05

スネイプに調合を見てもらうようになって暫くした頃、寮に張り紙がされた。
飛行訓練についてのお知らせで合同練習相手がグリフィンドールと言うこともありスリザリンの一年生は声を揃えて文句を言った。しかし流石スリザリン自慢話をつけることを忘れない。

特にドラコの自慢は収まるところを知らず、いつもいつもマグルのヘリコプターを避けたところで話が終わるのがお決まりのオチだ。

「僕はスネイプ教授に用事があるから失礼するよ。」

スネイプのお気にりと認識されているセスがそう言えば止めるものはおらず、子供の小さな自慢話を避けるためノーザンバランド家ホグワーツ支部たる仕事部屋にこもることがめっきり多くなった。
同年代との関わりが少なかったセスにとって彼等の幼稚さが重荷になってきているのだ。
「名家のご子息ご令嬢と言えども餓鬼ばっかりだ。ヘドが出る。」

セスにとって媚びを売る輩は学校に来る前も来た後ももちろんいたが、子供が売る媚びほど聞き難いものもない。最終的にはいつもお家自慢になり、きみはどうだい?なんて聞き返して来る。積もりに積もった苛立ちがホグワーツでの生活を億劫にしていたがそれを表立って出すこともできず、セスは悶々と日々を過ごすしかなかった。

「どうしたんだい?怖い顔をしているよ。」

「あぁ、失礼気にしないでくれ。……なんだ、セドリックじゃないか。」

「やぁ、久しぶりだね。なかなか会えないから手紙でも送ろうかと思っていたところだよ。」

はにかむように笑うセドリックは、手に持った手紙をそのままセスに渡して笑った。
「会えてしまったな。久しぶり、調子はどうだい?」

「好調だよ、やっと君に会えたしね。君は不調そうだけれど大丈夫かい?」

眉間にシワが寄っていたよとセスの眉間を突いたセドリックがこんな顔だったと真似をして来たのでついついセスは笑ってしまう。

「やっと笑ったね。安心した。」
「心配をかけてしまったかな、ありがとうセドリック。」
「気にしないでくれよ、友達だろう?」

セドリックは優しいなとセスが返せば友達を心配するのは当たり前だろ?と胸をはって言った。
暫くたわいのない話をした後、別れ際にセドリックが言った。

「手紙に書いたんだけど今度お茶でもどうだい?ゆっくり話そう。」

「もちろんだ。楽しみにしているよ。」