「つぐみちゃんって、私と出会う前はどんな感じだったんですか?」
「…………覚えてない。
オレには黎羽がいればそれで充分だから。」
あまり若い頃は思い出したくないな。
「例えば、調子に乗ったりだとかしなかったんですか?」
ぎくり
「なんだよいきなり……オレが調子乗ると失敗するの知ってるだろ?」
「おばあちゃんから聞いたんですよ?
昔はヒーラーのヒの字すらなかった、外道魔女だった~って。」
「べ、別にいいだろ!?
あの時のオレなんて…………。」
昔の黒歴史が蘇り、もちろん比喩的な意味で顔から火が出そうになる。
「ふふ、つぐみちゃんも大人になりましたね。」
黎羽はオレを抱きしめて、頭を撫でてくる。
撫でられるのは好きではないが、嫌いでもない。
「つぐみちゃんの弱点がひとつ増えました。
一つは私、もう一つはお酒…………最後に過去。」
「そんなに覚えて、オレを飼い慣らすつもりか?」
「どうでしょうね?」
黎羽はくすくすと笑って、オレの顎を撫でた。
明らかに飼い慣らすつもりじゃねぇか。
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