眠り姫に騙されて
普段はしっかりとした子って感じなのに、寝ている時のあどけない顔。それを見れるのは俺だけの特権だ。
今日は俺が遅番で帰りが遅く、逆に涼香ちゃんは早かったから眠たかったのか。俺が帰ってきた頃にはぐっすりだった。
ご飯を食べて風呂に入って、涼香ちゃんが寝ちゃったらのその寝顔を眺める。それが日課みたいなもんだ。
今日も可愛いな、なんて見つめていれば薄らと目を開けた涼香ちゃん。ああ、起こしちまったかも。
「ぁ、はぎ……おか、り……」
「悪ぃ、起こしちまった?ごめんな。このまま寝ちまいな」
「ん……」
いつもみたいにふにゃふにゃ笑うのかと思ったのに、するりと伸びた細い指に頬を、耳を撫でられ、ら小さく「はぎ、すきよ」なんて言ってから、ふにゃりと笑う涼香ちゃん。
未だすりすりと頬を撫でる手に己の手を添える。まさか、そんな。いや、明日は休みだったはずだ。カレンダーにも書いていた。
「涼香ちゃん……!」
期待しても、良いのだろうか。いそいそと準備のため顔を逸らしアレの確認。しっかりと数はある。
それだけ確認して、すぐに涼香ちゃんの方へと顔を戻せばすぅすぅと小さな寝息を立て、またぐっすりと眠ってしまっている。
そ、そんな……。ガックリと肩を落としても、涼香ちゃんはお構い無しで。なんならさっきより気持ち良さそうに寝ているから、そんな気も失せてしまった。
「あーあ、俺いつも騙されてんなぁ……。ふ、おやすみ……涼香ちゃん」
そうやって呟けば、それに応えるようにむにゃむにゃと口を動かしまた寝息を立てている。
俺ってば、騙されやすいのかねぇ。なんて彼女のおでこに軽く口付けするのだった。
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