無題13

「つぐみちゃん、近いですよ?」
 月魅はぎゅっと黎羽に抱きつき、離さない。
「はいはい、恋人みたいですね。
もしかして、恋人同士らしい事したかったんですか?」
「……違う。」
「そうですか、じゃあ……単に、甘えたかった、とか?」
「そ、そんなわけないだろ!?
オレがお前に甘えたいなんて……甘えたいなんて……!!」
 図星だと言うかのように月魅の顔がかぁぁぁと赤くなった。
「照れちゃって、かわいいですね?」
 黎羽は微笑ましそうに月魅の頭を撫でる。
「だーかーらー頭を撫でるなって何回言わせるんだよ……。」
 月魅は、すっ と黎羽の手をどかし、背伸びしてキスをした。
「ふふ、つぐみちゃんは甘えたさんですか?」
 黎羽は月魅を抱きしめてとんとんと背中を優しく叩く。
「ち、違う……頭を撫でるくらいなら、優しく抱きしめて甘く濃厚なディープキッスをして欲しいだけで……。」
「それを甘えたさんと言うんです、素直じゃない子には今日のワインあげませんよ?」
「そ、それはやだ……。」
「素直でよろしい、ではもう一言。」
「た、立てないくらいに酔ったら言ってやる……ぜ?」

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