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ミゲル・マルシベールと云う男
セブルス・スネイプは友となる
[3/3]

ミゲルは静かに2人で語らう事を好んだ。体を動かす遊びはほぼなく、ただ静かに過ごす。
本を好み、お茶会を好み。そして1人を好んだ。
唯一そばにいる事を許したのはセブルスのみで彼だけがその美貌の横で過ごすことを許されていた。

と、言えば聞こえがいいが実際は取り巻きに愛想を振りまく手間をなくすため特定の相手を隣に侍らせていると云うのが正しい。

「俺がこうやって木陰で本を読むだけで人は喜ぶのさ。本当に簡単なものだよ。俺が微笑めばそれだけで彼らは舞い上がる」
「捻くれ者め」
横で同じく本を読んでいたセブルスは悪態をついた。まだ11歳の子供が背伸びをして格好つけているだけの光景がミゲルがやるだけで一枚の絵画のようになる。それを分かってやっているのだからタチが悪い。
「ほら見ろ、あそこの先輩方。名家のご令嬢だ。セブルス、睨むなよ。微笑め」
「そこまで器用じゃないんだが」
綺麗な顔で微笑みながら毒づくミゲルに呆れながらもセブルスもできるだけ優しい顔で口角を上げた。



「美しさって言うのね、外面と内面両方を磨いて始めて出来上がるモノなんだよセブルス」
「なんだ、藪から棒に」
日課である就寝前のティータイムを楽しんでいたミゲルは小さな声でセブルスに耳打ちした。
「人というのは磨けばある程度のところまでは行けるようになっている。それはセブルスも実感しただろう?お前は随分と磨かれた」
手入れされ、健康的な白さを取り戻したセブルスの頬をミゲルは愛おしげに撫でた。
それを見て談話室の端で2人の様子を伺っていた寮生たちから黄色い声が飛ぶ。
「……それは理解したつもりだ。周りの対応も随分とマシになった」
「まぁ、お前の場合そこまで酷くはなかったからね所作を正せば見れる程度の物にするのは簡単だった。ほら、あそこのメガネの女を見て見ろよ」
視線の先には目にかかるほどの前髪を留もせず本をひたすら読む女。名前はなんと言っただろうか、セブルスには覚えがなかった。
「今度はあそこの取り巻き女だ」
今度は促された方向にいるブロンドの先輩を見る。その女のことはなんとなく覚えている。あれは確かミゲルに好意を寄せている女の1人で学年でも割とかわいいと評判の先輩だ。
「2年経てばあの2人の美のヒラルキーは逆転する」
周りに見えないようにニヤニヤと笑うミゲルは言葉を続けた。
「あの根暗女は元がいい。今は糞の足しにもならん糞女だが名家の令嬢だ。そのうち自ずと教育され磨かれる」
「内面や所作が同じならあとは外面のランクがモノを言う。俺はだからこそ磨く事を怠らない。基盤すらまともに作れない奴はただのクズだからだ。忘れるなよセブルス、磨くのをやめればそれはただ道端に転がる石ころ以下の存在ってことをな」
「何を今更……」
「休み明けに僕を落胆させるような事をするなってことさ」
そこでセブルスはクリスマス休暇が近づいている事を思い出した。そしてあの掃き溜めのような怒号の飛ぶ家に帰らなければならない事を思い出す。
「…………」
「どうしたセブルス。いつもみたいに悪態をつきながら返事をしてみせろよ」
家ではここのように毎日シャワーを浴びることすら出来ないだろう。まず、ミゲルと知り合う前のセブルスにはそんな概念がなかった。
ただでさえ貧しい家だ。そんな余裕はない。
「……いや、家では、少し厳しいかもしれない」
恐る恐る言葉を口にした。この2人のヒラルキーは未だにミゲルの方が遥かに上だからだ。
寮でのこの待遇もミゲルという盾があるからという事をセブルスは自覚していたし、与えられている役回りもミゲルにとってはストレス発散の隠れ蓑だ。
その、伺うようなセブルスの言葉にミゲルは一度眉を顰め言葉を返した。
「なら帰る必要は無いだろう」
セブルスにとってそれは考えてもいない言葉だった。
「俺も残る」
そう続けたミゲルにセブルスは慌てて言葉を返した。
「ミゲル、お前がそこまでする必要は無い」
自分に付き合う必要は無いと。その言葉にミゲルの顔は一瞬真顔になり言葉を続けた。
「自惚れるなよセブルス、俺は俺のしたい事をしているだけだ。なにどうせスリザリンの生徒は残らないんだ2人で好き勝手楽しめばいい」
家より気が楽だから残るのだと、そう言い放ったミゲルによってホグワーツはじめてのクリスマス休暇は学校に残ることが決まったのだ。

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