じじいはとても


「…………」





木曜日、つまり翌日の一時間目。




私はまだ朝だというのにあまり機嫌が良くない。

それもこれも、
今私の隣で興味津々にノートを覗き込むじじいが
昨日付いて来たせい。



あれは昨日の夜から今朝にかけてのこと。








家に帰った私は、まず両親に報告した。
ほら、ホウレンソウって大事だから。




「なんか神様付いて来ちゃった。
まあ付喪神だからどっちかって言えば
妖怪寄りかも知れないけど」




私がそう言うと、母はおやまあ、と一言。

兄は凄いじゃん、願い事叶えてもらいなよ、なんて。

父に至ってはまるで友達の話をしたときの様に、
へえ、どんな人?と聞いてきた。



私が半ば諦めながらも、三日月宗近だよ、と言うと、
父と兄はいきなり物凄く興奮し出した。



「ばっか、お前、それを先に言えって!!」


「ぐぬぅあぁぁ羨ましいィイ!!なんでお前だけなんだ!!」



そんな感じでずっと騒いでた。
私は無視してお風呂入って寝たけど。



じじいがお風呂まで付いて来かけてびびったけど、
ちゃんと色々言い聞かせた。

うん、大変だった。

じじいだからかすぐ脱線しようとするんだもの。
根気強く頑張ったからもう大丈夫だと信じたい。

とりあえずトイレとお風呂はもう付いて来ない筈だけど……


「……心配性だからなぁ、どうだか」


「ん?なんだ、どうした?」


「なんでもない」



ついポロッと出た言葉にじじいが反応してきたが軽く流す。
授業中だからね。


そうそう、なんで気分がよくないのか。





兎に角気が散ってしょうがないからだ。



何かとこのじじいは話しかけてくるしとことんマイペースだし、
言っても聞いてんだか聞いてないんだかわかんないし。


まあとにかく、あと何時間もこの状態で授業を受けるのは
慣れるまで時間が掛かりそうだ。





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