04
「あなたのお父様と同じ木で作られた杖です。どうにも貴方がたは気むづかしい杖に気に入られているようだ。10ガレオンに加工で20ガレオンいただきます。」
「ベルナドット、支払いを。加工が終わり次第我が家に届けてくれ。」
ベルナドットが、皮袋の財布から硬貨を取り出し支払いを済ませるとオリバンダー老人は優しく微笑んでしっかりと。と杖をしまった。
ベルナドットの強い要望で寄り道をせずに帰ることにして、覗きたかった店に後ろ髪を引かれながら屋敷へと足早に戻る。するといつもは静かな屋敷から珍しくシャルロッテの怒声が響いた。
「こら!何をしているのです!あぁ!なんていう猫だ!こら籠に入りなさい!!」
戻った途端響き渡る声に何事だと広間に顔を出した途端足元に飛んできた毛玉に驚きは尻餅をつく。
「うわっ!なんだ?猫??」
先ほどとは打って変わって緩慢な動きでこちらを見つめたその灰色のソレはにゃおんと一声だけ鳴いて頭をセスの足に擦り付けた。
「こりゃ驚いた。ロシアンブルーじゃねぇか。」
ベルナドットが言ったそれが種類なのだろう。どうしているのかは分からないが愛くるしく頭を擦り付けてくるその猫に恐る恐る手を伸ばしそっと喉元を撫でた。またその猫はにゃおんと鳴いて目を細める。
「あぁ!旦那様なんてこと!私めはなんてことを!旦那様に尻餅をつかせてしまった!!」
「シャルロッテ、落ち着け。僕は無事だ。それよりどういうことか説明をしてくれ。」
目にいっぱい涙を浮かべたシャルロッテは、私が尻餅をついたことに顔を真っ青にしてどうしようどうすればと繰り返していたが、説明しろと言われておずおずと話し始めた。
「あぁ、どうしましょう旦那様、私めはなんてことを!
ただ、旦那様がお誕生日を迎えるにあたってどうしてもお祝いをしたいと思ったのでございます、今まで頂いておりましたお金で猫をプレゼントしようと!
ホグワーツではあまり知り合いはおりませんし、少しでも屋敷のことを思い出してくださればと!まさか旦那様にこんな、こんな!尻餅をつかせてしまうなんて!」
「まってくれ、これはシャルロッテが僕の為に用意した猫だというのか?」
「はっ、はい!申し訳ございません!まさかこんなことになるとは!なんと私はダメなしもべでしょう!!」
なんてことだ。シャルロッテには額は少ないが給与を毎月与えていた。自分のために使えと言っても一切使わないのでお前の大切なモノのために使えと半ば無理やり渡していたものだ。子供のお小遣いに近いそれを私のために使ったとは……
「あぁ、なんて言うことだ、なんて言うことだシャルロッテ!」
この猫を用意するまでに一体いくら……いや、どれだけ長い時間がかかったのだろう。青ざめて震えるシャルロッテは申し訳ございませんとく繰り返したまま顔を上げない。
「シャルロッテ、君に与えていたお金はね、君が休憩中にお菓子やお茶を食べれるようにただそれだけのつもりだったんだ。僕はこんなに君の最高のお菓子を食べているのに君は働くだけでそう言うものを食べないから子供ながらに気になってしょうがなかった。だから無理やりに君に押し付けてささやかなお茶を大切な人や時間と楽しんでほしいと、そう思っていたんだ。」
「あぁ、私めはそんな旦那様の気持ちすら気付かず!なんて愚かなのでしょう!申し訳ございません!旦那様!」
シャルロッテ顔を優しくあげて抱きしめた。
「ちがう、ちがうよシャルロッテ。嬉しいんだ僕は君が僕を大切に思って僕の為にこの子をわざわざ用意してくれた。」
それが嬉しいんだと深く深く抱きしめた。ありがとうと繰り返して何度もなんども気持ちを伝えた。
「僕はね、君のことを、もちろんベルナドットのこともかけがえのない家族だと思っているよ。だからありがとう。」
その気持ちがとても嬉しい。