頭脳は大人






__パァンッ




「えッ!?」



突然、店内に銃声が響いた。

驚いてそちらを見れば、目出し帽の三人組。


キャァァア、と店内で悲鳴と怒号が入り乱れる。



ああ、これは、強盗だ。


解っているのに身体が動かない。

隣でじじいが、三日月が焦っているのが見えた。


「千紗、千紗どうした?
何事だ、じじいには分からぬ。何が起きておるのだ?」


やっとのことで口を開けば、喉がカラカラで声が掠れた。


「あ……、ご、強盗……」


強盗?と三日月は繰り返し、盗っ人か、と呟いた。

「成る程、質が悪いな」


守るように私の肩を抱きながら
どうしたものかと考えていた三日月だが、
突然身体を強張らせたのが分かった。


「まずい、気付かれた」


その言葉にそちらを見遣れば、
強盗と目があってしまった。


「そこの女も来い!!!」


そう怒鳴られ、足が勝手にそちらへ向かう。

三日月の青い着物の袖をぎゅっとすがるように握れば、
手を取り優しい声で安心して俺に任せろ、と囁かれた。


三日月を信じて強盗の方へ向かう。





強盗に後ろ手に拘束されると
三日月の目が据わったように見えた。


なんとか辺りを見渡せば、老若男女沢山の人。



どうやら三人組ではなく、それ以上いたらしい。

深呼吸をしながら目を向けた先に見つけた五人。



蘭の家に居候していて新一の親戚の子だと
言う小さな彼と、そのお友達もいた。







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