無題17

 症状から見て、明らかにあの毒である。
 この毒に効く薬…………ない。
 やはり、この毒を治すには百数十年の修行は必要なのか……!?
 そんな時間、私達にあるはずない。
 でも諦めきれない、私はどうしたら……。

「じれってーなぁ、そいつの体質はわかってる。
オレに渡してくれないか?」
 苦しんでる彼を前に、魔女は不敵に笑った。
「誰ですかあなたは!」
「誰って…………以前こいつを診た事のある奴さ。」
「えっ……?」
「まぁ、安心しろ。
そいつはオレが今から『三秒』で治してやるよ。」
 魔女は口でいかにも魔法ぽい瓶の蓋を開けた後、彼に中身を飲ませた。
「detoxification……もう大丈夫だぜ。」
 彼は毒も消えてすやすやと眠っている。
「あの……助けてくれてありがとうございます!」

「べ、別にお礼なんていらねぇよ……。
オレはお前らが邪魔だから治しただけで……。」
 にしては嬉しそうだ。
「あと…………感謝されるの慣れてないんだよ、恥ずかしいから。」
 魔女はかぁぁぁと顔を赤くしてぽそりと呟いたのだった。

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