最近、彼の事を考えるだけで顔が熱くなる。
こんな私は彼になんか見せられない、なのに、またあの感覚が襲いかかるんだ。
私を罵る幾多もの声が、私を否定する私の声が。
いやだ、いやだよ、やめて。
それでも、声は止む気配がなく大きくなる。
こわい、こわい、こわい。
でも、あなたに助けを求めたら、真っ赤な私を見られてしまう。
そんな私が「たすけて」なんて言ったら、あなたはきっと私を拒むだろう。
目に見えてる結末だ、あなたに拒まれるくらいなら、何も思われずに死んだ方がずっと幸せなのだから。
どさり。
もういやだ、ひとりはいやだ、こわい、こわいよ。
嫌われたくない、裏切られたくない。
寒い、悲しい、寂しい。
「こんな私でも、たすけてよ……神様。」
涙はまた、流れなくなっていた。
「花奈さん、久々にお酒飲む?」
「大丈夫。」
愛するあなたに嫌われたくないから。
「最近、花奈さんがいなくて寂しいなぁ。」
「……そう」
私だって寂しい、でも嫌われたくない。
「もしかして、照れてる?」
「そんなわけない」
逃げなきゃ、逃げないと、こんな私見られたくない。
「ふふ、こんなに顔赤くしちゃってる。」
ふいに目を逸らす、どうせ目を合わせたら傷ついてしまうのだから。
「花奈さん?」
名前を呼ばれる度に切なくなる、こんなにも大好きなのに。
あなたは私をどう思ってるの?
教えて、教えて。
「……お酒、飲もっか。」
「…………嫌だ。」
本当は飲みたい、飲んで全てを話したい、話してほしい。
「大丈夫だよ、俺は花奈さんを嫌いにならないから。」
「本当に?」
「うん、こんなかわいい子嫌いになれないよ。」
なんで、そんな言葉を信じてしまったんだろう。
なんで、それを喉に流し込んでしまったんだろう。
結果なんて、目に見えてるのに…………。
「…………」
強いアルコールが身体中を回り、ふわふわとした感覚に襲われる。
久々の温かさに、私はなぜか涙を流した。
「寂しかったね、ごめんね。」
「なんれ……あなたが謝るの?」
呂律まで怪しくなってる。
「思う存分泣いていいよ、甘えていいよ。
もう、1人じゃないんだから。」
私はしばらく、彼に抱きつき大泣きしてしまった。
ようやく泣きやんだところで、またお酒を飲む。
「お酒、美味しい?」
余裕が少し出来たのか、甘い香りを楽しんだ。
「……うん。」
「よかった、花奈さんが嬉しそうで。」
「…………ほんろぉに、きやいにならないの?」
酔いは回ってるのに呂律は全然回ってない、甘えたいからか距離を少し近づける。
「もちろんだよ、嫌いになんてなるわけない。
むしろキスしたくなるくらい大好き。」
胸が熱くなる、私もあなたとキスがしたい。
私はじっと、彼を見つめる。
「したいの?」
「……したい。」
……二人はちゅっと唇を重ねた。
この瞬間で、時が止まればいいのに。
私は耐えきれずに抱きしめると彼も私を抱きしめた。
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