「…………なんで、わすれられないのかな。」
目をとろんとさせて、ふらふらしている彼女はじっと私を見つめていた。
「どうしましたか?」
「あのな……あした、おれのたんじょうび…………なんだ。」
普段の笑顔とは明らかに違う、少女のような柔らかい微笑みだ。
こんな彼女見たことが無い、祝って欲しいのだろうか。
「それはめでたいですね。」
「……だろ?」
酔っぱらいの彼女は、眠いのを必死に堪えながら話をしていた。
「そ、それでさ……れいは?日付が変わったら、キス……して?」
「うふふ、言わずとも、たくさん甘えさせてあげますよ。」
0時のチャイムが鳴る。
ふたりは抱き合いながら、唇を、鼓動を、チャイムが鳴り終わるまで、そっと重ねていた。
「れい……は…………」
ふらっ
限界だったのか、手を離したら倒れそうになる彼女をまた抱きしめた。
下戸なのに酒好きと言う性格さえどうにかなれば、顔は良いからモテるはずなのに……と思っていたが、しばらくして少し嫉妬を覚えたのでそれ以上考えてはいけないと悟った。
「……お誕生日おめでとうございます。」
(9月1日は十五夜月魅の誕生日でした)
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