俺と“十六夜”の間に血の繋がりがない、という話は、最初は信じていなかった。けれども探偵たちの話を聞いて、DNA鑑定をして、その結果を見て。本当に俺は何も知らないのだと思い知った。
「もう諦めようや、真」
十六夜の死の真相については、万事屋の野郎に裏を取った。万事屋は万事屋で十六夜の死に責任を感じているらしいが、この話はどう考えても事故だ。
「コイツら、めちゃくちゃネチっこいぜ。お前が首を縦に振るまではいつまででも粘るだろうさ」
「……全部話したのかよ」
「もうほんっと、まァじでしつけェの。お前も観念しちまった方が楽だって。どうせ『自分にその資格はない』とか考えてんだろ? でもコイツらにとっちゃ資格とかそんなんじゃねェんだよ」
だから大人しくお縄についちまえ、と促す万事屋。こいつに立ち会わせるのは癪だったが、適任ではあった。なんたってコイツは“共犯者”だから。
「今度は荒月に、俺たちの共犯者になってほしい」
江戸川コナン。本当に恐ろしいガキだ。最短距離で真相にたどり着きやがった。
「……でも、近藤さんの命を狙ったことに代わりはない。鬼がそんな輩を許すわけないだろ」
「狙“おうとした”だろィ。しかも結果的にお前は近藤さんの命を守った。許すも何も、問題さえ見当たらねェや」
「身内に成りすますのは詐欺だろ」
「あのなァ、俺たちが――土方さんがどうかは知らねェが、少なくとも俺が――探してたのは“副長の兄弟”じゃねェよ。同じ釜の飯を食って、共に稽古に励んで、同じ時間を過ごした仲間を探してんだ」
総悟の言葉に反論する術がないのか、縋るような視線を俺に向ける。拒否を求めるようなその目が気に食わなくて、フ、と息を吐いた。
「よく。土方十六夜を守ってくれた。あいつが生きた証を、名前を。受け継いだお前は、例え血の繋がりがなかろうと俺の守るべきものに変わりはねェよ」
だから戻って来い。
そう言ってやれば、“十六夜”は力が抜けたようにその場にうずくまった。その目から零れたものは、キラキラと光を反射して地に落ちる。
やっと、弱さを知れた気がした。