顔を赤くした花奈さんの、とろんとしたかわいい瞳は、ぼーっと正面の何かを見ていた。
「気持ちいい?」
「……うん。」
花奈さんは俺に頭を撫でられると嬉しそうな顔をする。
「なぁ、りょぉくん、きす……しよ……う……ぜ?」
花奈さんはふらふらとしながら、とろんとした瞳で俺を見つめ、少し強引にキスをした。
舌を絡めた瞬間にお酒の味がほんのり広がる。
花奈さんは小さい体で俺を強く抱きしめて、少し立て膝をしていた。
満足したのか花奈さんはキスをやめたが耳は真っ赤である。
右目を見るとすごく幸せそうだった。
花奈さんはグラスに残ってるお酒を飲むと、元々眠そうだったのがより一層眠そうになる。
グラスを両手に持ち、顔を赤くして、うとうとしている花奈さんは、とてもかわいらしく、抱きしめたくなる愛おしさだった。
「眠いの?」
「うん……りょぉくんのおひざれねたい……な。」
ころんと花奈さんは俺の膝枕で寝てしまった。
満月の時の花奈さんはわりと素直に寝てくれるのだが、少し名残惜しい。
「おやすみ、花奈さん。」
二杯半ですっかり泥酔した俺は、ぼーっとしていた。
「気持ちいい?」
愛おしいあいつの声が聞こえる、それとアルコールも混じり、今の俺を一言で表すなら『幸せ』そのものだろう。
「……うん。」
優しく温かい手のひらで頭を撫でられ、俺はより一層幸福感に包まれる。
今の状態で立ち上がったら恐らく浮いてしまうのだろうか、そもそも立てるかどうかも怪しいが……。
酔いが回ってきた俺は、少し強引に、目線を合わせ、強く抱き締めて舌を絡める。
何分くらいかして、満足した俺はすとんと座り直し、もう死んでも構わないくらいの多幸感に包まれながらグラスに半分くらい残ってたお酒を飲み干した。
また酔いが回る。
「眠いの?」
瞼が徐々に重くなっていく、でも、もっと甘えたい気持ちもある。
でも、すごくねむい。
「うん……りょぉくんのおひざれねたい……な。」
ふにゃふにゃした、呂律の回らない喋りだったが、通じたようで、俺は睡魔に負けて、眠ってしまった。
名残惜しい気持ちの中で、毛布をかけられると、愛おしい声がまた聞こえる。
「……おやすみ、花奈さん。」
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