Home > Text > Book > List > Page それは神の技が現れるための 優しい悲劇の読み聞かせ 01 [1/3] よくやった!心の中でディオは叫んだ。 あの馬鹿なジョジョめ、自ら墓穴を掘ったな。 顔に出さず、廊下を歩きながらマリィをエスコートする。 なんとも清々しい気分だ。 あのジョースター卿の顔はしばらく忘れられないだろう。 「ディオ、何かいいことあった?嬉しそう」 「どうしてそう思うんだい?」 広い屋敷の馬鹿みたいに広い廊下を楽しそうに歩くマリィ。 楽しそうなのはお前の方だろうと思いながらディオは言葉を返した。 「なんだか足取りが楽しそうだなって思ったの」 「それはマリィだろう?どんな話が読みたいんだい?」 えっとね、どうしようかしら。なにがいいかしらと悩むマリィは花のように笑う。焦点の合わないアメジストの瞳はそれでも輝いていて、その瞳にディオは未来への道筋のようななにかを感じた。 きっとこの女は、僕を高みに押し上げる為の踏み台なのだ。嗚呼、輝かしい未来に目が眩みそうである。あの掃き溜めから這い上がったと言う実感がフツフツと泉のように湧いて出る。 「そうね、どうしようかしら。シェイクスピアはあるのかしら。ディオはシェイクスピアを読んだことある?」 「有名どころを何作か読んだな。 マクベス、ハムレット……あとはリア王か」 マリィの影響で本をよく読む様になったディオはジョースター家に引き取られてからと言うもの書庫にこもることも多かった。誰に聞かせることもないのに口に出しながら読むものだからたまたま通りかかったジョジョに読み聞かせをしているみたいと言われたことが記憶に新しい。 「悲劇ばかりね、喜劇は読まなかったの?」 「シェイクスピアの喜劇は終わりが単調で退屈なのさ。悲劇は暇つぶし程度の余興になる」 「なら、それが聞きたいわ。ディオが楽しいと思うお話をディオの声で聞きたいの」 「わかったよ」 ディオは、その健気な少女を見て思う。大切な大切な僕の駒。昔の様に、昔よりもより一層、甘く優しく甘やかしてやろう。と。 [前へ][次へ] 14/16ページ [Back] [Home] |