遅めの反抗期


「花奈って、酔ってる時いつも幸せそうにぼーっとしてるわよね。」
「…………そうか?」
「そうよ?
背伸びしてんだかかっこつけたいんだか知らないけど、あなたの幸せそうな顔がもっと見たいわ。」
 幸せそうな顔、か。
 確かに幸せだよ、母さんとワイン飲んだり色々話したり……。
「でも、照れるの?」
「何勝手に人の心見てんだよ……。」
「あなたも華奈に似て素直じゃないわねぇ。
ツンデレはモテないわよ?」
「俺には涼がいれば充分だから……。」
「うふふ、ラブラブなのね。」
 どきり、ともう動かなくなった心臓が飛び上がる感覚がした。
「花奈は酔うと表情豊かねぇ……見てて飽きないし、かわいいわ。」
 母さんは俺の頭を撫でて、グラスにワインのおかわりを注いだ。
 また酔いが回り、ふわふわと幸せな気分になる。
 今度は隠しきれず、母さんにまた頭を撫でられた。

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