「姉さん、寂しくない?」
実家に久々に帰省したらこれか……少し頬が染まっている華奈は俺を抱きしめ優しく頭を撫でた。
華奈は俺の事を姉さんと呼び慕ってくるが実際は俺が華奈の妹である。
「寂しくねぇよ……あとどさくさに紛れて日本酒を注ぐな。」
俺はグラスを華奈から遠ざけて洋酒を注ぐ。
「そうね、日本酒は姉さん嫌いだったわね。」
「嫌いどころか、悪酔いするからな?」
俺は少しヒヤヒヤしつつも甘い洋酒を飲み、華奈に少し寄りかかった。
「姉さん、撮るわよー」
「ふぇ?」
かちりと音がした方を見ると、笑顔の華奈がポラロイドと思われるカメラを向けていた。
「また、俺専用カメラか?」
「そうよ、姉さんは特別なカメラじゃないと心霊写真みたくなるからね。」
出てきた写真はあまりいいものではなかった。
「華奈、ブレすぎ。」
「い、今のは試し撮りよ。」
俺は苦笑する華奈のカメラを少し強引に奪う。
「もういいよ、俺が撮ってやるから……。
はい、チーズ。」
かちゃりとまた音が鳴った。
写真が出た事を確認してもう一度音を鳴らす。
「……はい、今回の記念写真。」
俺は二枚のうち、綺麗に撮れている方を華奈に渡す。
「いいの?」
「いいよ、煮るなり焼くなり好きにしろ。」
「あ、ありがと……フォトフレームにでも飾っておくわね。」
眠くなった俺は久々の布団に入る前に、華奈との写真をそっと小さな写真のファイルに入れた。
華奈は隣にある別の布団ですっかり眠っている。
「あんたこそ、寂しくないのかよ…………華奈お姉ちゃん。」
少しだけ寂しかった俺は、そっと、華奈の布団に入ったのだった。
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