スリープ・イン


 迅くんと空閑の前に立つ二人の人型、その内の角付きが千佳ちゃんに向けて欠片を飛ばす。わたしも彼女の目の前にシールドを飛ばしたけど、四分の一くらいしか止められなかった。あとは三雲が千佳ちゃんの前に出てくれたけど、……拙いな。三雲の腕に欠片が刺さっている。彼がレイジさんのように戦えるとは思えない。けれどわたしが迅くんを見れば迅くんは頷いているし、想定内の未来なのだろう。

「そっちは頼むぜ 京介、メガネくん。連絡通路は使えない、直接基地を目指してくれ」
「了解っす」
「えっ、迅くんわたし、」
「あと京介は、羽純が無理しないように見張ること。宜しくな」
「言われなくても見張るつもりでした」
「えっ」
「さあ、行け!」

 彼らの間でなんの印象があるのかは分からないけど、有耶無耶にされた気がして頬を膨らませる。ちょっと怒った。そもそもわたしが無理するかもって、そういう未来が見えているのだろうか。そんなに大事にはならないようにするし、ならないのに。C級たちに纏わせるシールドをぶ厚く張り巡らせ直す。迅くんに内心舌を出しながら、C級の後ろを走った。

「……迅くんのことを宜しく頼むね、空閑」

 あの人も、わたしに負けず劣らず、無理をしたがる人だから。


「近界民が基地に潜入、ね」

 すっかり失念していたんだけど、七々原隊の通信は本部とは別の回線で繋がっている。京ちゃんと栞ちゃんの連絡を聞いて思い出した。本部がやられたから通信が途絶える、なんてことはない。けれど、正式な本部所属の蒼也さんたちは違う。本部の回線だから、破損があれば連絡は通じない。……そうか、あの時から連絡が取れていなかったのか。わたしが言っていれば良かったな。

「本部に入れなくても、基地には向かうよ。迅くんの指示なんだから、意味があるってこと。……心配そうな顔しないでよ。大丈夫、わたしが守ってあげるからさ」

 弱きを助けて敵を倒す。どれだけ時間がかかっても、最善を。わたしはそうやって生きてきた。
 今までも、そして、これからも。