03
「新入生はあっちみたいだ。じゃあまた。」
「うん、またね。」
セドリックと別れてホグワーツへ向かう小舟に乗る。酷く不安定な船でローブの端が濡れた。
「揺れが酷い、最悪だ。」
そう悪態をつけば隣のやつに聞かれたらしい。やけに細い丸メガネの少年は驚いたような顔でこちらを見ていた。
「舟、苦手なの?」
「はは、聞かれてしまったかな。あまり乗る機会がないからうっかり裾を濡らしてしまってね。気分は最悪なのさ。」
「そうなんだ、ステッキ持ってるなんて珍しいね。なんだか昔の貴族みたいで驚いちゃったよ。
ぼくは、ハリーよろしくね。」
「まぁ、当たらずとも遠からずかな。僕はセス、セス・ノーザンバランドだ。」
そう自己紹介をすれば目の前に乗っていた赤毛の少年が驚いて振り返る。
「ノーザンバランド?ノーザンバランドだって?!」
あからさまに嫌そうな顔をするその少年に、私は微笑む。
「ロン、何か知ってるの?」
「ハリー!ノーザンバランド家っていうのは昔っからある一族で、マグルと魔法族が手を組むのを嫌ってるので有名なんだ!」
「ロン、と言ったかな?あまりそういうことを本人の前で言うのは感心しない。そんな事で敵を作るのは馬鹿らしいだろう?」
そう諌めるように言えば、馬鹿にされたとでも思ったのか赤毛の少年はいきなり舟の上で立ち上がって叫んだ。
「父さんが言ってたんだ!悪名高い家だって!それにうちの周りを何度も嗅ぎ回ってたって聞いたぞ!ってうわぁぁあ!」
「うわっ、」
あまりに勢いよくたちあがるものだから船がひっくり返り、ハリーや私もろとも水面に投げ出された。
最悪だ。裾どころか全身ずぶ濡れになった。
陸が近かったから良かったもののひどい目にあわされたもんだ。
一番に陸にたどり着いた私はハリーに手を差し伸べ陸に引っ張り上げる。
「大丈夫かい?」
ステッキから杖を引き抜き一振りして自分とハリーの服を綺麗にする。赤毛の餓鬼のことは知らない。勝手に水に浸かってろ。
そう思って見下ろせば、赤毛の餓鬼がこちらを睨んでいた。
「あぁ、思い出した。君、マグル被れのウィーズリーの息子か。逆恨みもいい所だな。」
「なんだと!」
「喚くなよ、全くどういう教育をしたらそう∴轤ツんだ。謝罪もまともにできない餓鬼の相手をするほど僕は暇でも寛容でもない。是非父親の顔をもう一度見て見たいよ。」
余りにウィーズリーの餓鬼が騒ぐせいで人目がこっちに寄ってきた。やっと湖から出てきたウィーズリーは掴みかからんばかりに詰め寄ってくる。
「おっと、そんな状態で寄ってくれるな。」
顔が髪と見分けがつかないくらい赤くなったウィーズリーに杖を向ければ言葉を詰まらせて固まった。流石に弱いものいじめをしているような気になってきて杖をもう一振りして彼の服も乾かしてやる。
「余り僕を怒らせてくれるなよ。僕は気が長い方じゃ無いんだ。」
それだけ言ってあらかた満足した私は唖然とする2人を背に城へと足を向けた。