03
「当主様、アルバス・ダンブルドア様とセブルス・スネイプ様がいらっしゃいました。客間へご案内しております!」
「あぁ、ありがとう。すぐに行こう。」
2時を過ぎた頃、来客を伝えに来たシャルロッテに返事をして粗方片付けた仕事をまとめて部屋を出る。ノーザンバランド家の当主として人前に出るときはいつも自然と背筋が伸びた。
一呼吸を置いて、客間の扉を開ける。
「ようこそお越し下さりました。
ノーザンバランド家17代当主、セス・ノーザンバランドです。」
「ようこそお越し下さりました。
ノーザンバランド家11代当主、セス・ノーザンバランドです。」
目の前の少年は客間へ入ると同時にそう堂々と宣言した。
鴉の濡羽のような髪に、ノーザンバランド家に受け継がれるという星降る瞳と称される不規則に煌めく濃紺の瞳。
体からすらりと伸びた手に高価そうな杖。足は歩くことを目的としていないのではないかというほど白く細い。
いかにも品の良さそうな少年にスネイプはこれが例の当主かと息を呑んだ。
今日はお越し下さり、ありがとうございます。と、差し障りのない挨拶から始まった少年の言葉は、子供のそれではないと言い切れるほど老成しており、その年齢に不相応な当主という言葉にセブルス・スネイプは納得する。
「本来は僕の方からご挨拶に伺うべきなのですが、如何せん家を開けることが出来ず、申し訳ございません。」
「いや、構わんよセス君。家業を1人で支えておるのじゃ気苦労も多かろうて。」
「はは、優秀な部下に恵まれましたからそれ程でもないですよ。
さて、本日はホグワーツ入学の件でよろしいですか?」
2人の当たり障りのない会話に耳を傾けていたスネイプは、やっと本題に入ったかと視線をセスに戻した。
今日はこの少年へのホグワーツ魔法魔術学校の入学説明にやって来たのである。
本来なら校長が直々に一生徒に説明することなどない。つまり、それをせざるおえない相手ということなが伺えると言える。
「お断りさせていただきます。」
涼しい顔でそういったセスにダンブルドアはピクリと眉をあげた。それを一瞥したセスは更に続ける。
「私どもの家業は魔法界と非魔法界の線引きです。2つが交わらないように監視し、危険因子を粛清する。
……そして、その権限は魔法省より強く、古い。
僕〈当主〉はそれを滞り無く遂行するために有るのですから、障害となり得るものは吟味するにも値しません。」
仄暗い目でニヤリと笑ったセスは子供がするには余りにも狂気じみていて、この少年があのノーザンバランド家≠フ当主なのだと物語っていた。
ノーザンバランド家、魔法界で何よりも古い名家であり、魔法界が非魔法界へ干渉することまた、非魔法界が魔法界へ干渉することが無いように暗躍し続けた悪名高い家柄である。
そしてこの少年はその一切を背負って生きているのだと、セブルス・スネイプは彼のそのひとことで理解した。