狙撃なんてもう長いことやってないし、使うにも心の準備がいるので、レイジさんや京ちゃんが近距離射撃をしている隣で、片手でギムレットを乱発している。一直線上に飛ばし、狙撃によって打ち出された弾に当たらないように調整。でもあっち、白い角付きは周りの欠片を動かして固まらせて身を守っている。もう片方の手とちーくんによる視覚援助でトマホークを打ち出して空から飛びかかる桐絵の援護をも熟すと、桐絵が飛んで、桐絵の相手であるおじいちゃんに双月を振り下ろした。けれど、受け止められる。ふと嫌な予感がしたのか、桐絵は後ろに下がった。わたしはトマホークを桐絵の動きに合わせ、桐絵の体をトマホークで囲む。防御だってカウンターだって、結構使い勝手のいい戦法だ。
『助かるわ、羽純』
「どういたしまして、桐絵」
『こいつのトリガー、やばい感じがする』と耳から聞こえてくる桐絵の声と、『勘が良いですな』というおじいちゃんの声が、耳に反響する。今まで空に浮いていた角付きが地上に降りたと思えば、今まで盾にしていたものが腕になり、何かが後ろに居るC級を狙って動いた。振り向くとそこには、肩に何かが刺さった千佳ちゃん。
「……まずい、京ちゃん」
「ああ。頼む」
わたしは後ろに居る電子の流れによって捕まえられた千佳ちゃんと、千佳ちゃんを掴む三雲、それと京ちゃんが連射した後のレイジさんの攻撃に備え、両手にそれぞれギムレットを構え、撃つ。京ちゃんの狙撃の中にギムレットを隠し、ギムレットで薄くなった場所を叩き、レイジさんが殴りやすいように。
「レイジさん!」
「良くやった京介、羽純」
同じ手は食わないなんて言っていた角付きを挑発するように舌を出す。いい気味だ。レイジさんの打撃で散らばった欠片と共に千佳ちゃんが引っ張られる力もなくなったようで、彼女は地上に降りている。これであちらの特性は決まった。
「分かったよ、レイジさん」
「ああ、俺もだ。あいつのトリガーの仕掛けは、」
「「―――磁力だ」」
あの反射盾は小さな欠片が引き合ったり反発したりする力で操作している。レイジさんみたいに拳だけでやれば欠片がトリオン体に埋められてしまうけど、今までのわたしたちみたいに狙撃だけしていてもジリ貧だ。
「京介、修。C級を連れて、全速で基地に向かえ。雨取を奴の射程に入れるな」
「良いんすか? 別れれば、数の有利が無くなりますよ」
「もう全員でジリジリしてる状況じゃない。こいつらは、俺と小南が足止めする」
「了解です。行くぞ、修」
「レイジさん、わたしは?」
「羽純は京介達のサポートを頼む」
「了解」
本部長に連絡している京ちゃんを横目に、レイジさんに指示を仰ぐ。勿論出るのは京ちゃんたちの補助。そう言うのはわたしの得意分野だ。シールドを薄く、広く、長く。C級の周囲に、網状に張り巡らせる。
『羽純』
「ちーくん、どうしたの?」
『東さんの方、兄さんと米屋と緑川が行った。心配ない』
「……そっか。こうくんたちなら安心かな? 連絡、ありがと」
『無事で居ろよ、羽純』
「勿論だよ、ちーくん」
繋がった通信に仲間からの愛情を感じつつ、わたしは京ちゃんやC級と共に本部の方向に足を進めた。