意しろ」
「了解でーす」
「『了解!』」

 他の角付きも気になるし、迅くんに言われたことだって頭に残ってる。でも、今は。ちゃんと目の前の敵を見据えて、……撃つ。